メモ

子どもたちへのアドバイスとしての「1000時間ルール」とは?

By woodleywonderworks

マルコム・グラッドウェル氏の著書「天才! 成功する人々の法則」で紹介されて広く知られることになった1万時間ルールは「一流・天才と呼ばれる人は、1万時間の厳しい練習に打ち込んでいる」というもので、いざ思い立って実行するにはハードルが高く感じます。そんな1万時間ルールをベースに唱えられている「1000時間ルール」は、あまり極端に多くのモチベーションは必要とせず、それでいて一定の成果を出すための指標として身近に役立ちそうなものとなっています。

Philip Guo - My advice for kids: The 1,000-hour rule
http://www.pgbovine.net/1000-hour-rule.htm

この「1000時間ルール」を唱えるのはロチェスター大学のPhilip Guo准教授。Guo氏はPythonが大学の入門用プログラミング言語として人気を集めていることを明らかにするなど、コンピューターサイエンスの分野に携わっている人物です。


「まだ人生の助言を与えるような段階ではないのですが」と謙虚な姿勢を忘れないGuo氏は、子どもたちに向けてのメッセージとして以下のような言葉を送っています。

何か心から楽しんでやれることを見つけ、とにかく粘り強く続けてそこから学び続けてください。そのうち10年ぐらいがたった時には、きっとそのことに優れた人になっていて、自分の自信になることでしょう。

Find something you genuinely enjoy doing for its own sake, stick with it, keep learning more about it, and after a decade or so, you can't help but get good at it and feel proud of yourself.

これを実行するためのルールとして、Guo氏は上記の1万時間ルールをベースにした1000時間ルールを独自に唱えています。1万時間ルールは「特に若い頃から、絶え間なくハイレベルな練習を1万時間続けると、その分野のエキスパートになれる」というものですが、実際に1万時間を達成するために要する期間は、1日あたり4時間の練習を週に5日行ったと仮定して「10000時間÷4時間=2500日、2500日÷260日=約10年」というとてつもなく長い期間となり、実際に続けるためには類いまれなる情熱と根気が求められることになります。

しかしGuo氏の考えでは、必ずしも何かの分野で「エキスパート」にまで上り詰めなければならないとプレッシャーを感じるよりは、そのことが「上手」であることや「得意」であることも大切とのこと。10年で1000時間の練習を達成するために必要な練習時間は1年あたり100時間となり、これは1週間あたり2時間の練習を行えばよいということになるので、ぐっと身近な目標になることが感じられるはず。また、「週あたり2時間」は計算上の目安であるため「1日30分を週に4日」というペース配分でも効果はあるかもしれません。

By Peter Kaminski

その具体的な例として、Guo氏は自身のエピソードを「ちょっとしたナルシシズム」の一つとして紹介しています。Guo氏による原文のブログのデザインはシンプルではあるものの、うまくまとめられてスッキリと見やすいものになっているのですが、これはGuo氏が自分の趣味で続けていたウェブサイト作成の延長線上にあるものだそうです。また、文章を読んでみると論点が明確で、簡潔にまとめられて読みやすくまとめられているといえますが、これも長く続けるうちに身についたスキルであると語っています。


今では読者からもその読みやすさや内容を評価する声が寄せられるというGuo氏のブログですが、1997年ごろにサイト作りを趣味で始めた頃の仕上がりについて「ヒドいものだった」と振り返っています。昔のデザインばかりを集めた特設ページが設けられているのですが、なんというか、若さや試行錯誤感のあふれるデザインがズラリと並べられ、時代とともに変化してレベルアップしてきている様子を目の当たりにすることができます。


まさにGuo氏の体験こそが「1000時間ルール」のよい実践例となっているわけですが、実行に移すためのアドバイスとして「やるだけで楽しいものを見つけ、それを続けてください。常に好奇心を失わず、そこから学び続けること。そして大きな野心などは持たず、純粋な趣味として取り組んでください」と語っています。そうすれば1万時間ルールほどの高いモチベーションやある種の義務感を持つ必要もなく、きっと10年後にはその何かに秀でた人物になっている、というのがGuo氏の唱える1000時間ルールの神髄となっているようです。

By Peter Voerman

1万時間ルールほどの高いルールを設定する必要のない1000時間ルールですが、必ずしも子ども向けに限らず、大人に対しても目標設定の一つの基準として活用できるかもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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