取材

ミャンマーの農村部へ薬を配って歩くガイドが同行するトレッキングに参加してきた


「アジア最後の秘境」と言われるミャンマーは、2011年の大統領交代と軍事独裁を率いていた政治家が退いて以降、急激に国内事情が変化しました。アウンサンスーチーさんの自宅監禁解除などは日本でも大きく取り上げられましたが、その後、民主化政策も増えていったとされています。その頃から少しずつ旅行もしやすくなっていることもあり、多くの旅行者がミャンマーに訪れています。

こんにちは!世界新聞特命記者の赤坂惟名です。世界一周中の私は、先日までミャンマーに滞在し、2泊3日で小さい村を訪れながらトレッキングして来ました。

トレッキングに参加した「カロー」という街はこの辺りです。


◆ミャンマーの大自然と人々
2泊3日でインレー湖の近くのニャウシェウン(nyaungshwe)という街を目指します。


ミャンマーは現在雨期です。少し歩き始めるとひどくぬかるんだ道に出くわします。何度も滑って転びそうになりました。


歩いていると、小さな商店の前で昼間から酔っぱらっているおじさんに出くわしました。


ちょっかいをかけてきたり、握手を求めてきたり、陽気で面白いです。


ミャンマーには、まだまだ自然がたくさん残っています。こちらの山には茶畑がたくさんありました。


村の人々は、一日に家と畑を何往復もしてお茶を摘むそうです。


これらの小さな村のほとんどの家族が農業で生計を立てています。この様に軒先でお茶を干す場面によく遭遇します。


茶摘みをしているのは、ほとんどが女性でした。ガイドの話では、この村では多くの男性がウイスキーを飲んだり、宝くじを買うなどして、散財してしまうそうです。楽しみのため、少しの夢のための宝くじ。しかし、生計が立てられなくなるまで宝くじを買ってしまうのは、やはり、宝くじに対する知識が少ないからでしょうか。

昼ご飯のために寄った村ではカレーと、チャパティと呼ばれるナンのようなものを頂きました。もちもちのふかふかでとても美味しかったです。ツーリストの為にコーラを用意してくれています。


こちらのチャパティはもちろん手作りです。この様にして小麦粉からこねて、焼いて提供してくれました。家の中には電灯などがないので、昼間でも薄暗いです。


こちらの家は、この辺りでもかなり標高が高く1200m程あるそうです。山々の景色が綺麗に見えました。


◆小さな村での教育の遅れ
少し歩くと、また別の小さな村に到着しました。


こちらの村は、2年前に学校が出来たそうです。その為、年配者でもミャンマーの公用語であるビルマ語を話せる人がとても少ないそうです。

わずか数年前まで、このような家に18家族が共同生活していたそうです。


プライバシーの確立が難しいですよね。


ガイドの話では「近親相姦が良くない」という知識すらなく、数年前まで家族内で性交することもあったそうです。今では、「同じ村では結婚しない」という風に、少しずつ考えが変化して来ているようです。

◆日本では少なくなった光景
また、次の村を目指して進みます。途中、「スタンド・バイ・ミー」の様な道も通ります。


道の脇では、田植えや畑・田んぼを耕す人に出くわします。


牛が畑を耕す光景……。日本では、ほぼ見かけなくなってしまいましたね。「日本では今はほとんどが機械だよ」とガイドに伝えると、とても驚いていました。


本日の宿となるお家に到着です。ここがリビング兼寝室です。


そしてこちらが洗面所。さすがに色々な不安があり、シャワーは浴びられず、歯磨きはペットボトルの水で行いました。


電気がないので、晩ご飯はこういう状態です。


初日だけでも、8時間近く歩いていたので、何の問題もなく安眠しました。

◆ミャンマー人はロケット大好き
次の日も、朝8時頃に出発です。出発早々、バッファローの水浴びに出くわします。のどかすぎます。


村の子ども達に出くわします。どうやら手作りロケット花火を飛ばしに行くそうです。


この大きさのロケットでも7km程飛ぶそうです。やんちゃな子ども達の遊び道具としては、とても危ないと思ってしまいます。


この地方では2年に1度、大人達が本気で作ったロケット花火のお祭りがあるそうです。村ごとに作ったロケットで、どのロケットが遠くまで飛ぶか3日間かけて競争するというもので、偶然、最終日にそのお祭りに遭遇しました。驚くほどの迫力で、大人の物だと20km近く飛んだりするそうです。


