ピカソの名画に隠された「もう1枚の肖像画」の謎


ピカソは「泣く女」や「ゲルニカ」など難解な抽象画で有名ですが、それ以前には分かりやすい具体的な絵画も描いていました。「The Blue Room(青い部屋)」という作品は「青の時代」と呼ばれる作風の時期に描かれたのですが、最近の調査で青い部屋の下にもう1枚の絵画が隠れていたことが分かりました。

Picasso Painting Reveals Hidden Man
http://mashable.com/2014/06/17/picasso-painting-hidden-man/

Man Emerges From Picasso's Painting 'The Blue Room' : The Two-Way : NPR
http://www.npr.org/blogs/thetwo-way/2014/06/17/322916688/picasso-s-palimpsest-portrait-man-emerges-from-blue-room

これがピカソの「青い部屋」。暗青色を基調とした作品が多く描かれた「青の時代」という時期のうちの1枚で、寝室で入浴する女性が描かれています。


青い部屋がワシントンにあるフィリップス・コレクションに渡ったのは1927年のことですが、長い間、学芸員は「この絵の下にはもう1枚絵があるのでは?」と疑っていました。ピカソのスタジオで水を浴びる女性の筆遣いが明らかにおかしかったのです。1954年に学芸員によって書かれた手紙にそのことが記されていますが、90年代に入ってX線での調査が始まるまで事実は不明のままでした。そして当初の調査では「不鮮明なポートレイト」程度しか分かっていなかったのが、技術の進歩によって男性の肖像画が明らかになったのです。

これが明らかになった肖像画。ボウタイを締めた男性が肘をついています。


男性は誰なのか、なぜピカソはこの男性を描いたのか、ということは謎のまま。自画像でないのは明らかであり、ピカソが1901年に初の個展を開いた時のディーラーではないかと考えられていますが、絵の中には何のメモもヒントも残されていませんでした。

隠された絵画が明らかになった時のことを修復家のPatricia Faveroさんは「自分が何か特別なことをしていると感じた瞬間でした。そしてその後のリアクションは、『で、これは誰?』ということ。この質問に答えるため我々は調査を行っています」と語りました。


2つの絵画を比較するPatricia Faveroさん。


なぜ絵画の下に別の絵画があったのか?という理由について、学芸員のSusan Behrends Frankさんは「ピカソは思いついたことをすぐに形にしなければなりませんでした。しかし、当時アイデアが思い浮かんでもすぐに新しいキャンバスを買って絵を描けるだけの余裕がなかったのです。キャンバスより価格が安いという理由でボール紙に描かれた作品もあります」と語ります。

なお、1903年に発表されたピカソの「La Vie(人生)」や「Woman Ironing(アイロンをかける女性)」などの下にも絵が隠れていることがわかっています。

これが「アイロンをかける女性」。X線にかけると……


男性の姿が浮き上がりました。アイロンをかけた女性は、肖像画が描かれたキャンバスを逆さまにして使った様子。


「The Blind Man's Meal(盲人の食事)」という絵画の下には……


体を丸めた女性の姿。


今度は横倒しにした「人生」という作品です。


X線にかけた絵画をよく見ると、ベッドサイドテーブルやランプなどが描かれていることが分かります。


さらに、ゴッホの作品にも絵画が隠されていることが分かっています。

以下は「野花とバラのある静物画」という作品。


花の下には裸のレスラー2人が隠されていました。オランダのクレラー・ミューラー美術館に収蔵されている「野花とバラのある静物画」は「ゴッホの作品では?」と疑われつつも長年作者不詳だったのですが、ゴッホが弟テオに送った「2人のレスラーを描いた」という記述に合致することから、ゴッホの作品であると特定するに至りました。

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in アート, Posted by logq_fa