顧客満足度をできるだけ正確に知るためにはどういう方法を採ればいいのか

by Alex

製品やサービスに満足したユーザーは「良かったから使ってみたら?」と友人を連れてきてくれることがあります。これは、顧客満足度を高めることで、企業全体の成長を支えることができる、と表現できます。では、ユーザーが製品やサービスにどれぐらい満足しているかは、どうやって測れば良いのか。旅の計画から専門家たちが最適なフライトを探してくれるサービスFlightfoxの共同創業者であるトッド・サリバンさんが、自分たちが採ってきた方法をブログで公開しています。

How We Measure Customer Happiness
https://flightfox.com/business/how-we-measure-customer-happiness


◆ネットプロモータースコア(NPS)とは?
顧客満足度を測るためにトッドさんたちが用いたのが「ネットプロモータースコア(NPS)」。これは「製品・サービスの満足度を10点満点で評価して下さい」とストレートに尋ねるのではなく、「製品・サービスを他の人に推薦する可能性はどれぐらいありますか?」と尋ねて得られる指標です。

製品・サービスを10点満点で評価する方法の場合、3点以下だと「好きではない」、4点~6点だと「どちらでもない」、7点以上は「好き」と、大まかに分けることができます。あるレストランの評価で、100人中10人が9点以上、70人が7点~8点、20人が0点~6点をつけたとすると、「顧客の80%以上が7点以上の評価をした」ということになり、好評だったように見えます。


しかしNPSだと、6点以下をつけた人は「Detractor(誹謗者、悪口を言う人)」、7点~8点は「Passive(受動的)」、9点以上は「Promoter(推進者)」と分類し、推進者の数から誹謗者の数を引いてスコアを算出します。このレストランの場合、推進者は10人、誹謗者は20人なので、NPSは「10/100」マイナス「20/100」で「-10」(スコアなので%表記はしない)となります。


計算式はこんな感じ。NPSを「50」にするためには、100人のお客さんがいたとき、推進者-誹謗者が50を越える必要があります。


◆NPSを高くするために大事なことは「全て」
製品・サービスを評価するときには大別して3つの評価軸がある、とトッドさん。

1つ目は「機能面」。レストランでいうと、メニューの種類は十分だったか、価格設定は適切だったか、料理が出てくるまでの待ち時間は長すぎなかったか、といった点。

2つ目は「感情面」。提供されたメニューはおいしかったか、店員の態度は悪くなかったか、といった点。

3つ目は「行動バイアス(行動の偏り)」。これは前述の2点とはちょっと異なり「お店に行ったときに幸せだったか悲しい気持ちだったか」「自分自身も事業主なのでお店の運営方針に共感する部分があった」「そもそも評価の点数をつけるときいつも高めに偏る/厳しく低めにつける」など、評価する人ごとに存在する偏りのことです。

こういったこともあり、NPSに対しては「環境要因に左右される数字であり、欠陥がある」と批判する人もいますが、トッドさんは「顧客がそのときの感情で影響を受けるように、顧客の満足度も同じように影響を受けるべきです」と、環境要因も1つの要素だとして受け入れています。

◆サンプルの誤差をなくす
NPSを高くするためには「推進者の数を増やす」「誹謗者の数を減らす」ことが大事。そのため、満足している顧客だけ対象に調査を行うことで、NPSを意図的に高くすることは可能です。しかし、ここで忘れてはいけないのは、やろうとしているのは「NPSを高くする」ことではなく、「実際のところ顧客はどう感じているのか」を把握することだ、という点です。

トッドさんたちFlightfoxでは、一時的ながら、NPSを無意識にネガティブ側に歪めていたことがあります。その方法は、従来はキャンセルせずに利用した人だけにアンケートを採っていたのですが、キャンセル・払戻を行った人にもアンケートを採るようにしたという単純なもの。サービスに満足した人のうちアンケートに回答するのは20%だったのに対して、キャンセルした人はほぼ100%が回答(必然的にその採点は低めに偏る)したので、結果としてNPSが低くなったというわけです。

