Amazonが人気投票で書籍をデジタル化する「Kindle Scout」をスタート

いつでもどこでも読書ができ大量の愛蔵書を場所をとらずに保存できる電子書籍は非常に便利ですが、そもそもデジタル化されていなければ読むことができないという問題があります。また、電子書籍化されていない優れた作品は世にたくさん埋もれており、これを発掘することが電子書籍市場がさらに発展するために重要だと言えます。このような埋もれた作品を「読者の推薦」によって発掘しAmazonが電子書籍化するというプロジェクト「Kindle Scout」が近日スタートする予定です。

How It Works - Kindle Scout
https://kindlescout.amazon.com/about

◆書籍を電子出版したい筆者の手続き
まずはAmazonが要求するSubmissions check-list(チェックリスト)の条件に従っていることを確認します。このリストには、電子化したい書籍が「これまでに一度も電子書籍として出版されていないこと」「5万単語以上の長文であること」「表紙のカバーは5MB以下のJPEG・PNG画像であること」「500単語以下の本の説明文をつけること」などの要件が挙げられています。

要件をすべてクリアしたら、Kindle Scoutの人気投票に参加する意志を示すために「『Submission & Publishing Agreement(利用規約)』に同意する」をクリックして書籍データをアップロードします。なお、本文はWord形式である必要があります。

Amazonは、「Kindle Scout」にノミネートしたことを、FacebokやTwitterなどのSNSを通じて知人や潜在的な読者に広く知らしめることを推奨しています。

なお、「NOMINATE(推奨)」を促せるEメールもオススメ。プレビューページのリンクを貼って受信者に自分の本を読んでもらうことが可能です。

見事に電子書籍化が決定した場合はメールで知らせてもらえます。電子書籍化の決定通知はKindle Scoutに参加してから45日以内にAmazonから送られてくるので、応募した作者としては果報は寝て待つのみ。なお、電子書籍化によって作者はAmazonからKindleの売り上げの50％を得ることができるとのこと。

◆電子書籍化する本を選ぶ読者
Kindleを使って電子書籍を楽しむ読者は誰でもKindle Scoutに参加可能。Kindle Scoutには「これまで一度も電子書籍として出版されたことがない本」がずらりとお披露目されています。新しい本は、タイムラインに次々と現れ30日間展示されるのでチェック。

投票する読者は自分の「(電子書籍化を)推薦する本」を3つ、ノミネート(推奨)作品としてリストアップできます。このノミネートリストは最大3作選べ、いつでも作品の入れ替えはOK。また、作品が電子書籍化されたときには自動的に枠が空くという仕組み。

ノミネートリストに挙げていた作品が見事に電子書籍化されることが決定した場合には、電子化決定の通知メールが届きます。

そして電子化された作品をノミネートした人は、なんと書籍の全編をKindleでゲットすることができます。つまり、真っ先に目を付けてくれ埋もれていた作品を発掘してくれたファンに報償として作品が無料で配信されるというわけです。

Kindle Scoutは読者投票によって電子書籍化するプロジェクトで、電子化して本をより多くの人に読んで欲しい作者と、面白そうな作品を一早く発掘することで電子化された作品を無料でゲットでき発掘する楽しみと本を読める実益を得られる読者がウィンウィンの関係を保てる面白い仕組みです。

なにより出版社とトラブル続きのAmazonにしてみれば、まだ世に出ていない「人気作家の卵」をKindle利用者によって発掘してもらえ、電子書籍のラインナップを充実させられる妙案と言えそうです。