今感じている「現在」は直近15秒間の知覚の集大成であるという調査結果が発表される

By Blythe D.

人間の感覚と脳での認知には一定のタイムラグがあり、「私たちが『現在』と感じていることは、実際には0.5秒前に発生したものである」という説を耳にしたことがある人も多いと思いますが、さらにその認識は直前のおよそ15秒間の間に知覚された情報が影響を与えあったものであるという研究結果が発表されています。

Your reality is 15 seconds in the making - Quartz
http://qz.com/193708/your-reality-is-15-seconds-in-the-making/#/h/59390,1,59397,2/

(PDFファイル)Serial dependence in visual perception - fischer_whitney_nn_2014.pdf
http://web.mit.edu/jason_f/www/uploads/2/4/8/4/24849551/fischer_whitney_nn_2014.pdf


カリフォルニア大学バークレー校の博士研究員であるジェイソン・フィッシャー氏は、短い時間で注意の対象物を変化させた場合の知覚に与える影響について検証を実施。その結果、人がある時点で認知している内容はその瞬間に目にしたものだけではなく、それ以前のおよそ15秒間にわたって見てきた内容がミックスされたようなものであるということが判明しました。報告書ではこの一時的な認知能力を「continuity field(連続視野)」と呼び、われわれがいかにして対象物に注意を払っているのかを説明するものであるとしています。

「視覚における連続依存性(Serial dependence in visual perception)」と題されたこの論文では、被験者に対してコンピューターのスクリーン上に「ガボールパッチ」と呼ばれる線状の模様を0.5秒間だけ表示し、その模様が左右に傾いている角度を回答させるという約5秒間のテストを複数回連続で実施した際の結果が示されています。


大方の予想どおり、基本的には直近に見たパッチの向きほど正確に覚えているという傾向が見られたのですが、いくつかの回答ではそれまでに目にしたパッチの記憶の影響を受け、傾きの角度を緩く回答することがあったことが明らかになりました。たとえば、最後に現れたパッチが右に45度傾いていた場合でも、その直前の3つのパッチが左に傾いていると、被験者は最後のパッチの角度を45度よりも少なく回答する傾向があったのです。この減少は、我々が目でものを認知している場合でも、脳の中ではその直前の出来事によって知覚が影響を受けている可能性があることを示しています。

今回の検証で実施された実験は12例にとどまるため、今後のさらなる検証が行われることが求められるものとなっています。フィッシャー氏によるとこの手の研究はこれまでにほとんど行われておらず、今回の検証は新たな分野への最初のステップになるとのこと。

この「連続視野」が実在するものであるとするならば、その目的についてフィッシャー氏は「複数の対象物に対して同時に集中ことを可能にするため」であると語ります。もしその能力がなければ、我々の注意はある一点のみ固執することになり、たとえば雨の日に自動車を運転するような場合に、フロントガラスにあたる雨粒にばかり目をとられ、それ以外のものに目を向けられなくなる状況に陥るようになってしまうといいます。

By Hasin Hayder

フィッシャー氏はさらに聴覚など別の感覚でも同様の検証を進める予定で、そこから自閉症や多動症候群などの症状の理解が深まることへの期待を語っています。

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in サイエンス, Posted by logx_tm