現在は、最終的にサービスをキャンセルした人も含めて、いったん話が成立した時点で回答をもらうことで、できるだけ誤差の少ない数字を得られるようにしているのだそうです。

◆『報復』の恐れ
AmazonのカスタマーレビューやApp Store・Google Playのアプリレビュー、ネットオークションでの落札者評価など、「誰かを格付けする」機会はいろいろとありますが、格付けしている側も完全に匿名で行っているわけではない部分があります。そうすると出てくるのが「報復を恐れる気持ち」です。

ネットオークション大手のeBayで初期によく見られたのが「低い点数をつけた人に対する報復評価」です。つまり、誰かの評価を低くすると相手から低評価をつけ返されることになるため、自分が高評価でいるためには高い点数をつけるしかなくなってしまうのです。

Flightfoxもクラウドソーシングをやめた時期にこの過ちを犯し、NPSが従来の30から90へと跳ね上がりました。「AppleでもNPSは60なのに、90はさすがにおかしい」と感じたトッドさんはその原因を調査し、Flightfoxの評価フォームに専門家の名前と顔写真が表示されていることに気付きました。つまり、顧客はFlightfoxのサービスではなく、相手をしてくれた専門家個人に対しての評価を行っていたというわけです。


実際、トッドさんらが顧客に確認したところ、具体的に誰かに対しての評価を行うことで「『報復』への懸念」を感じていたことが判明したため、評価フォームからは専門家の名前と写真が外されることになりました。しかし、それでもなおNPSは70と高い数値を維持していたので、「それなら、両方を評価してもらうのはどうだろう?」ということで、今度は専門家個人とFlightfoxとを別々に評価してもらう形に変更。


この結果、専門家のNPSは75、FlightfoxのNPSは26となりました。この形に落ち着くまでには数ヶ月がかかり、十分なサンプルが得られるまでにはさらに時間がかかったとのことですが、この後、NPSはもうちょっと高い数値で安定するようになったそうです。

◆「Tip or Tweet(チップかツイートか)」
どれだけ評価フォームを作り込んでも、とにかく次のページへ進むことを優先して深く考えずに評価をつける人がいたり、そもそもウソの評価点をつける人がいたりすることは、どうにもできません。そこで「誰かに推薦したい=顧客が満足したということなのか?紹介の実数に結びついているのか?成長に繋がっているのか?」ということを知るため、トッドさんらは、評価フォームで7点以上がつけられると直下にシェア(SNSでの共有)ボタンが表示されるようにしました。

これは成功し、約10%の人がシェアボタンをクリックしました。さらに、それよりもっと多くの人がTwitterやFacebookでシェアを行っていました。

同時期に、PayPalを利用してチップを支払える機能も追加。この機能はさすがに内部の人間でも「月に2~5件ぐらいだろう」と思ったそうで、チップ文化になじみのないトッドさんは「月1件じゃないか」と考えたほどですが、リード開発者のオスカーさんは「月30件」と想定。そのため、「Tip or Tweet(チップかツイートか)」というページを作り、シェアボタンと同様、7点以上をつけたときにチップを支払うかツイートするか選べるようにしました。


チップは最低10ドル(約1000円)という設定でしたが、なんと7点以上をつけた顧客のうち、20%がチップを選択。その平均は19ドル(約1900円)でした。つまり、「高いNPSを支える顧客(推進者)は、チップを支払ってもいいと考えるぐらいにサービスに満足していた」と言えます。

◆Flightfoxの事例から得られた結論
上記のような試行錯誤の結果、トッドさんはNPSについて以下の3つの結論を得ました。

1:評価はすべての顧客(キャンセルした人を含む)にしてもらうこと
2:評価ページは「報復」を感じさせないよう普遍的・没個性的なものにすること
3:自分たちのNPSが正確なものか確認するために「Tips or Tweet」機能を追加すること

トッドさんが公開したFlightfoxのNPS推移がコレ。確かに、機能変更時に数字の上下はありますが、直近の数値はかなり安定しています。

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