◆少数民族の経済状況
次に訪れた村では、女性が伝統的に頭にターバンを巻いて生活していました。「ダヌ族」と言われる少数民族の方々です。


この頭のターバンで製作期間は約4日間。売値はミャンマーの通貨で1000チャット、日本円で100円程度。ミャンマーでストリートフードの最安のヌードルやカレーでも1杯1000チャット程度するので、少数民族の方々の生活の苦しさを感じてしまいます。


後ろの男性が持っている鞄で製作に6日間を要するそうです。売値は2000チャット、日本円で200円程度です。


それでも、写真を撮って良いか尋ねると、恥ずかしそうにしながら、ターバンを整えたりしてくれます。


そして、2日目のトレッキングも終了です。本日の宿のお家に到着しました。こちらがリビングです。


ミャンマーらしいカレンダーが飾られています。


こちらがキッチン。ガイドとお母さんが協力して、今日の晩ご飯を作ってくれます。ミャンマーの農村部では、今でもほとんどの家にこのような土間があります。電気のない家もたくさんあります。


こちらがシャワー。ちなみにバケツシャワーで、水道からのシャワーではありません。それでも2日ぶりのシャワーは爽快でした。


家の前で遊んでいた子ども達。ツーリストに興味があるけど、シャイな感じでなかなか寄って来てくれません。


◆ミャンマーの自然・人々を守る為
そして、先にも述べましたが、本当にのどかで美しい自然がたくさん残るミャンマー。


しかし、そんな農村部でも、驚くほどたくさんのプラスチックゴミに遭遇しました。


これもやはり、「プラスチックは自然に戻らない」という知識がないからですよね。ガイドのジョニーは、何度も繰り返し話していました。「政府はやっと色々な事に対して動き出した。けれど、まだまだ遅い。教育・医療・環境全てが進むのがとても遅い」と。


ジョニーはトレッキング中、小さい村の人々に漢方薬を配っていました。数年前までは、ガイドがトレッキング中に貧しい農村部の人に対し、安価で持ち運びやすい飴を配る事もあったそうです。しかし、不公平さや虫歯の危険性から、現在は飴は配らないそうです。

今回のトレッキング料金は、参加人数で分けるので、人数が多ければ多いほどツーリスト1人あたりの料金は安くなります。それでも、3日間、食事・部屋・ガイド料込みで1人約5000円です。破格的な安さですよね。その中のお金が、ジョニーが漢方薬を買うお金にも回されます。

トレッキングが終了すると、インレー湖に到着です。1時間半程、船に揺られニャウシェウンの街に到着しました。


今回のトレッキングでは、私に何が出来るのか、何も出来ないちっぽけな私の存在を痛感させられました。

それでも、少数民族の言葉やビルマ語を少しでも勉強して、「プラスチックゴミ」の意味を伝える事くらいは私にも出来るのではないか。数年先でも、またトレッキングに来る事で、ガイドが薬を配るチャンスが増えるのではないか。


そういう小さなところから始めていくという事が、今後のミャンマーを大きく変えるのではないかと、痛感させられる2泊3日となりました。

「Golden Kalow Hotel」でトレッキングについて問い合わせれば、ジョニーを紹介してもらえます。ミャンマーに行く事があれば、こちらのトレッキングにチャレンジしてみてはいかがですか。


Golden Kalow Hotel:No.5/92,Nat Sin Road,Quarter(5)Kalaw,Southern Shate,myanmar

文・取材:赤坂惟名

監修:世界新聞
sekaishinbun.net


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in 取材, Posted by logc_nt

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