乗り物

Googleが自動運転車の体験試乗会を一部報道陣向けに実施


2017年の市販開始を視野に入れてGoogleが開発を進める自動運転車は、すでにすでに複雑な交通状況の市街地でも実用レベルに達していることが明らかになっています。かなり高いレベルの完成度に達している自動運転車ですが、このたびGoogleの本部が位置するマウンテン・ビューの市街地を会場にして、一部のアメリカの報道陣を対象に試乗会が実施されたことが明らかになりました。

I took a ride in Google's self-driving car | The Verge
http://www.theverge.com/2014/5/14/5716468/i-took-a-ride-in-a-self-driving-car

Behind the wheel: a look inside Google's self-driving cars | The Verge
http://www.theverge.com/google/2014/5/14/5714602/photos-inside-googles-self-driving-cars

Googleの自動運転車のベースになっているのは、北米仕様のレクサスRX450hです。ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載した車両に、自動運転に必要な装備が追加されているとのこと。Googleではこれ以外にも、プリウスをベースにした開発車両も所有しています。


まず自動車の中に入ると、内装はごく一般的な仕上がりになっていて、特に違和感は感じないとのこと。ベースとなったレクサスRX450hと同じレザーシートやウッドパネルがそのまま残されているようです。


しかし、センターコンソールには普通の車にはないものが……。


運転席の横、シフトレバーのすぐ下に設置されたこのスイッチは、万が一何らかの不具合が発生した際に車体のコントロールを人間に復帰させるためのスイッチでした。


試乗の際にはGoogleのスタッフが運転席に座り、報道陣は他のシートから実際に走行する様子を見学することになりました。スタッフが自動運転車を駐車場から道路へと向かわせると、車内にはチャイム音とともに自動運転モードで走行していることを伝える女性の声が流れます。


The Vergeの記者によると、乗り心地は非常に優しくてスムーズだったとのこと。自動運転車は研究所の敷地内ではなく、一般の自動車が走行する市街地を流れに沿って走っていたわけですが、レーンを変更したり、交差点を曲がるなどと言った行為が全てスムーズで、「まるで自動車学校の教官の横に乗っているみたいでした」と感想を語っています。

アメリカでは毎年、3万3000人の命が交通事故によって失われており、これは4歳から34歳の年齢層で最も多い死因となっています。また、全人類における死因の割合でも、交通事故はこれから増加する傾向にあると考えられています。


そんな交通事故の原因のトップ3となっているのが「アルコールや薬物の影響」、「スピード超過」そして「携帯電話などによるよそ見」で、人為的ミスによる原因が全体の90%を占めるに至っています。自動運転技術はそのような人為的ミスの危険性を少なくすることで、道路上の安全性を高めることができる可能性があるとして、Googleはその意義について述べています。

車体上部に取り付けられた対象物認識用のカメラ。そのベースには、レーザー光を用いて対象物までの距離やその対象の性質を分析するLIDAR(ライダー)と呼ばれる技術が用いられており、常に回転しながら周囲の状況を把握しています。2年前の当時は「1台分で約700万円」とされてきた高価なシステムですが、実用化された際には大量生産によるコストダウンが見込まれているとのこと。


ドライバーの斜め前、バックミラーの位置に取り付けられた前方確認用カメラ。このカメラでとらえられた映像もLIDARシステムの解析に用いられてコンピューターによる自動運転が実現されます。


メーカーエンブレムの代わりに取り付けられた前方確認用のレーダーユニットは、車体の前方に何が存在しているか、そしてその移動速度を感知するのに用いられています。


そんな自動運転システムが「見ている」車外の世界はこんな感じ。この映像は以前に公開されていたものなので、現在はさらに更新されている可能性はありますが、およその概念をつかむことは可能です。

Google Self-Driving Car on City Streets - YouTube


走行中の自動運転車は常に周囲の状況を把握し続け、コンピューターに情報が送り込まれます。その情報をもとにコンピューターでは道路状況をはじめ、歩行者や自転車の存在、障害物の有無や対象物との距離を認識し、自車の動作について判断を下しています。これまでにもGoogleカーが事故に巻き込まれたことはありましたが、それらは全てソフトウェアに起因するものではなく、後方からの追突をはじめとする相手側の人為的ミスによるものだった、とGoogleは公表しています。

上部に取り付けられたLIDARシステムが目立つ以外は、一般に市販されているレクサスRX450hとほぼ共通の外観となっているGoogleの自動運転車ですが、車体の全てのサイドには「self-driving car」と周囲のドライバーにその存在を知らせる表示が行われています。


Google本部からすぐ近くに展示されている自動運転車の実物。誰でも実際に来て実物を目にすることはできますが、試乗はまだできないとのこと。


自動運転車に弱点があるとすれば、それは雨だと言われています。落ちてくる雨粒はコンピューターの認識能力を下げる可能性があり、現在のところ雨や雪の状況下での検証は実施されていないとのこと。しかしそんな状況についてもGoogleで自動運転車のプロジェクトを進めているクリス・アームソン氏は「さまざまな課題があるものですが、肝心なのはどの分野に挑戦していくかというだけのものでしかありません」と将来の課題解決について意気込みを語っています。

Googleでは2017年に自動運転車を発売することを視野に入れて開発を継続中。まだ自動車各メーカーとの具体的な計画や契約内容などは伝わってきていない現状ですが、自動運転との親和性が高いと言われているハイブリッド車両やEV(電気自動車)をベースにした車両になるものと考えられています。自動運転技術に関してはボルボニッサンが実験を進めていることが知られており、近い未来に実際に街中を自動運転車両が走ることはかなりの現実味を帯びてきたことが言えそうです。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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