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サイエンス

脳のリセットボタンを押して創造性を発揮させる方法

by John Morgan

仕事に生活が浸食されてくると休みの最中、休んでいることに罪悪感を持ってしまい、仕事のメールをついチェックしてしまうこともしばしば。しかし、情報に常に触れて頭をフルに動かし続けることは創造性やひらめきを奪ってしまうとして、「脳のリセットボタンを押すこと」の重要性が説かれています。

Hit the Reset Button in Your Brain - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/08/10/opinion/sunday/hit-the-reset-button-in-your-brain.html

情報化が進み、2011年の研究によれば現在における1日の情報量は1986年のおよそ5倍、新聞で言うなら174紙に等しい量に膨れあがっています。世界中のテレビ局の数は全部で2万1274局もあり、これらが放送するテレビ番組の合計時間は1日で8万5000時間にものぼり、さらにYouTubeには1時間に5999時間分のムービーが毎日アップされています。嘘か本当か分からないものも含めると、現代の人々は毎日あらゆる方向から情報の攻撃にあっているかのようなものです。

しかし、人間の意識処理能力には限界があり、情報の波に圧倒されている人も多いはず。

人の脳が何か注意する時の重要な要素として、「課題陽性ネットワーク」と「課題陰性ネットワーク」という2つのモードがあります。課題陽性ネットワークは人がタスクに没頭している時に活発化するもので、神経科学者たちは「中央実行系」と呼びます。一方で課題陰性ネットワークと呼ばれる「空想モード」は脳が取り留めなく思考している時に活発化するものであり、2つのモードは脳の中でシーソーのように切り替わります。

by Polygon Medical Animation

この2つのモードのおかげで人間はピラミッドを作り、ペニシリンを発見し、ヒトゲノムを解読したわけですが、物事の本質を直感的につかむには空想モードの存在が不可欠です。複数のアイデアや考えが結びつけられる空想モードは素晴らしい創造性やひらめきを生み出します。例え集中して考え抜いた末に1つの問題を解いたと思っていても、実際のところ本当の意味で問題は解決しておらず、散歩や買い物など注意を持続させなくてもいい時に突如として問題の解答が浮かび上がってくるもの。これは空想モードで取り留めなく考えているうちに、これまで結びつけなかったものを結びつけることができるためです。

もう1つ中央実行系において重要な要素が「注意フィルター」です。注意フィルターは脳が私たちに「何に注意を向けるべきで、何を無視していいのか」ということを教えてくれるもので、捕食動物や危機的状況など、危険を察知するために発達しました。情報が氾濫する現在において、人はTwitterやFacebook、メールなど、あらゆる情報にさらされますが、我々の1つの物事に対する注意は長時間キープできるものではありません。これこそが現代における情報の呪いなのです。

つまり、TwitterやFacebookから得る情報は、人の脳の中で「ケンカした友だちとどうやって和解しよう」「パスポートはどこに置いたっけ?」といった重要な情報と一緒に取捨選択にかけられ、その結果脳は無駄に多くのエネルギーを消費してしまうことになります。そのため、よりクリエイティブに、より生産的に、そしてエネルギッシュになりたいならば、漫然とソーシャルネットワークに時間を割くのではなく、生活を区分し、一定の時間を設けてその中でこれらを楽しむべきなのです。

by IBoomMedia

メールにも同じ事が言え、考えの最中にメールがやってくると集中力がそがれ、自分がその時やっている事から気がそらされてしまいます。着信音を聞き「何が書いてあるのか?」「誰からのメールか?」「いいニュースなのか、悪いニュースなのか?」といった事を気にしつつメールを無視するよりも、メールの存在自体から距離を置く方がよいと言えます。

また、空想モードと中央実行系のスイッチが島皮質と呼ばれる脳の部位でコントロールされていることはスタンフォード大学でのVinod Menon教授とDaniel J. Levitin教授によりすでに証明されています。この研究結果によれば、中央実行系と空想システムをシーソーのような関係と言うなら、注意のスイッチを入れる島皮質はシーソーの片方に大人を乗せて、何も乗せないもう片方は宙に浮いているという状態を作り出す、とのこと。スイッチの効き目は人それぞれで、スムーズに切り替わるものもあれば錆びて切り替わりにくくなっているものもありますが、いずれにしてもスイッチの切り替わりが多すぎるとハイスピードでシーソーを使った時のように我々は混乱し疲れてしまうのです。

by takasuii

マルチタスクを控えて1つのタスクに30分なり50分なり集中し、その後に休息を取ると創造性は自然とやってきます。いくつかの研究が示すように、自然の中を散歩したり音楽に耳を傾けると脳は空想モードに切り替わり、自分の必要とするものごとの見方を得ることもできます。つまり、これが「脳のリセットボタンを押す」という行為になるわけです。

また、「問題はすぐに解決するものではなく、時間を要することもある」という考えはさまざまな決断において効果を発揮します。例えば、推計によるとアメリカにおいて医療ミスは3番目の死因ですが、人々が医者に求めるのは「今すぐに答えを出すこと」ではなく「正しい答えを出すこと」です。そのための息抜きは悪いことではありません。パイロットや航空管制官が仕事中に休むと聞くと反感を持ってしまいそうですが、リセットは必要であり、事実彼らは頻繁に休憩を取ります。オーバーワークは仕事の効率性を下げてしまうことをしっかり理解する必要があります。

by amanda tipton

生物学的に言うと、休息は「気つけ薬」です。10分間の昼寝は認知機能と活力を高め、眠気や疲れを取り除きます。仕事から離れて規則的な休暇を取ったり、昼寝や瞑想の時間を取るようになれば、世界に横たわる大きな問題を解決するための優れた状態になることが可能になるのです。

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in サイエンス, Posted by logq_fa