メモ

どうやってディズニーは「魔法」のような体験を作り出しているのか?

By Joe Penniston

ディズニーランドの「ファンを驚嘆させて数十年来の顧客をも魅了する能力」について、ディズニーは自社で書いた「Be Our Guest」というハンドブックの中でこの能力についての調査結果を記しているそうです。この本の中に記されている事実の中で最も驚くべきもののひとつが、「一度ディズニーランドを訪れた人は70%の確率で再びこのテーマパークに訪れる」というリピーターの多さで、この驚異の愛され率を裏付ける複数の要素をHelp Scoutの公式ブログがピックアップしています。

How Disney Creates Magical Experiences (and a 70% Return Rate) | Help Scout
https://www.helpscout.net/blog/disney-customer-experience/

◆ディズニーの「魔法」がどこから生み出されるか

By Tom Bricker

恐らく最も予期せぬ発見は、ディズニーの「魔法」が物事のプロセスに注目することで生み出されている、ということ。ミッキー・マウスの生みの親であるウォルト・ディズニーは、絶えず物事のプロセスを気にしていたようです。

ウォルト氏の信念でもある「徹底的に良質なサービス」というのは、完璧な制作手順をデザインし、何度も何度も詳細を測ることで生み出されるもの、とのこと。「それだけのことでディズニーランドのような魅力的な空間を作れるなら誰も苦労はしない!」とも思えますが、ウォルト氏は「魔法」が物事のプロセスから力を得ていることを理解していました。


彼はプロセスを「機関車」のようなものだと考えていて、機関車が正常に運転できない場合には、「車掌が親切ではない」や「客車の外装がどれぐらい魅力的か」といったことはそんなに重要な要素とはならないことも理解していました。これは「その他の要素が重要ではない」ということではなく、機関車が動かないのなら乗客はそもそも料金を支払わないからです。

ウォルト氏が物事のプロセスに徹底的にこだわってきたことはさまざまなエピソードから伝え知ることができます。例えば、顧客に身長制限が存在することを伝えるための努力をしてきたにも関わらず、身長が足りない小さな子ども連れの親子がたびたびアトラクションに乗ろうとする、という問題が発生したことがあります。

この問題は子ども連れから特に多く寄せられる苦情で、「子どもにとっての貴重な体験の瞬間を壊している」という点はディズニー全体にとっても良くないことでした。そこで、ウォルト氏はアトラクションのスタッフに小さな子どもが列に並んでいるのを見つけた際は、大きくなった際に列に並ばずにアトラクションに乗れる特殊なパスを渡すように指示を出すことで、苦情を減らして子どもたちの体験を守ることにも成功したとのこと。

こんなチケットが発行されるわけです。

◆細部へのこだわり

By BenSpark

ウォルト氏のプロセスに対する熱心さは、彼の細部へのこだわりからも見られます。これはスティーブ・ジョブズのような著名な創立者にも見られる特徴ですが、ウォルト氏は自身の作り上げたテーマパークに関しては非常に几帳面な人でした。彼のディズニーランドへの執念は、彼自身がテーマパークを永久に未完成なものであるとみなし、常に改善の余地があるものだと考えていたことからも伝わってきます。

テーマパークの改善のためにウォルト氏は定期的に古い衣服と農家の人が使いそうな麦わら帽子をかぶり、ディズニーランド内をお忍びで回っていたそうです。ある日、お忍びでディズニーランドを訪れたウォルト氏は、ジャングル・ボートに乗り、クルーズの時間を測ったことがあります。

By Marc van der Chijs

その際アトラクションのオペレーターはクルーズを急かしている風で、通常7分あるアトラクションが4分半ほどで終わってしまったそうです。そこで、ウォルト氏はディズニーランドの管理人であるDick氏と一緒にボートに乗ってアトラクションの適切な長さについて議論し、ボートの操縦士には適切なスピードを覚えるためにストップウォッチを持ったまま運転させました。さらに、ウォルト氏はジャングル・ボートのボートを操縦する別の操縦士ともボートに乗り、最後は「良いショーだ!」とだけ言ったそうです。

◆「3時のパレードはいつスタートしますか?」

By Raymond Brown

「3時のパレードはいつスタートしますか?」という質問はとても一般的になったので、新しいキャストメンバーを訓練する際にはこの質問が利用されるそうです。この質問を新人キャストにすることで、顧客とのコミュニケーションにて、会話の中に隠れる真意を理解しているかどうかが試される、とのこと。

顧客が「3時のパレードはいつスタートしますか?」という質問をする場合、これの真意は「3時のパレードはいつこの場所を通過しますか?」であり、最も雇うべき人物は「あなたはラッキーです!パレードはあと5分程でここを通過しますよ。よろしければパレードを見るのに良い場所を一緒に探しましょうか?」と答えるそうです。

さらに、ディズニーでは「伝統プログラム」と呼ばれるシステムを使い、キャストが顧客の態度・身振り・顔の表情などから真意を読み取るためのトレーニングも行っているとのこと。

◆従業員への投資

By 401(K) 2012

ウォルト氏はディズニーをスタートさせた当初、従業員個々への投資に重点を置いていました。もしも1931年のディズニーで働いていたならば、自分で車を所有する必要はありませんでした。なぜなら、ウォルト氏自身が車を運転して送り迎えをしてくれたからで、その他にも社員の勉強のための費用なども会社が支払いを行ってくれたそうです。これらの費用はウォルト氏にとっては投資に近いものであったそうで、こういった投資が社員のモチベーションにつながり、自身の夢を実現するために必要なことである、と完全に信じ込んでいたとのこと。

また、ウォルト氏は徹底的にプロセスにこだわるにも関わらず、各チームに自由に仕事をさせることの重要性も理解していました。厳格な言葉で組織を縛るようなことはせず、一緒に働く従業員たちのモデルを絶えず変化できるようにすることで、従業員の才能を引き出したそうで、その結果か、ディズニーのイノベーションの多くはウォルト氏の手から離れたチームの中から生まれた、とのことです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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