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「最大多数の最大幸福」を唱えたジェレミ・ベンサムの性についての知られざる見解

By catlovers

イギリスの哲学者ジェレミ・ベンサムはアマチュア学者でありながらも、個人の利益が社会全体の利益になり、また、社会全体の利益が個人の利益にもなるという「功利主義」の提唱者として歴史に名前を残した人物です。哲学者として名声を手にしたベンサムですが、性に対して尋常ではないほどの情熱を持っていた人物であることはあまり知られていません。

Of Sexual Irregularities by Jeremy Bentham – review | Books | The Guardian
http://www.theguardian.com/books/2014/jun/26/sexual-irregularities-morality-jeremy-bentham-review

1832年に他界したベンサムはイギリスだけでなく、世界各国で自身の社会的・政治的功績を認められた哲学者。フランスでは名誉市民として表彰されたり、ヨーロッパから遠く離れた中米にあるグアテマラの指導者ホセ・デル・バレが「ベンサムは世界の立法者である」と評したこともあります。


生前の功績からベンサムは、その生涯を人々の幸福と社会にささげた人物で、性や恋とはかけ離れた生活を送っていたと考えられており、イギリスの文学史家レズリー・スティーヴンが「哲学者としてのベンサムは恋に落ちたことがないだけではなく、女性と全く会話したことがないように見える」という言葉を残したほど。

しかしながら、2012年に発行された書籍「The Origins of Sex: A History of the First Sexual Revolution」には、恋や性に対するベンサムの人物像が間違ってとらえられていたことが書かれています。


ベンサムは20歳のときに1人の女性と恋に落ち、その女性と結婚を考えていました。しかしながら女性が孤児という出自を持っていたことが原因で、ベンサムの父は結婚に大反対し、残念ながらお互いは別の道を進むことになります。

ベンサムは父の死後、遺産を相続して驚くほど裕福な生活を送ることになりました。ガラリと生活の変わったベンサムが当時付き合っていたのがキャロライン・フォックスという貴族の女性。驚いたことに、ベンサムはフォックスとの性行為をノートに事細かに記していて、その内容はセックスの技術や体位から、さらには性玩具までにおよび、「ベンサムは女性と無縁の人生を送っていた」と評価した人たちが赤面するほどだったと言います。

By Brady

性に対する情熱は、ベンサムの趣味といったわけではなく、生前に残した「最大多数の最大幸福」という言葉が示すように、ベンサムの考え方に起因しています。当時のイギリスでは、婚前婚外性交渉を禁止するイギリス国教会が人口のほとんどを占めており、快楽目的での性交渉は厳しく制限されていました。「景気を促進するには、個人の快楽への欲求を解放する必要がある」と考えてきたベンサムは「性行為は人間が得られる快楽の中でも最高のものである。全ての快楽の中で最も普遍的で、簡単に手に入れられるのが性行為で、他の快楽とは比べものにならないほど幸福を感じられる」と性行為に対する意見を述べ、政治家や哲学者に性行為を禁ずる制限を取り除くよう助言していました。

By David Yu

ベンサムが性行為制限の解放に対して抱いていた情熱は、イギリス社会が長らく同性愛者を虐げていたことにも起因しています。当時のイギリスでは同性愛者とみなされると、処刑、もしくは国外追放という処分を下され、ベンサムは同性愛者を差別する社会に畏怖の念を抱いていたそうです。性行為が社会の利益になると考えていたベンサムにとって、男性同士の性行為は男女のものと何も変わらなかったわけです。

現在のイギリスは性行為を禁ずる法律は存在せず、ベンサムが真に望んでいたように性行為は個人が自由に楽しむ人間的行為として捉えられています。しかしながら、ベンサムが性の自由を唱えた最初の哲学者であることはほとんど知られていません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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