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ユーザーインターフェースの質を高める手法「ユーザーはヨッパライ法」とは


PCを操作するキーボードやタッチパネル、自動車を運転する時のハンドルやペダル類、あるいはウェブページの操作画面など、ユーザーが何かを操作したり情報をやりとりする際に触れる部分は総称してユーザインタフェース(UI)と呼ばれており、その仕上がり具合によっては製品の評価が大きく左右されることもあります。製品企画をおこなう際には重要な項目の1つとなっているUI設計ですが、特にウェブサイトにおけるUI品質を高めるための手法がYouTubeで公開されています。

The User is Drunk - YouTube


優れたユーザーインターフェースデザインの手法について語るのはウィル・デイブルさん。オーストラリア・メルボルンのウェブコンサルタント企業であるSquareweaveを率いる1人です。


デイブルさんが唱える手法とは、「ユーザーはお酒に酔っ払っている」と仮定してインターフェースを設計する「The user is drunk(ユーザーはヨッパライ法)」と呼ぶ手法です。


その前に、まずは「インターフェースとは何か」について説明。インターフェースと聞いて頭に思い浮かべるのは、キーボードやボタン類というものが多いと思われますが、デイブルさんは「インターフェース」について……


「2つのものが向かい合っている場所」という、基本に立ち返った認識について語ります。


インターフェースは実社会の仕組みを反映しているものです。たとえば、ドアを開ける時には握って回すノブよりもレバーのほうが使いやすかったり、さらにいえば自動ドアならもっと使いやすい、という使い勝手の違いが現れるものですが、これはネットでよく使われるログイン画面の操作しやすさにも通ずるものがあります。


「それに、栓抜きの必要な王冠のついたボトルよりも、手で開けられるボトルキャップのほうが開けやすいでしょ?」とビールのボトルを開けるデイブルさん。これもまた「ユーザーインターフェース」の1つです。


たとえば、ページをタブで表現したり、ブレッドクラム(パンくずリスト)を表示させたり、ラジオボタンを使うなどの方法は、実際の身の回りにあるツールをそのままウェブ画面に反映させたものと言えます。


優れたUIは、まるでそれが存在していないように感じられるものです。


そして、優れたUIはまるで障壁のように立ちはだかることもなく、自然な操作を可能にするものです。


それでは、「酔っ払っている」とはいったいどのような状態のことを指すのでしょうか。


それは、目の前がぼやけている状態と言うことができます。


優れたサイトは、たとえ酔っ払っていて視界がぼんやりしているような状態でも……


はっきりと内容が理解できるものです。


酔っている時は注意力も散漫になっているものです。


そのような場合に重要になってくるのが「ユーザーを確実に正しい地点へと導く工夫」と、ここから核心についての説明が始まります。


正しく認識させるためには、同じことを2度伝えることが有効です。実社会の例を挙げると、たとえばオーストラリアの道路を走っていると、制限速度を示す標識が2回表示されているのに気がつくことがあります。これは、1度目には見落とされたり、よく内容を把握できなかった場合でも、数百メートル後に同じ内容を再び表示することでドライバーに確実に制限の情報を伝えるための仕組みとなっています。アイコンと文字を組み合わせたり、確認ダイアログを表示させる方法が有効です。


ユーザーの感情に配慮することも重要です。お酒の場では、とても仲のいい親友が一瞬の後に殴り合いのケンカを始めることもあるものですが、ウェブの場合はもっと状況は悪いものです。ウェブページが気に入らないユーザーは、クリック1つでページを閉じてサヨナラ、ということになってしまうので、ユーザーの機嫌を損ねないための気配りが重要です。


そのために有効な方法が「Over the shoulder test(肩越しテスト)」です。テストユーザーにPCを渡して実際にページを見せ、いろいろな操作を行ってもらってその様子をユーザーの背後から肩越しに観察するという方法です。このテストにより、実際にユーザーがどの段階で操作に困ったり、イライラするかを見極めることができるので、ユーザーの感じ方を知るためには有効な方法です。


そして、このユーザーはヨッパライ法で理解しておかなければならない重要なことは、「ユーザーは酔っ払ってはいても、バカではない」と認識しておくことです。IQ160の人が酔っ払っていても、その人のIQは160のままであり、決して知力が低下したということにはなりません。安易に簡単な言葉を使ったり、過度に単純化することは良くありません。パワーユーザーが相手のコンテンツであれば、サイト側もパワーユーザーにふさわしい対応を取るべきなのです。


実際にあなたのUIに触れるユーザーの多くは、酔っ払ってはいません。日々の生活の中でユーザーは多くの出来事や課題に注意を払い続けているために、とあるウェブサイトに搭載されているあなたの作ったUIにいちいち関心を払う余力など残されていない、ということを知っておくべきなのです。


それでは、実際にUIを設計する際にはお酒を飲んで、酔っ払った状態で作業するべきなのでしょうか?


答えは「そんなことはありません」と語るデイブルさん。「酔った状態だと生産効率が落ちるため、酔って作業をするべきではありません」と語り、酔っ払った人の気持ちでUIの構成を考えることの必要性を説いています。なお、画面には「YES」とまるで「酔っ払った方がいい」と言わんばかりに表示されているそのわけは……


一刻も早くお酒を飲みたかったようでした。


最後のジョークはさておいて、UIを設計する際に陥りがちな自己満足を避けるためには、「ユーザーはヨッパライ法」という手法を取り入れているのも良さそうです。

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in メモ,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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