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人は社会主義体制下ではよりズルを働きやすい事が判明

By Travis

資本主義の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す思想である「社会主義」は、東西冷戦の終結と共に世界から一気に姿を消し、現在では一部の国で採用されるにとどまることになりました。社会主義が機能しなかった原因の一つに、人間の根源的な欲望の存在がしばしば指摘されますが、最近の研究では、社会主義体制下で長く暮らせば暮らすほど人はズル賢くなってしまうことが明らかになっています。

Economics and ethics: Lying commies | The Economist
http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21607830-more-people-are-exposed-socialism-worse-they-behave-lying-commies

社会の財産や富をみなで分け合う(共同所有する)ことで平等な社会を目指す「共産主義」を究極的な目標として、その実現に向けた第一歩である政治体制の社会主義は、個人主義的な自由主義や自由主義を基本原理とした資本主義を批判し、1922年に世界初の社会主義国家としてソビエト連邦(ソ連)が誕生して以降、ドイツの東西分断によって誕生したドイツ民主共和国(東ドイツ)など世界中の国で採用されました。

しかし、政治的・経済的に行き詰まった社会主義体制は、1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連崩壊などの冷戦終結を象徴する出来事と共に、世界から一気にフェードアウトしていきました。

By fiahless

冷戦が終わってからは、「社会主義がうまく機能しなかったのはなぜか?」という研究が世界中で進められていますが、ミュンヘン大学とデューク大学の最新の研究で判明した「社会主義体制下では人はズルを働きやすい」という実験結果は、社会主義に潜む落とし穴を示しているかもしれません。

ミュンヘン大学・デューク大学の共同研究では、「個人的利益を得ようと人はどれだけ嘘をつくのか?」を調べるために、2013年にドイツのベルリン市民から無作為に250人を選び、勝てば最大6ユーロ(約830円)をもらえるゲームを実施しました。

このゲームは、参加者はサイコロを振る前に、出る目もしくはその裏側の目のどちらか一つを選ぶことを事前に決定した上で、その決定した目を順次、紙に記録していき、40回振った後に記録した目の合計得点を競う、という内容でした。なお、このゲームでは、サイコロを振る前の決定を他人に宣言することは求められていないため、例えば、サイコロ側面のより大きな目を記録するというズルがやりたい放題という状況が作られていました。

By Amy the Nurse

大方の予想通り、実験結果は、多くの参加者が「5」「6」という高得点の出目を連発するという分かりやすいものでしたが、研究者たちが、参加者の申告した得点と参加者の年齢・居住暦などの関係性を調べると、旧東ドイツ出身の人は、冷戦時代に旧西ドイツで育った人の2倍も多く、サイコロの出た目をごまかしていることが判明しました。

さらに、研究者たちがベルリンの壁崩壊前に旧東ドイツでどれだけ長い時間暮らしたかを調べたところ、その時間が長ければ長いほど、ゲームで出た目をごまかしやすいという傾向を確認したとのこと。

もっともこの研究では「社会主義」と「不正行為」の間の因果関係については何も証明していないため、ズルをしやすかった原因が「貧困」などの旧東ドイツ地域特有の要因である可能性は否定できません。しかし、仮に、「みなが平等であるユートピアを目指した社会主義の方が資本主義以上に人は他人を出し抜きやすくなる」という傾向にあるとするならば、何とも皮肉な話です。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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