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インサイダー取引は予想以上に株式市場に横行しているという実態が判明

By Miran Rijavec

ある会社の株価に重要な影響を与える「重要事実」を知って、その重要事実が公表される前に株券など売買を行う行為はインサイダー取引と呼ばれて、金融商品市場の信頼を損なう不公正取引として規制され、違反した場合には罰則が設けられています。情報や背景を知り得る「中の人」が秘密の情報を元に取引を行って不正に利益を得る可能性が極めて高いインサイダー取引ですが、この件に関して実施された実態調査では、これまで一般的に予想されていたよりも多い割合でインサイダー取引がまん延している実態が判明しました。

Study Asserts Startling Numbers of Insider Trading Rogues - NYTimes.com
http://dealbook.nytimes.com/2014/06/16/study-asserts-startling-numbers-of-insider-trading-rogues/

調査を実施したのはニューヨーク大学レナード・N・スターン・スクールから2名と、カナダ・マギル大学から1名の教授からなる研究チームで、1996年から2012年の間で行われたストックオプション取引の動きを詳細に精査して取引の実態を調査。その結果、取引全体のじつに4分の1の取引は何らかの形でインサイダー取引が行われていることを明らかにしました。ストックオプション取引は、あらかじめ決められた価格で所属する会社から自社株式を購入できる権利で、従業員の業績に対するインセンティブとしての役割が与えられてモチベーションの向上を目的とするケースが多くみられるもの。

このインサイダー取引の規制については、証券取引委員会およびアメリカ司法省が最重要課題に据えているとみられ、委員会では取引データを分析してテロリストによる取引や不正な売買行為の存在を調査するPalantir Technologies社と契約を交わして取り組みを深めています。また、過去に比べてM&Aが活発に行われているという状況に対しても監視の目を張り巡らせていますが、それでも取引の実態には追いついていないというのが現状。報告書では、実際に証券取引委員会が不正なものとして訴訟を起こした取引は、調査チームの対象に含まれている1859件の取引のうち、わずか4.7%にとどまっていることが明らかにされ、規制する法律の執行が実態に対して大きく後れをとっている実態が示されています。

By ssalonso

また報告書では、現金をともなうインサイダー情報の取引の存在があることも指摘。その背景には、株取引で利益を出すよりも実際に現金を受け取ることによる確実な実入りを期待するということがあると考えられています。

買収対象の企業の規模や株式の取引総量に応じて、インサイダー取引の存在が増加することも明らかにされており、報告書では「企業の規模が大きくなり、情報が発表されることで予測される不確定な値動きが大きい場合や対象企業の流動性が高い(=すぐに現金化できる)という状況が存在している場合は、情報を入手したトレーダーはその情報を元にインサイダー取引を行う傾向にある」と結論づけています。

By shelmac

さらに報告書で研究チームが指摘したところでは、証券取引委員会は株取引にばかり注目してストックオプションでの取引の実態に目が向いていないことに着目し、「インサイダー取引の捜査としては場違いなエリアに目を向けている」と指摘しています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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