メモ

政府があなたを「危険人物」と見なして徹底的に監視する基準とは?


2001年9月11日に同時多発テロが発生して以降、アメリカ政府はテロ対策という名目のもと、ブッシュ政権下で「米国愛国者法」、オバマ政権下で「国防権限法(NDAA)」という法案を成立させ、アメリカ国内での国民監視態勢を強化してきましたが、テロリストだけでなくテロ活動への関与が疑われる人物を監視下に置き徹底的にマークするために監視対象者を登録するリストの存在と監視対象にする基準が、流出した政府機関作成文書によって明らかにされています。

March 2013 Watchlisting Guidance - The Intercept
https://firstlook.org/theintercept/document/2014/07/23/march-2013-watchlisting-guidance/

Blacklisted: The Secret Government Rulebook For Labeling You a TerroristThe Intercept
https://firstlook.org/theintercept/article/2014/07/23/blacklisted/

eBayの創設者であるピエール・オミダイア氏らによって設立された新興のインターネットニュースメディアThe Interceptは、オバマ政権が作成した「Watchlisting Guidance(対テロ用・要監視指定ガイダンス)」という、テロ対策のために要注意人物を指定して監視対象下に置くための認定基準(判断基準)がまとめられた文書を入手し公開しました。


このWatchlisting Guidance(以下、「ガイドライン」)は国家テロ対策センターによって2013年3月に作成された166ページに及ぶ文書で、主要なテロリストの情報だけでなく、監視すべき人物を登録するWatchlist(ウォッチリスト)とリストに載せるべき人物を選定するためのルールが記述されています。

そこには、特定の人物を監視対象にする基準として、「合理的な疑い」という曖昧さを残す概念に依存している運用体制が明記されているとのこと。なお、疑いが合理的であるかどうかを判断するのは政府機関であることから、リスト搭載の可否について裁量の余地が大きいことは明らか。また、ガイドラインは信頼できない情報に基づいて要監視対象に指定することを禁止してはいるものの、「合理的な疑いを抱く根拠として動かせざる証拠や具体的事実は必要ではない」としていることから、恣意的な監視指定を予防することは困難だと考えられています。


さらに、合理的な疑いを満たしていない場合でも特定の人々を監視対象リストに加えるための抜け穴とでもいうべき例外規定が設けられており、例えば、テロ活動への関与が確認できなくともテロリストと疑われる人物と何らかの関係性があれば監視対象にしてOKとされているとのこと。つまりテロリストと疑わしい人物の携帯電話の電話帳に自分の名前が登録されているだけでアウトというわけです。

ウォッチリストの登録情報はアメリカ政府関係機関だけでなく外国政府や地方行政や一部民間企業にも共有されるため、一度ウォッチリストに登録されると、飛行機の利用を拒否されたり就職の際に不利になったりという不利益を受ける可能性があります。なお、ウォッチリストからの削除を要求する適正な手続きは不明瞭で、また、死亡したからといってリストから削除されるわけでもないとThe Interceptは指摘しています。


2001年9月11日に同時多発テロが発生するまでに政府が飛行禁止リストに指定していた人物はわずか16人だったところ、ウォッチリストの運用に伴って飛行禁止リストに名前を挙げられている人物の数は増え、現在では数万人にのぼるとのこと。これに関連して、テッド・ケネディ上院議員が、飛行禁止リストに搭載された人物の偽名と同一の名前であるという理由で5回も飛行機への搭乗を拒否されるという「事件」が起こっています。


あまりにも広範な裁量を認めるガイドラインの基準は、テロ活動とは何の関係も持たない善良な市民を安易に監視対象にしてしまうという危険性だけでなく、監視対象の範囲を増やし過ぎるあまり、本当に監視すべきテロリストの存在を群衆の中に埋もれさせてしまうという危険性もあると指摘されています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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