ソイレントっぽい食品を自宅で作るマシンをネスレが開発する「アイアンマン」計画

by Karsten Planz

ネスレはコーヒーメーカーNespresso(ネスプレッソ)で多額の利益を得ていますが、「コーヒーメーカーのようなマシンを使って必要な栄養素を取ることができるようにする」ことを目標にした新たな研究が行われていることが明らかになりました。現在、肉や野菜を食べずに生きられるようにする新たな食品「ソイレント」が販売されていますが、ネスレ版ソイレントを生み出す製品は現在「アイアンマン(鉄の男)」というプロジェクトで開発中です。

Nestle Aiming to Develop a Nespresso of Nutrients - Bloomberg
http://www.bloomberg.com/news/2014-06-22/nestle-aiming-to-develop-a-nespresso-of-nutrients.html

Nestle is developing a Soylent-like “nutrient Nespresso” - Quartz
http://qz.com/224637/nestle-is-developing-a-soylent-like-nutrient-nespresso/

現在ネスレが研究しているのはビタミンDやマグネシウムなど、個人に合わせてカスタマイズ可能な栄養ドリンクの作成について。アイアンマンと呼ばれるプロジェクトは代謝・脳・消化器に関する不調を食品や飲料によって改善させることを目的としており、ユーザーの体が必要とするものを作ってくれるネスプレッソのようなマシンを開発することを最終的な目標としています。

by Magnus D

「アイアンマンは私たちの体や食品にに足りない物を分析して、調整してくれるのです。これまで食べ物はただの食べ物でしかありませんでした。我々は新たな道を行こうとしているのです」とネスレ健康科学研究所のEd Baetge氏は語りました。

「肉や野菜などの食べ物以外から必要な栄養を取る」という考えを実現したものに、シリコンバレーのソフトウェアエンジニアによって開発されたソイレントがあります。


食糧問題を解決する手段としても考えられているソイレントはそのコンセプトが大きな反響を呼びましたが、味について「おいしい」とポジティブな感想を言う人もいれば「最後の一口が本当に最悪」と言う人もおり、30日間ソイレントだけで生活した人が「段々、体というか頭がおかしくなってきたよ。ちょっとうつ病っぽい感じかもしれない」と漏らしたり、ニューヨーク・タイムズが「パンケーキのタネのような味」「何かの罰のように退屈で喜びのない製品」とレビューしたりすることもありました。


ネスレの開発しているマシンがどのような形になるのかは不明ですが、ネスレ健康科学研究所では現在100人以上の研究者らが糖尿病やガンのような病気とビタミン・ミネラルの欠乏がどのように関係しているのかを調査しており、アイアンマン・プロジェクトには約15人の科学者が携わっているとのこと。Baetge氏は、「アイアンマンによって開発される栄養食品はドラッグストアで販売されている総合ビタミン剤よりも有効性が高くなる見込み」だと語りました。

一方、ネスレの研究に対し「マシンを実現するにはコストがかかりすぎる」と疑問の声を投げかける人もいます。実際に指紋からその人の不足している栄養素を解析するマシンは存在するのですが、1つの栄養素につき50~200ドル(5000~2万円)の費用がかかり、全ての栄養素について解析を行おうとすると1000ドル(約10万円)以上の費用が必要になります。現在の方法で日々の生活に同様の機能を取り入れようとすると莫大な費用がかかってしまうわけですが、今後研究が進めば「食の喜びを失わずに必要な栄養素を取ることができる」可能性も十分にあると考えられています。

by Dennis Wong

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in , Posted by darkhorse_log

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