開発に54年間もかかったソフトウェア「Xanadu」がついにリリース、その秘めたる野望とは?


Xanadu(ザナドゥ)」は1960年に開発がスタートしたシステムで、2014年4月後半にこれまで54年間のプロジェクトの成果物としてひっそりと「OpenXanadu」というソフトウェアをリリースしました。Xanaduは、現在インターネット上で使われているハイパーテキストシステムであるWorld Wide Web(ウェブ)のポジションに就いて、現在のインターネットを構成する基本システムになっていたかもしれないものなのですが、開発が遅すぎてもはやそれも夢物語状態です。しかし、Xanaduの産みの親であるテッド・ネルソン氏にはまだ大きな野望があるようです。

World's most delayed software released after 54 years of development | Technology | theguardian.com
http://www.theguardian.com/technology/2014/jun/06/vapourware-software-54-years-xanadu-ted-nelson-chapman


54-year-old software project escapes vapor status to take on the PDF | The Verge
http://www.theverge.com/2014/6/6/5787638/54-year-old-software-project-escapes-vapor-status-to-take-on-the-pdf


Mac OS Xが「Rhapsody」というコードネームで初めてデモンストレーションを行ったのは1997年のことで、Mac OS Xの最初のバージョンがリリースされたのは、デモから丸4年後のことでした。同じように、MicrosoftのOSであるWindows Vistaは、当初2003年にリリース予定となっていましたが、結局リリース予定から遅れること3年の2006年にようやく公開される運びになった経緯があります。

どちらのプロジェクトもリリースが遅れて多くの人々をやきもきさせましたが、歴史上「Project Xanadu(ザナドゥ計画)」ほどソフトウェア開発が遅れに遅れ、人々をガッカリさせるどころか記憶の片隅からも忘れ去られてしまったものはありません。Project Xanaduは1960年にスタートした世界最初のハイパーテキストプロジェクトで、開発開始からなんと54年が経過した2014年の4月後半に、カリフォルニアのチャップマン大学にて開催されたイベントの中で静かにプロジェクトの成果物としてソフトウェアの「OpenXanadu」がリリースされることとなりました。

OpenXanaduが発表されたチャップマン大学は1861年創立の歴史あるキリスト教系私立大学。

By Mark Weston

Xanaduの立案者で開発にも携わるテッド・ネルソン氏は、クリック可能な文字のリンクである「ハイパーテキスト」という単語を作った人物であり、これは現在のインターネット上にある「http」の「ht」部分に当たります。

そんなネルソン氏の開発したXanaduでは、ユーザーが何らかのソースを元に文章を作成した際、テキストが双方向リンクとなります。このシステムについてネルソン氏は2000年に自身のホームページ上で「Xanaduは何らかの変化でリンクが壊れることがないので、完全な文献となるかもしれません。このシステムでは複数の文章が緊密に比較され、各テキストは注釈をつけられたかのようになり、全てのテキストの引用元を見ることも可能になります。なので、文学・法律・ビジネスのどの側面とも友好的なコピーライトシステムになり得ます」とコメントしています。

そんなProject Xanaduの成果物としてリリースされたソフトウェアが「OpenXanadu」。簡単な文章作成ツールで、テキストには8つの引用元がひもづけられて表示され、この引用元には聖書の一節からWikipediaのページまでさまざまなページがリンクされることになる、とのこと。OpenXanaduでテキストを表示させると以下のようになり、画面中央に原文テキスト、原文の左右に4列ずつ引用元が表示されるというわけです。


ユーザーはスペースキーと十字キーでソフトを操作し、マウスを操作する必要はナシ。そして、オリジナルのページとそれを基に作成されたページとの間を行ったり来たりすることが可能とのこと。

Xanaduは表面的には現在インターネット上で普及しているハイパーテキストシステムのウェブと似ていますが、全く一致しているというわけではありません。Xanaduはティム・バーナーズ=リー氏の開発したウェブを打ち負かす可能性がありましたが、プロジェクトはなかなか形にならず、その間にウェブが現在のポジションを抑えることとなったそうです。

しかし、Xanaduの産みの親であるネルソン氏は「ウェブはオリジナルのXanaduを陳腐にしたものだ。ウェブの一方向リンクはリンクが途切れやすいだとか、再利用やコピーライトに関する複数の問題をはらんでいる」と、2004年に発言しています。

By Lefteris Heretakis

インターネット上のウェブになるチャンスを逃したXanaduですが、ネルソン氏はXanaduは長年使われてきた紙のようなものと取って代わるポテンシャルがあると考えており、「我々は1980年代にインターネットのハイパーテキストシステムになり損ねました。しかし、まだ紙に取って代わるデジタル上のテキスト形式としてPDFと競争することはできます」と述べています。

Xanaduの開発スタートから35年が経過した1995年、WIREDのGary Wolf氏がネルソン氏についての記事を執筆し、その中で「コンピュータ業界史上最長のベーパーウェアストーリー」と揶揄しましたが、彼のアイデア自体は非常に大きな影響力を持ち、これまでさまざまなものに影響を及ぼしてきましたが、果たして思惑通りPDFに取って代わるポテンシャルを秘めているのでしょうか。

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