デザイン

意外なほど多く存在している「シェア」アイコンのスタイルと実際にどれを選ぶべきなのか


スマートフォンやSNSをよく使っている人ならば、ほぼ間違いなく「シェア」機能を使ったことがあると思います。その機能は自分が撮影した写真をメールやクラウドを経由して誰かに渡す行為であったり、SNSで知人が書いたエントリを自分の友人にも紹介してあげるというものですが、それを表すアイコンは各ベンダーによって意外なほどさまざまなデザインが存在しています。ソフトデベロッパーでデザイナーでもあるMin Ming Loさんは、世界で「シェア」を表す時に用いられているアイコンを比較して、その中に秘められた各ベンダーの思想の違いをまとめています。

Share: The Icon No One Agrees On - BOLD by Pixelapse
https://bold.pixelapse.com/minming/share-the-icon-no-one-agrees-on

◆アップローダー型:iOS 7


四角い箱から矢印が外向きに飛び出しているこの「シェア」を意味するアイコンは、iOS 7がデビューしたWWDC 2013の場で初めて登場して人びとの目に留まることとなりました。Min Ming Loさんがこのアイコンを自身のブログで紹介したところ、周囲からは不評の声が寄せられたといいます。

その理由は、既存の「ダウンロード」のアイコンと類似しているために意味を正確に理解できない、というものだったとのこと。以下のイラストが示すように、左の「ダウンロード」アイコンと並べた場合、新しいアイコンは「アップロード」と理解されても不思議ではないといえます。


◆外向きの矢印:iOS 7以前


iOS 7でアイコンのデザインが変更されるまで、iOSおよびMac OSで用いられていたアイコンでした。「四角い箱+矢印」という組み合わせそのものはiOS 7と同じといえますが、トレイから何かが飛び出す様子をイメージさせるデザインに「シェア」の意味合いを実感できるという人が多かったといえます。

◆3つのドット型:Android 4.0以降


Android端末で広く用いられている「3つのドットとそれらをつなぐ2本の線」というデザインは、デベロッパ向けプラグインのShareThisでもそのロゴにも用いられています。ひと目見ただけではイマイチ意味がよく伝わらなかったという人もいそうなデザインですが、そのコンセプトは左側に表された1つのノード(個体)から、右の別のノードに向けて情報が伝えられる様子を表しているものと考えられます。その意味では、Androidユーザーはしばらく使っている間にその意味を理解するようになったという人も多いのではないでしょうか。

なお、上の画像はMin Ming Loさんが「Share icon」をキーワードに画像検索した結果をモチーフにしたもので、10個のうち7個が3つのドットがモチーフになったものだったそうです。

◆Y字型:Android 3以前


バージョン3以前のAndroidで用いられていたのが、1つのドットから複数の矢印が飛び出すこのアイコンでした。Androidのバージョンアップにともない、現在ではあまり見ることの少なくなったデザインですが、「動作を表すという観点では最も的確に内容を表しているものといえる」とMin Ming Loさんは高い評価を与えると同時に「左右対称である点」もデザイン的にすぐれている、としています。

◆サークル(円)型:Windows 8


Windows 8で用いられているアイコンでも3つのドットが用いられていますが、そのレイアウトはAndroidとは大きく異なるものとなっています。3つのドットが円形に結びつけられているこのデザインに対してMin Ming Loさんは「これも抽象的な概念を表しているものであり、『シェア』というキャプションが付けられていなかったら、ユーザーはその意味を理解できないかもしれない」とあまり好意的には受け入れていない様子。

◆プレゼント型:Windows Phone 7


見た目そのまんまの「プレゼント」を表すこのアイコンについてMin Ming Loさんは「変わってるけど、面白いと思う」と一定の評価を与えています。しかし、スマートフォンでシェアする行為というのは、相手に対して基本的にコンテンツを「コピー」するものであり、実際のプレゼントのように「手元に残らない」ものではないというのが注目すべきポイント。実際にMin Ming Loさんが最初にこのアイコンを見た時には、その意味が「皆目見当つかなかった」とのこと。

見た目がかわいらしくて楽しげな様子も伝わってくるアイコンですが、Windows Phone 7とともに約2年という短命に終わってしまいそうです。

◆2本の手:Open Shareアイコン


「『シェア』をあらわすユニバーサルデザイン」を掲げてShareaholicによって作られたアイコンが、この2本の手でドットを包む様子を模したアイコンです。その成り立ちは以下のように説明されています。

Open Shareのアイコンは、一つのオブジェクトが一方の手からもう一方の手に受け渡される様子を表現することで、「渡す」または「シェアする」という行為を含むアイコンです。同時にこのアイコンは人の目を模しているものでもあり、「ここを見てください」という意味も含んでいます。

成り立ちを聞くと納得させられるアイコンですが、逆に言うと一度見ただけではその意味がいまいち伝わってこないともいえる、とMin Ming Loさんは語っています。

◆その他・拡散型


「対象物を広く拡散する」という意味をうまく表現しているようでいて、アイコンのデザインとしては複雑すぎるともいえそう。

◆その他・変則的ドット型


ドットの大きさに変化を与えることで、シェア元と受け取る側の関係が表されているといえそうですが、「シェア」の行為そのものを指すという意味においては少しわかりにくい感もアリ。

◆その他・手のひら型


数年前まで用いられていたこともある手のひらアイコンですが、主に用いられていたのはローカルネットワーク上でのシェア行為についてであり、広いソーシャルネットワーク上のものとは少し性格が異なります。

◆その他・人アイコン型


グループのメンバーを表すような人型アイコンが並べられたスタイルですが、これは特定の「グループ」を指す意味合いが強く、その意味ではこちらも広いソーシャルネットワーク上のものとは狙いが異なるといえそう。

◆番外編・ストロー型
Min Ming Loさんは友人に「『シェアする』という行為をアイコンで表すとしたらどんなデザインにするか」と質問。するとその友人は、ミルクセーキのようなドリンクを2人で分け合って飲む光景を表したイラストを描いてきたそうです。


このアイデアについてMin Ming Loさんは「分け合うという行為を端的に表していて非常に面白いアイデアだと思うが、『ミルクセーキが他のアイコンとマッチするか』『2名の間でのみ共有するもの』という意味合いが強くなってしまう」という問題点を挙げています。

といいつつ、ちゃっかりとベクターアイコンを作ってしまったMin Ming Loさん。


◆まとめ
ここまでに挙げてきたアイコンのスタイルがまとめられているのが以下の画像。結局のところ、どのアイコンを選ぶかはアイコンが使われる環境やシーンに沿ったものということが重要であり、基本的にiOS上で使われるものはiOSの、Android上で使われるものもそれにふさわしいものを使うべきで、よほどの理由がない限りは「iOSの『アップロード型アイコン』をAndroidで使うべきではない」としています。その上で、Min Ming Loさんは「個人的にベストのアイコンは、左右対称の形を持つ『Y字型』です」と語っています。

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in ソフトウェア,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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