Twitch・Instagram・GROUPONなどを成功に導いた創業者たちが起業家へ送るアドバイス「Startup Notes」2014年版
有名企業の創業者が起業家へのアドバイスとして自身のビジネスのビジョンやサービスの歩みなどについて書き記したノートを公開する企画「Startup Notes」の2014年版が発表されています。2014年版はGROUPON・Instagram・Twitchなど今をときめく企業の創業者たちから、世界中の起業家に向けてメッセージが送られています。
2014 Startup School
http://startupnotes.org/
◆01:Ron Conway(SV Angel)
ベンチャーキャピタルのSV Angelを率いる「伝説の投資家」として知られるRon Conway氏のノート。
「起業家は生まれながらの起業家である」という言葉は裏を返せば「企業活動に人生を投じよ」というメッセージ。
企業には創業者の思想が宿るもの。
生まれ持つべき資質は、根性・大志・積極性・忍耐力・好奇心・知性。学びとるべき資質は、経営力・統率力・スカウト力・ビジョンを共有させる力・人を鼓舞する力。
起業するということは、これまでの人生で最もハードなこと。
「SV Angelの投資の中心にあるのは常に『人』である」とのこと。
良い創業者とは狙いを定めるスナイパーのようなもの。機能しようが機能しまいが、成功と失敗は紙一重の表裏一体のようなものです。
◆02:Danae Ringelmann(Indiegogo)
クラウドファンディングサイトIngiegogoを立ち上げたDanae Ringelmann氏のノート。
クリエイターは第三者に運命を委ねる存在で「取り組んでいることに情熱的であるべき」
教訓その1は、自分の中にある「なぜ?」という問いを理解すること。自分の思う「なぜ?」という気持ちがエゴを捨て去り、素晴らしい人を惹きつけ、獲るべき戦略を教えてくれます。
教訓その2は、自分のCULTURE(思考様式)を意識すること。CULTUREから恐れを知らない心・信ぴょう性・協調性・自信がにじみ出てきます。
教訓その3は、テクノロジーは結果であり手段ではないということ。
◆03:Kevin Systrom(Instagram)
画像共有サービスInstagramの創業者Kevin Systrom氏のノート。
シリコンバレーは「失敗」に対して寛容。問題がアイデアではなくスキル不足にある場合、徐々に経験を積めばよいのです。
また、完璧主義は捨てるべき。
言うことと実際にしていることが違う人はよくいるもの。しかし、起業家は常に野心を抱き続けることが大切です。
みんなが「あなたの考えは間違っている」と言うでしょう。99%のアイデアがうまくいかないのは確かです。しかし、そう言って自分を納得させるべきではありません。執拗に、理想を追求するべきです。
自分を納得させるのが大切。自分を説得するのは自分をおいて他にはいません。
意味のないことはしないこと。起業のときにTwitterを見るのはやめるべき。
良い場所・良い時間・良いチームをゲットできれば非常に幸運です。しかし、そうなるまでには幾多の苦難があるもの。
◆04:Reid Hoffman(LinkedIn)
世界最大のビジネス特化型SNS・LinkedInの共同設立者Reid Hoffman氏のノート。
「思い込み」も肯定的な資質になり得ます。時には自分を欺くことも大切。
1年のうちで本当に大切なパートナーの数はせいぜい5つ。
誰もいない場所に着目すべき。ブルーオーシャンならロケットスタートを切ることが可能。
「(事業の)アイデアに対する自信は上がっているのか下がっているのか?」常に自分に問いかけるべき。
「世界はどうあるべきなのか」を考えるべし。ゴールから逆算すれば、起業にあたって大切なものが見えてくるものです。
投資するときのポイントは、「巨額の利益を生む可能性があるか?」「人や組織を良い方向に変えられるのか?」「そうすべき手段なのか?」「この組織に勝ち目があるのか?」
開かれた市場では過当競争がよくあるので、起業家にとって必ずしも良いとは限らないとのこと。
◆05:Jan Koum(WhatsApp)
Facebookが1兆円以上の大金を投じる価値があると判断したメッセージサービスWhatsAppの共同創業者Jan Koum氏のノート。
