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日本のCD販売が世界的なデジタル販売主流化の中で伸びる理由とは?


iTunes Storeなどの楽曲デジタル販売や、Spotifyのようなストリーミングサービスは、CDなどの既存媒体を抜いて世界中で主流の音楽販売方式となっていますが、日本ではCDが全媒体の売上トップを保ち続けています。そんな世界の流れに真っ向から対抗する日本の奇妙な音楽ビジネスの独自性について、The New York Timesが考察しています。

CD-Loving Japan Resists Move to Online Music - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/09/17/business/media/cd-loving-japan-resists-move-to-digital-music-.html

東京のタワーレコード本店9階にいたのは、23歳のエンジニア・コイヌマキミアキさん。彼はデジタルよりもCDの音楽を好み、月に3枚のCDを購入しているとのこと。The New York Timesが取材を行った日には、ローリング・ストーンズの1972年のアルバム「Exile on Main St.」を手にしていました。


タワーレコードは業績の悪化から2006年にアメリカの89店舗を閉店し、その後NTTドコモが主要株主となりました。日本での売上が落ちることはなく、年商は5億ドル(約543億5000万円)に達しています。世界的に見るとCD販売は減少を続けており、スウェーデンのように音楽ストリーミングの割合が約85%に達する国も出てきています。世界ではアメリカに次いで2番目に大きな音楽市場を持つ日本ですが、音楽の需要はあるにも関わらず、全体的に見ると市場は10年間にわたって縮小を続けています。2013年の世界的な音楽市場の下落は3.9%という結果ですが、日本市場は17%のダウンとなっています。

デジタル販売は世界的に最も高い成長率を持つ音楽市場となっていますが、日本レコード協会によると、日本のデジタル販売の販売高は2009年の10億ドル(約1087億円)から2013年には4億ドル(約434億8000万円)へ急下降。ユニバーサルミュージックグループのLucian Grainge会長は「日本は全くもってユニークな国です」と、日本の独自性の強い音楽市場について懸念を表しています。

日本の全体的な音楽販売高の下降からも、デジタル販売は音楽ビジネスにとって回復が必要な重要要素です。新たな産業収入になると思われたSpotifyやRdioのような音楽ストリーミングは、日本への進出を試みたものの立ち往生しています。日本のポップ・アイドルは海外でも需要があると見られていますが、Spotifyのライセンス交渉は2年にわたって難航しているとのこと。Spotifyのケン・パークスCCOは、「日本が異なる方向へ進まなければいけないと分かった時、彼らは動くでしょう。そしてその時は近づきつつあると考えています」と話しています。


依然としてCDは日本の音楽市場で主要な収入源であり、The New York Timesは「モノの収集を愛する日本文化が関係しているかもしれません」と考えています。さらに、CDにイベントの参加チケットを封入することで、ファンに同じアルバムを何枚を購入させることができる「AKB商法」という優れた戦略を確立したAKB48がCD販売を持続する最も大きな要素となっていると述べています。

By keatl

タワーレコード本店でも同様のイベントが時折開催されており、13歳未満の子どもたちのグループ「こけぴよ」のサイン会や、ヴィジュアル系バンド「the LOTUS」のためにファンは足を運びます。LOTUSの女性ファンであるユリアさんは、バンドグッズや同じアルバムを何枚もバッグいっぱいに買っていったとのこと。

今のところ世界的なCD市場は150億ドル(約1兆6300億円)の規模で、全体の41%を占めています。日本の他にはドイツも大きなCD市場を持っていますが、何人かのアナリストは、「デジタル販売を受け入れていない国は、避けられないCD販売の下落によって産業が破滅する」と主張します。日本の特殊な音楽ビジネス体系は音楽関係会社に有利にできており、小売業者は新しいCDの価格を20ドル(約2100円)以上にするしかありません。

2000年ごろに携帯電話市場によってレコチョクのようなデジタル販売が勢いを見せましたが、スマートフォンの登場によってそのシステムは崩壊しています。その理由について幹部は、「日本は新サービスの許可が非常に遅く、ほとんどのポップミュージックの権利のコントロールが非常に難しいことにあります」と話しています。Sonyが展開するストリーミング・サービス「Music Unlimited」に人気のポップソングが欠けているのは同じ理由です。


日本レコード協会の理事・事務局長である畑陽一郎氏は「日本のレコード会社は現存する市場規模の維持に努めています。そして新しいデジタルサービスを許可していくことで、デジタル音楽市場の成長に挑戦します」と話しています。ミュージシャンのスガシカオは「デジタル販売では利益があまり出ない」とツイートしていますが、CD市場が縮小するまでに、デジタル販売による抜本的かつ正当的なアーティストへの収益化が必要なのかもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log