ロードバイク乗りがスネ毛を剃ることで生まれていた最大のメリットとは?

By Erwin Bolwidt

街なかで見かけることが多くなったロードバイク乗り(ローディ)の多くに共通している特徴と言えば、「ピチピチのレーシングジャージ」に「ツルツルに剃りあげられた足」を思い浮かべる人も多いはず。ローディにとっては「カッコいい」と思っているスタイルなのに興味のない人には奇妙にうつることもあるものですが、実はスネ毛を剃ることでパフォーマンスに大きな影響を与える効果が生まれていたことが明らかになってきています。

The curious case of the cyclist’s unshaven legs - The Globe and Mail
http://www.theglobeandmail.com/life/health-and-fitness/health/the-curious-case-of-the-cyclists-unshaved-legs/article20370814/

「スネ毛を剃るべきか否か、そしてその意味は」という論争はこれまでも絶えることがなく、「単なるファッションだ」とする意見や「落車してケガを負った時に処置をしやすくするため」というもの、さらに「空気抵抗を軽減するため」などといった説が唱えられてきました。とりわけ、実際に落車してケガを負うことで「ケガした時のため」論の有効性を痛感したことがある人もいるはず。

By Ornoth

それらの中でも「空気抵抗軽減論」は最も根拠が薄く、眉唾モノと捉えられてきた感が否めなかったのですが、巨大な風車で人工的に空気の流れを起こして空気抵抗などを測定する風洞設備を用いた最新の実験の結果からは、それまで一般的に考えられてきたよりも大きなメリットが生まれていたことが明らかになりました。


世界的自転車メーカー「SPECIALIZED(スペシャライズド)」のバイクを駆るトライアスロン選手のジェシー・トーマス氏は風洞の中でバイクに乗って空力性能を測定するテストを実施していたのですが、ある日のテストセッションの前にスネ毛の処理を忘れていたことに気が付きました。大した違いもうまれないだろうと思いながらテストを進めましたが、途中でいつもどおりスネ毛を剃ってみたところ予想を上回る結果が現れたそうで、その時の様子を「まったくのジョークだと思った。毛を剃ることであれほどの違いがうまれるとは誰も予想だにしていなかった」と語ります。


このときに測定された結果によると、スネ毛の処理を行うことでドラッグ(空気抵抗)を7%も軽減できることが明らかになっており、これはライダーがペダルを踏み込むパワーの15ワット分に相当します。ひとくちに「7%」と言ってもピンと来ないものですが、40kmの距離を走り抜けるタイムを競う「タイムトライアル」という競技でいえば、1時間後にゴールする時点で理論的には79秒もの差を生むものとなっており、ときにはコンマ1秒の差を競うこともある選手にとってはとてつもなく大きなアドバンテージを生むものとなることは明らかです。

テストでは別のパーツの違いなどによる差も測定されたのですが、新型ヘルメットによって生まれた差で約3%、腕を顔の前の高さにまで持ち上げる「カマキリポジション(praying mantis)」で5%、そして手首から足首までをスッポリ覆う一体型のエアロレーシングスーツで8%という結果が残されています。

ところが、この結果は1987年に実施されていた同様の実験の際に測定された「0.6%」という結果と大きく食い違うものとなったため、混乱が生じます。当時の結果をもとに計算すると、1時間後のゴール時に生まれるタイム差はわずか5秒ほどだったために「スネ毛の処理には、ほとんど意味がない」という結論が導きだされていたので、これに真っ向から反する最新の実験結果には疑問を唱えるものまで出てくる状況だったとのこと。

By GasMunky

最新のテストを実施したSPECIALIZEDの空力スペシャリストであるクリス・ユ氏とマーク・コート氏は、さらに5名のライダーで同じ実験を実施して確証性をチェック。すると同様に良好な結果がマークされ、40kmのタイム差に換算して50秒から82秒に相当するアドバンテージが生まれるという結果が明らかにされました。

この結果をもとにコート氏は、1987年の実験を担当したチェスター・カイル氏のもとを尋ね、このような結果が生まれたことについて何か思い当たることはないかと考えを乞うことに。すると、当時の実験では人間の足を模したミニチュア模型とミニ風洞が用いられ、毛は接着剤で模型に貼り付けられた状態でテストが実施されていたという事実に行き着いたそうです。

おそらく当時としては最良の条件で実施されていたと考えるべきであり、「不適切なテスト方法だった」と決めつけるのは早計であると思われますが、やはり過去の実験結果をそのまま信じることなく基礎的な検証を進めることが大事であることを物語る結果となっていました。

なお、コート氏らのチームではさらに空力特性の追求が進められています。そこには最新素材による低ドラッグレーシングスーツから、スネ毛に続いて「腕の毛」を剃るといったさまざまな条件が検証されているとのこと。コート氏は「まるで『あら探し』のような観点ですが、これこそが私たちが風洞実験を繰り返す理由です」と語っています。


このように、ローディがスネ毛を処理することにはきちんとした意味があることが立証されることになりました。今後は自信を持ってツルッツルの状態にすることができそうです。

By Jeff Werner

なお、お風呂などでスネ毛を処理した後は、流し口にたまった毛をきちんと捨てておかないと家族から反感をかうことになるので注意が必要です。

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