パンツの中まで見えてしまう空港の全身透視スキャナーは武器を持ったまま簡単に通過できる

by DARIO LEVI

空港などで武器を持ち込んでいないかをチェックするために欧米を中心に導入された後方散乱X線検査装置は、全身透視スキャナーとして知られ、パンツの下まで丸見えになってしまうとしてプライバシーの問題も浮上している装置。裸の集団が空港に押し寄せるフラッシュモブまで実施されているのですが、この全身透視スキャナーを使っても簡単に武器が持ち込めるという調査結果が公開されました。

Security Analysis of a Full-Body Scanner
(PDFファイル)https://radsec.org/secure1000-sec14.pdf

Got weapons? Nude body scanners easily defeated | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2014/08/got-weapons-nude-body-scanners-easily-defeated/

これはサンディエゴで開催されたUSENIX Securityのシンポジウムで発表されたレポート。後方散乱X線技術を使ったラピスキャン・システムズの全身透視スキャナー「Secure 1000」は世界中の空港やアメリカの刑務所・裁判所にまで導入されている装置ですが、カリフォルニア大学サンディエゴ校・ミシガン大学・ジョンズ・ホプキンズ大学の研究者らが発表した「Security Analysis of a Full-Body Scanner」によると、専門家でなくても「体の横に武器を隠せば装置を通り抜けることができる」ことを確認したとのこと。

研究者らは体のいろいろな部分に武器をつけて装置を通過するという、いくつかのテストを実施。その結果、「膝の外側にテープでピストルを固定する」「膝の外側、ズボンの内側にピストルを縫い付ける」という方法で武器を持ち込めることが分かりました。この方法を使うと、ピストルは黒い背景と同化してしまい、チェックしている人には見えなくなってしまうのです。

以下の画像の膝あたりにピストルが固定されているのですが、どちらも全く存在が分かりません。


また、金属製のナイフを背骨と似た色合いのプラスチックで包むと、体の表面であってもスキャナーに検知されないようになります。


全身透視スキャナーの問題については、2012年にはフロリダ在住の男性が「2つの空港で金属を持ち込んだが、いずれも探知されなかった」ということを実証するムービーを公開しています。

How To Get Anything Through TSA Nude Body Scanners - YouTube


これが全身透視スキャナーで撮影した写真。体の表面と裏面をスキャンした様子が表示されるのですが……


左側の女性は胸の前にペンダントのようなもの、右側の男性の体にはピストルやナイフのようなものが隠されていることがハッキリ分かります。


しかし、緑の線で囲まれている部分、女性の体の横にくっつけられている金属製のオブジェクトは全く検知されていません。


つまり、シャツの内側・体の側面にオブジェクトを縫い付けてしまえば検知されないというわけです。


さっそく実験してみます。男性が手に持っているのは金属製のケース。


通常であればベルトなどと一緒にケースに入れてX線を通すところですが……


今回は体の側面についたポケットに入れて通過してみます。


スキャナーをくぐり……


全く装置に検知されず持ち込むことに成功。今回、ケースの中は空だったのですが、凶器やコカインなども簡単に持ち込めてしまうという問題点が明らかになりました。


ということで実験の結果、薄型の素材ならSecure 1000を通過して持ち込めることが実証されました。金属探知機があれば起爆装置を検知できるかもしれませんが、全ての爆弾に金属が備わっているわけではなく、プラスチック爆弾も持ち込める可能性があります。

アメリカ国土安全保障省の運輸保安庁は「これら装置は安全である」と、上記のムービーをあしらうようなコメントをしましたが、大学の研究者らは上記の男性の挑戦の1つを4万9500ドル(約510万円)でeBayから購入しています。

レポートにおいて、ミシガン大学のJ. Alex Halderman教授は「このスキャナーがテストされ、実際に利用されるにあたって、政府のプロセスに何か間違いがあったと言える」とコメントしました。

なお、問題となっている全身透視スキャナーのうちSecure 1000は既にアメリカの空港から撤去されていますが、世界ではまだ使用されている空港が多く存在します。

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