サイエンス

ナノテクノロジーでスマホを充電可能な繊維の開発が進行中

By LL Twistiti

人間の体温で携帯電話を充電できたり、モバイルバッテリーから無線でスマートフォンを充電したりする技術が開発中ですが、フロリダ中央大学の研究チームは特別な繊維を使って、あらゆる電子機器を充電出来る技術を開発中であることを発表しています。

Materials science: Energy storage wrapped up : Nature : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/nature/journal/v509/n7502/full/509568a.html

New NanoTech May Provide Power Storage in Cables, Clothes - UCF Today
http://today.ucf.edu/new-nanotech-may-provide-power-storage-cables-clothes/

まるでSF映画のような技術を開発しているのは、フロリダ中央大学でナノテクノロジーを研究しているJayan Thomas教授とZenan Yu氏。両氏が率いる研究チームは電気を転送・貯蔵可能な軽量銅線の開発に成功しており、その技術を応用すれば、軽量導線と同じ性質を持った繊維を開発可能になるそうです。

電気を転送・貯蔵可能な軽量銅線の開発には、ひげ状の物質であるナノウィスカーが大きな役割を担っています。研究チームは、銅線の表面で成長させたナノウィスカーで構成された銅製ワイヤを作成。その後、ワイヤは電極を作成するために特殊合金を使って処理。大量の電気を貯蔵するには2つの電極を持つことが必須なのですが、その作業は困難を要しました。

By Christopher Porter

研究チームは試行錯誤の末に、生成したナノウィスカーを金属製のさやで包み込み、さらにその上から、プラスチック製のシートを貼り付けたウィスカーでもう一度包みこむ、という方法にたどり着きます。ナノウィスカーとプラスチック製のシートが貼り付けられたウィスカーという、2つの層は特殊な接着剤で剥がれないように加工。こうして生成された銅線は、内側のナノウィスカーが電気を通し、外側のウィスカーが電気を貯蔵するという2つの性質を持っています。

開発された銅線は、例えれば、表面にコンデンサを有しているのと同じで、多くの電気を貯蔵することが可能。Thomas教授によると、銅線に電極を持たせるために使用した技術は、銅ではない違う物質にも応用可能とのこと。応用できる物質の1つとして挙げられているのが、繊維というわけです。電気を転送・貯蔵可能な繊維を開発できれば、太陽電池で得たエネルギーを表面に蓄え、その電力を使って電子機器を充電可能なジャケットの作成も夢ではありません。

By Arlette

通電性と貯蔵性を備えた銅線の開発に当たり、周囲の人から『考えたことのなかった素晴らしいアイデア』だと称賛されたThomas教授とYu氏の研究は、まだまだ乗り越えなければいけない問題がありますが、開発に成功すれば映画で描かれるような未来が現実のものとなるので、是非成功して欲しいものです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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