メモ

Googleの前CEOであるエリック・シュミットが考える新しい働き方とは?

by Daniel Miller

Googleは自動運転車やGoogle Glassなど革新的な技術をいくつも開発していますが、CEOのラリー・ペイジ氏は「人々のニーズを満たすために誰しもが己を捨ててまで忙しく働かなければいけない、という考え方は間違っている」と語るなど、独自のマネジメント観を持っていることでも知られています。そんなGoogleの全面協力のもとで新たに発行されることになったのが「How Google Works―私たちの働き方とマネジメント」です。

Don’t Ask Google’s Eric Schmidt How to Achieve “Work-Life Balance” | MIT Technology Review
http://www.technologyreview.com/news/531056/google-execs-have-ideas-on-how-to-run-your-business/

「How Google Works―私たちの働き方とマネジメント」はGoogle前CEOエリック・シュミット氏とラリー・ペイジ氏のアドバイザーのジョナサン・ローゼンバーグ氏が執筆。序文はペイジ氏が書いており、Googleで行われている「新しいマネジメント方法」を公開したものとなっています。発売を前にシュミット氏とローゼンバーグ氏が答えたMIT Technology Reviewのインタビューが公開されたのですが、どのような内容なのか、という雰囲気がつかめるものとなっていました。

インタビュアー:
はじめにお二人がマネジメントのアドバイスを本にすると聞いた時は、石油王ジャン・ゲティの「早く起床し、一生懸命働き、石油を掘り当てなさい」という言葉のようなものだと思いましたが、予想以上に素晴らしい本でした。

エリック・シュミット:
厚かましく聞こえるかもしれませんが、私はGoogleがいくつかの新たなマネジメント方法を編みだし、立証したのだと考えています。それを状況に適用してうまく使えるかどうかは使う人次第ですが。我々のマネジメント方法は新しいタイプのテクノロジー会社には適応しますが、既存の企業にはうまくなじまない可能性があります。

by Gisela Giardino

インタビュアー:
Googleの勤務時間のうち20%は自由時間」と言われ、社員は好きなプロジェクトに取りかかれますが、利益の少ない会社でこの方法を実行する余裕はないのではないでしょうか。

ジョナサン・ローゼンバーグ:
私はそうは思いません。ほとんどの会社は、情報を得てコンピューターの力を使うことで、今日なすべき仕事が自分が考えるより簡単になるという事実を知りません。彼らは20世紀の産業世界の観点から物事を見ているのです。今日の世界では多くのソフトウェアがオープンスタンダードであり、パワフルなAPIも多々あります。情報を駆使すれば少人数でも重要な仕事を実行することは可能であり、物事を実行することは非常に簡単なのです。

インタビュアー:
あなたは「人々は『よい方法で』オーバーワークするべきだ」と語っています。つまり人々が「興味のある仕事をたくさん持っている状態」です。本書の中で「マネージャーは従業員が毎週40時間働いているかどうかを確認するのは重要な要素でない」とも書かれていますが、「仕事と生活の調和」を訴えるワーク・ライフ・バランスの何が問題なのでしょうか。

エリック・シュミット:
このことをどう表現すればいいのかは悩みどころでした。成功した人生とは、必ずしもバランスの取れたものではないのです。彼らはものごとを熱心に推し進め、興味深く普通でないことをやっています。情熱を追求し、沸き立っているのです。「バランス」という言葉は、私には産業時代の言葉に見えますし、我々の働き方はこの言葉の意味に反しようとしていると思います。しかし、成功した人々はよい生活を送り、よく働き、調和がとれているのも確かです。

ジョナサン・ローゼンバーグ:
私がプロダクト・マネジメントをしていてよく見た光景なのですが、エンジニアたちは締切に近づくほどハードに、積極的に働き、締切後には静まりかえります。そこにはサイクルがあり、これまでの週40時間勤務モデルとは違うダイナミックさがありました。常に仕事と生活のバランスが取れているのではなく、サイクルがあるように思います。

インタビュアー:
それは確かにワーク・ライフ・バランスではありませんが、「ハードに仕事をする時期」と「静かな時期」があるというのも、1つのバランスではないでしょうか。つまり、あなた方が「我々の働き方はバランスという言葉に反している」と言いつつも、別の方法で「バランス」を取っているのではないか?ということです。

by peddhapati

ジョナサン・ローゼンバーグ:
私は本当にその言葉が好きではないのです。ここはマリッサ・メイヤーの発言である「恨みは『何をしろ、いつしろ』と言われたところからやってくる」という言葉を引用したいと思います。人々には仕事のデッドラインを持ちつつも自由に時間をやりくりしてもらいたいですし、自分の時間を過ごすことで独自の原動力を持ってもらいたいのです。

インタビュアー:
Googleは「従業員は家に仕事を持って帰るべきでない」とも考えています。「何をしろ、いつしろ」と言わないことが重要だと先ほど述べられましたが、「どこでしろ」というのは問題でないのでしょうか。

エリック・シュミット:
会社で働くといういう行為は任意ですが、チームワークは大切です。人々が集まり話合う事に意味があるので、会社を大きくしたいならば、従業員は会社に現れて情熱を燃やす必要があります。会話の多くはフォーマルなものではありませんが、人々が集まることで動きが起こるので、これは「何をしろ、いつしろ」と命令するのとは別のことです。

by Pixel Pro Photography

ジョナサン・ローゼンバーグ:
遠隔で行われるタスクもありますが、誰かがプロダクト開発の大渦に巻き込まれている時は、同僚との思いがけないやりとりが必要になります。遠隔で仕事を行うことも過去に多く経験しましたが、うまくいきませんでした。

インタビュアー:
今でも多くの会社が「遠隔から従業員が仕事をする」ことを推進していますが、どう思われますか。

ジョナサン・ローゼンバーグ:
そういう会社もあります。ただ、我々が親しくしている会社は大体、我々と同じ考えですね。そして既存の企業は「人々は出社して仕事をするもの」と考えています。

by Ray Bouknight

インタビュアー:
最後に、どうしてこの本を書くに至ったのでしょうか。競争相手に塩を送ることにはなりませんか。

エリック・シュミット:
まず言いたいのが、過去のマネジメントと我々が行うマネジメントは対立構造ではない、ということ。

また、シリコンバレーで技術が発達したのは、人々が互いに助け合ったからです。過去に私がノベル社に移った時も、私は周囲の人々からアドバイスを受けました。競争相手であって、そうする義務がない人々でも親切でした。


Googleの信条は、問題を解決し人々に利益をもたらすことです。産業に優れた人々を送りだし、マネジメントの質を向上させ、大きな願望を持ち、世界をよりよい場所にすること、それがGoogleの一貫した考え方です。従業員の優秀さといくつかのアルゴリズムの他に企業秘密などありませんよ。

ということでインタビューは終了。なお、日本では10月10日(金)発売予定のHow Google Worksの冒頭30ページは以下から試し読みが可能となっています。

【試読版】How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス) 私たちの働き方とマネジメント:エリック・シュミット(著)/ジョナサン・ローゼンバーグ(著)/アラン・イーグル(著)/ラリー・ペイジ(序文)/土方奈美(訳) : 日経ストア
https://eb.store.nikkei.com/asp/ShowItemDetailStart.do?itemId=D3-00235340B0&n_cid=STORE400



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in メモ, Posted by darkhorse_log

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