ネットワークカメラをハッキングした男が赤ちゃんに「起きろ！」と叫びまくる事案が発生

By t0msk

ネットワークカメラがあるといつでもどこでも簡単にカメラの先にあるものを見たり、写真を撮ったり、ムービーを録画したり、カメラの先にいる相手と会話をすることもできるので、小さな子どものいる家庭ではとても重宝します。しかし、アメリカのオハイオ州では、ある夫婦の自宅にセットされていたネットワークカメラがハッキングされ、家中に「起きろベイビー！起きろベイビー！」という男の叫び声が響き渡る事件が発生しています。

Hacker hijacks baby monitor - Cincinnati News, FOX19-WXIX TV
http://www.fox19.com/story/25310628/hacked-baby-monitor

Hacker taps into baby monitor, shouts at sleeping infant - The Mommy Files
http://blog.sfgate.com/sfmoms/2014/04/29/hacker-taps-into-baby-monitor-shouts-at-sleeping-infant/

ある日、Heather Schreckさんは生後10か月の愛娘エマさんが眠っているはずの寝室から聞こえてくる謎の声で真夜中に目を覚ましました。Heatherさんがすぐに自分のスマートフォンで赤ん坊の寝室に設置しているネットワークカメラにアクセスしてみたところ、カメラは彼女が向けた覚えのない方向を向いており、さらにカメラ越しに「起きろベイビー！起きろベイビー！」という聞き覚えのない男のわめき声が聞こえてきました。

Heatherさんはすぐに夫のAdamさんを起こし、赤ん坊の寝室に向かわせます。Adamさんが赤ん坊の寝室に入ると、カメラは突如彼の方を向き、カメラをハッキングした謎の男がわいせつな言葉を叫び始めたので、AdamさんはハッカーのIPアドレスのログや痕跡が一緒に消えてしまうことを知らずに、すぐにカメラのプラグを抜いてしまいました。なお、Heatherさんの家で使っていたネットワークカメラはFoscam製の最新機種だったそうです。

ネットワークカメラから見たエマさんの姿はこんな感じ。

これはとても奇妙な出来事のように聞こえますが、2013年8月にもFoscam製のネットワークカメラが同じようにハッキングされ、ヒューストンに住む夫婦の2歳の赤ん坊が「だらしない女」と呼ばれる事案が発生しています。

By powtac

Shape Securityで働きながらネットワークカメラに関する調査を行っているSergey Shekyanさんによると、こういった事件は全く驚くことではないとのこと。

2013年の春にSergeyさんは同僚のArtem Harutyunyanさんと共に、インターネットに接続しているネットワークカメラはハッキングされやすく、セキュリティ上の欠点を含んでいる、という研究結果を発表しています。研究が公表された後の2013年7月、Foscamは緊急のソフトウェアパッチを配布していますが、一般ユーザーはあまりこのパッチを適用していないようで、Forbesによると4万6000個のFoscam製ネットワークカメラを調査したところ、4万個以上がシステムの更新を怠っていた、とのこと。

By Tod Kurt

この報道の後、Foscamは会員登録をしているユーザーに対して修正パッチの案内をメールで送っていますが、ほとんどのユーザーは会員登録など行っておらず、メールすら送れなかった模様。これについてSergeyさんは、「誰も会員登録に時間を使いたくないし、マニュアルでソフトウェアのアップデートなんてしません。Foscamはより良いセキュリティアップデート方法を導入する必要があります」とコメントしています。

Foscam製品がセキュリティに脆弱性を持っているというのはよく知られたことですが、この問題を抱えるのはFoscamだけではないようで、SergeyさんによるとWansView・Tenvis・EasyN・INSTEONといった企業は、Foscam製ネットワークカメラのクローニングソフトウェアを使用しているので同じようなセキュリティ上の問題を抱えている、とのこと。

By exacq

これらのネットワークカメラを通して、ハッカーは赤ん坊の姿を見たり、メールアドレスやネットワーク信用証明書を盗み見たり、さらには悪意のあるソフトウェアを使って同一ネットワーク内のデバイスを攻撃することもできる、とSergeyさんは警告しています。

ネットワークカメラを使用しないことが最も安全であることは間違いないですが、どうしてもネットワークカメラを使用したいという場合は、以下の4つを守ることがオススメされています。

・セキュリティを常に最新のものにアップデートしておく
・Wi-Fiとカメラのユーザーネームとパスワードを初期状態から変更する
・それらのパスワードを他サービスで使用しない
・ネットワークカメラメーカーの提供しているダイナミックDNSサービスを使用しない