家の庭や砂漠でさえも肥沃な土地に変えることができる方法とは?


農作物などの植物を育てるには豊かな土壌と細やかな手入れが必須です。人間が恒久的に持続可能な環境をデザインする「パーマカルチャー」の専門家であるポール・ウィートン氏が、植物の育ちにくい砂漠などでも灌漑(かんがい)設備や水やり・肥料などの手入れが必要ない豊かな苗床「hugelkultur」を作り出す手法を明かしています。

hugelkultur: the ultimate raised garden beds
http://www.richsoil.com/hugelkultur/

「hugelkultur」はウィートン氏がパーマカルチャーを勉強する間に覚えたドイツ語とのことですが、アメリカ人のウィートン氏は正しい発音がわからず、「フーゲルカルチャー」と呼んでいます。ウィートン氏が長年の研究から編み出した苗床hugelkulturは地面から高く盛り上げるのが特徴で、家の裏庭から砂漠でも豊かに植物を実らせることが可能。地面から高く盛り上げるのが特徴で、土の中には腐敗した木や小枝、焼けた木などが詰められており、ウィートン氏は「埋められた森」と表現しています。

家の裏庭に植物を実らせれば、炭素隔離によって温暖化の進行を防ぐことができ、世界が食糧難に陥ってしまっても、十分な食料を貯蓄しておけるとのこと。そんなhugelkulturの作り方は以下のムービーを見るとわかります。

hugelkultur - the ultimate raised garden beds - YouTube


まずは苗床を作成する場所に大きな木の幹を置いていきます。木は新しく伐採するのではなく、腐敗した木や嵐で吹き倒れたものを使用。ウィートン氏の考察では杉・ニセアカシアブラックチェリークログルミは適しておらず、ハンノキ・リンゴ・コットンウッド・ポプラ・柳・カバノキカエデなどが適しているとのこと。


手で運ぶのが難しければトラクターなどの重機を使用して木を並べていきます。


その後は木にかぶせるように土をかぶせると完成。土は掘り返すのではなく、どこかから過剰分の土壌を見つけ出して運んでいるとのこと。


次に育てたい植物の根がついた苗木を植えて「木のベッド」を作ります。苗木が外れないように組み合わせて固定する必要があります。


完成するとこんな感じ。hugelkulturのサイズは大きい方が豊かな苗床になりますが、小さくても問題なし。後からサイズアップもできるので、好きな規模の苗床を作ることができます。


数カ月後に同じ場所を訪れてみると、黄色い果物が実っていました。


周囲を見てみると、土だけだった土地は豊かな緑に覆われており……


遠くにフォーカスすると、なんと周囲は砂漠。


別の方角はハゲ山。


hugelkulturと砂漠の境目は歴然で、突然森が発生したかのように見えます。


hugelkulturにはさまざまな種類が考案されており、別のhugelkulturを作っている様子は以下のムービーから見ることができます。

raised bed gardening without irrigation - hugelkultur - YouTube


まずは苗床の作成場所に土をかぶせて……


シャベルで薄くならします。


そこへ大きな丸太を置いていき……


こんな感じで並べていきます。


丸太のすき間には木片を詰めておきます。


その上から土で細かいすき間を埋めて……


丸太を立てて積み上げていきます。


その上から土でコーティングしていきますが、丸太を倒すことによってできたすき間にもしっかり土で埋めるのがポイント。


最後に立てて積んだ丸太ごと湿った土で埋立てます。崩れないようにしっかりとたたいて固める必要があります。


今回は大人数で作業しているため、重機は使用していません。小さな子どもも頑張っています。


一番上まで土でコーティングすれば完了です。年月の経過につれて内部の丸太が養分になる菌と水分を蓄えていくため、水の少ない地域や灌漑設備がなくても、少量の雨だけで豊かに植物を育てられるシステムになっているとのこと。


以下はhugelkulturの断面を図で表したもの。最初の数年は内部が丸太で詰まっていますが、腐敗の進行が進むと堆肥になってすき間が増えていきます。


最終的には以下のように植物が十分に根を張るスペースが自動的に出来上がる仕組みになっています。


以下はhugelkulturの種類を断面図でまとめたもの。丸太を積み上げて土を高くかぶせることが全てのベースとなっており、丸太と土の間に草木をサンドするものや、周辺を掘り下げてサイズを大きくすることも可能。


狭い場所なら縦に細長く作ったり、先をとがらせることで丸太の数を増やすのも有効です。


限られた土地でhugelkulturを作るには、周囲に石や丸太を置いておくと境界線を作ることができるとのことです。

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