「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」の海賊版を開発者・中裕司さんにプレゼントすることになった話


1992年にセガから発売されたメガドライブ用のアクションゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」は、日本だけではなく海外にもコアなファンを大勢生み出したゲームの1つです。実はソニック・ザ・ヘッジホッグ2には、インターネット上でしか手に入らないベータ版なるものが存在し、ベータ版には完成版には含まれていない隠しステージが複数存在します。ソニックシリーズの大ファンというThe Atlanticの女性記者Heidi Kempsさんが、ソニックシリーズの開発者である中裕司さんにインタビューを実施してベータ版について聞いたところ、思いもよらない展開が待ち受けていました。

A Quest for the Secret Origins of Lost Video-Game Levels - ​Heidi Kemps - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/technology/archive/2014/07/a-quest-to-find-the-secret-origins-of-lost-video-game-levels/373925/

中さんにインタビューを実施したKempsさんは、子どものころのクリスマスプレゼントに「スーパーファミコンかメガドライブのどちらか1つ」という厳しい選択を迫られ、メガドライブを選んだという根っからのセガ好き。そのKempsさんが初めて購入したメガドライブ向けのゲームがソニック・ザ・ヘッジホッグ2でした。

By RonaldWong

ソニック2をプレイしまくったKempsさんはある日、ゲームに含まれているサウンドテストにゲーム内に登場しないステージの曲が含まれていることに気づきました。Kempsさんが調べまくったところ、あるゲーム雑誌に「Hidden Palace」というステージのスクリーンショットが掲載されているのを発見。その後、何人かの読者が記事の執筆者にHidden Palaceについて聞いたところ、執筆者は「Hidden Palaceは開発段階では含まれていたけども、完成版には含まれてなかったんです」と回答したそうです。

それから時はたち、新しいソニックシリーズが多数発売されても、KempsさんのHidden Palaceに対する思いは立ち消えませんでした。ちょうどその頃、家庭用ゲーム機のソフトをフロッピーディスクにコピーするデバイスが登場。その後もWorld Wide Webの誕生により、スーパーファミコンやメガドライブのゲームのコピーを動作させるエミュレーターがでてきて、昔のゲームを探していたコアなゲーマーたちの間で「ゲームのコピーをインターネット上でゲットしてエミュレーターでプレイすること」が流行しました。

ゲームファイルのコピーがインターネットで横行していたとき、ある人物が「Secrets of Sonic the Hedgehog」というソニックファンのファンサイトに完成版には含まれなかったはずのHidden Palaceを含む、未公開ステージの画像を投稿。投稿された画像はピンぼけがひどかったものの、ファンの間で本物であるとみなされ、熱狂的なソニックファンは画像のステージの出どころ捜索に躍起になります。


そしてついに、Simon Waiさんという1人のユーザーによって中国語のウェブサイトで発見されたROMファイルが全てを解決。Waiさんが見つけたROMファイルは、メガドライブのゲームの内容をフロッピーに書き込める、Super Magic Driveというデバイスでコピーされたものでした。KempsさんがROMファイルをエミュレーターで動作させたところ、正常に作動し、長年の夢だったHidden Palaceをプレイできたのです。インターネット上では、ROMファイルのデータや情報を基にして新しいステージを作る人が現れたり、データのコードを徹底的に調査してゲーム開発者からの隠しメッセージを見つけたハッカーがでてきたりするなど、ROMファイルはソニックファンの間で伝説的な発見になったのです。


念願のHidden PalaceをプレイしたKempsさんの頭をよぎったのは「一体このROMファイルはどこから来たのか?」ということ。Kempsさんはソニックシリーズの開発者である中さんにインタビューを実施し、ROMファイルについて思い切って聞いてみることにしました。

インタビュー内でKempsさんが、ソニック・ザ・ヘッジホッグ2のHidden Placeについて、ゲームをコピーしたROMファイルがインターネット上で出回りソニックファンが歓喜したことや、新しいステージを作ってしまった人が現れたことを中さんに伝えると、中さんは「そんな人たちがいるなんてすごいですね!知らなかったですよ!でも、そういった人たちが楽しんでやっていたことが、結果的にセガのゲームに悪影響を与えるようなことになったら、それはそれで問題ですよ。確か、Hidden Palaceを含んでいたソニック2のプロトタイプが一度盗まれてしまい、大きな問題になったことがありましたから」と発言。


「その盗まれたプロトタイプがインターネット上で出回っているROMの大元じゃないか。中さんは重要な発言をしたぞ!」と思ったKempさんは「たった今話していたソニック2のプロトタイプのコピーがインターネットで出回って、世界中の人がプレイできるようになったんですよ」と中さんに告げました。Kempさんは「信じられない」といった様子の中さんに「そのROMファイルのコピーは、私のノートPCに入っているのでプレイしましょう」と言い、中さんに実際のゲームを見せてしまいます。

エミュレーターで動作したソニック2を見た中さんは最初こそ信じられないといった様子でしたが、ゲームを進めるにつれてうれしそうな表情を浮かべたそうです。その後、Kempさんはソニック2のコピーを中さんにプレゼント。中さんによると、Hidden Palaceやその他の未公開ステージは、ゲームの開発期間の都合から完成版に含まれなかったとのこと。また、ソニック2のプロトタイプは1992年にニューヨークで開催されたイベントで盗まれており、盗まれたプロトタイプが幾度となくコピーされてインターネット上にアップロードされた可能性があるそうです。

Kempさんにとっては「中さんが『ソニック2のプロトタイプのコピーがインターネットで出回っていること』を知らなかった」という事実が衝撃で、さらに、ゲームの海賊版を、そのゲームの開発者にプレゼントすることになるとは想像だにしておらず、小さな頃からの謎が解明されたインタビューになりました。

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