唯一、焦点をあてるべきなのは「顧客」です。ユーザーをイライラさせるのは絶対に避けるべき。
私たちはエンジニアなので、ただただ開発をしたいだけ。技術者に会議は不要です。
多くのユーザーをゲットしてもなお個性を失ってはいけません。そして、利益を上げられるようになって初めて誰と働くかを選べるようになるのです。
多くの企業が犯す間違った考えは「SV(シリコンバレー)で通じたのだから、世界中のどこでも通じるはずだ」ということ。
「WhatsAppの仕事は決して華やかなものではなく、ひたすらにクラッシュしないように修正し、より速いサービスを提供することです」とのこと。
◆06:Eric Migicovsky(Pebble)
スマートウォッチPebbleの生みの親であるEric Migicovsky氏のノート。
Migicovsky氏の人生を変えたのはクラウドファンディングサイトKickstarterの「出品する」というボタンをクリックしたこと。
製品は3つのことさえできれば合格。Pebbleができる3つのことは、通知して呼び出すこと、フィットネスツールとして機能すること、カスタマイズできること。長い時間にわたって価値を提供する製品が良い製品とのこと。
創るべき製品は「人々が欲しがる物」
◆07:Andrew Mason(GROUPON)
割引きクーポンの共同購入サイトGROUPONの創業者Andrew Mason氏のノート。
スタートアップ企業はモノになるまではイカれた状態であることもよくあるものですが、理性的であるべき。
GROUPONは、うまくいきそうなものはすべて試したとのこと。
計算し尽くすことこそが、成長力の秘訣。
「戦略は何度も何度も練り直しました。雨後の竹の子のように出てくる類似の『クローン』サービスを憎んではいません。人間としては大嫌いですが」と述べるMason氏。
目先の利益に目がくらむこともしばしば。しかし、長期的な視点で考えることが大切。
理性的であることは大切ですが、「自分の価値」については例外。「良いと信じることを貫き通す信念は、必ずやペイする」とのこと。
◆08:Michelle Zatlyn&Matthew Prince(CloudFlare)
CDN(広域負荷分散システム)サービスのCloudFlareを設立したMichelle Zatlyn氏とMatthew Prince氏のノート。
CloudFlareのメトリクスは非常にうまくいきました。
しかし、ビジネスにおいて必勝法はありません。
人間は、年間10人の人を殺すサメを恐れて15万人の人を殺す蚊を恐れないものです。しかしビジネスではサメではなく蚊に注意すべき。
スタートアップ企業にとって最大の資源は「勢い」。古参よりも速く進化しなければなりません。
エゴは大切。しかしうぬぼれは不要。何はさておきハードに働くべき。企業が市場から退場を余儀なくされる平均年数はたった8年しかないのです。
◆09:Hosain Rahman(Jawbone)
ウェアラブル端末メーカーJawboneの共同創業者Hosain Rahman氏のノート。
「顧客の不満を解消し続けること」が王道。
「最初に100万ドル(約1億1000万円)を売り上げることは、その後の2億ドル(約220億円)よりも難しかった」とのこと。
大切なのは「考える」こと。
「どうするのが正解なのか?」を考えること。
ユーザーは「うまく機能しない物」に対して、忍耐強くないものです。
「良心」に照らして妥協はしないこと。
失敗は成功のもと。
細部にも気を払うことが大切。
徹底的に解決すること。
◆10:Emmett Shear(Twitch)
ゲームストリーミングサービスTwitchの共同創業者Emmett Shear氏のノート。
失敗続きでも成功した理由は諦めなかったから。
持っている力を集中させなければ成功には近づけません。
飛ぶ鳥を落とす勢いのTwitchと言えども何度も落ち込みながら成長してきました。
明かりを付けるスイッチは「顧客の声に耳を傾け改善すること」
ありきたりのビジネス戦略はたいてい良いのは最初だけ。
自分自身の心身を健康的に維持するのが大切。
好きではないことは続かないもの。
一般的なアドバイスは毒。
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