メモ

ロボット開発をめぐるGoogleとDARPAの2大勢力のせめぎ合い

By Jiuguang Wang

ネット界の巨人であるGoogleですが、2013年にはロボット企業7社を買収してロボット技術の分野に乗り出す姿勢が鮮明になってきています。その主な狙いは民間用ロボットの開発がメインであると考えられており、長年にわたってロボット開発を先導し、主に軍事関連の技術を開発するDARPA(国防高等研究計画局)との間には距離を置く姿勢が見えてきています。

Google rejects military funding for its advanced humanoid robot | The Verge
http://www.theverge.com/2014/3/21/5534090/google-rejects-darpa-funding-for-one-of-its-new-robotics-companies

ロボットの開発には膨大な費用が必要とされることが多く、これまでその予算を実現するためには軍関連の組織に頼ることがほぼ唯一の方法でした。しかしそんな時代は、いまや世界でも有数の利益を上げる企業であるGoogleがロボット開発に関与するようになってから一変します。歩行ロボットを開発するBoston Dynamics社をはじめとする数々のロボット関連企業や人工知能開発スタートアップ企業「DeepMind」の買収を進めてきたGoogleは、いまや先進ロボット企業にとって最大のパトロンとなる構図ができてきています。

買収された企業の中でもBoston Dynamics社や日本企業であるSCHAFT(シャフト)社などはそれ以前からDARPAとの関わりを持っていたため、GoogleとDARPAの両方から影響を受ける関係となっていました。


しかし、GoogleとDARPAが目指している方向性はまったく別方向であることから、両者の間には軋轢が生じていると考えられています。Googleがロボット技術を開発する目的は、より多くの利益が見込めるコンシューマー市場へ投入するものであるのに対し、DARPAの技術は最終的にペンタゴンに買われることを目的としたものであり、両者の思惑はまったく別の方向を向いていると言わざるを得ないものとなっています。

その緊張が高まったのは、DARPAの技術が主催する災害救助用のロボット競技大会であるDARPA・ロボティック・チャレンジ(DRC)の場でした。200万ドル(約2億円)の賞金をかけて競われた大会にはGoogleは公式には参加していませんが、実際には、参加者が制作したロボットの多くにはGoogleが関連する技術が使われているという実態があるのです。予選を勝ち残った8チームのうち5チームは、Googleによって買収されたBoston Dynamics社が開発した技術「Atlas」を用いています。

また、予選には日本のSCHAFTチームがエントリーしていたのですが、2位を7ポイント引き離して予選をトップで通過しています。同チームはDARPAから260万ドル(約2億7000万円)の資金支援を受け取って予選に参加していましたが、2014年後半から2015年中に開催される予定の決勝大会には自己資金をもとに参加することを発表。これは、軍関連の資金から距離を置きたいという意向がはたらいているとみられています。

決勝大会には、NASAが開発したロボット「Valkyrie(ヴァルキリー)」など、GoogleとDARPAの影響を受けていないチームも参加を予定。両者の意向を含んだ勝負の行方に関心が集まるところです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
大破した軍用ロボットからルンバの始祖までiRobotの歴史が丸わかりの博物館&食堂を米国本社で見学してきた - GIGAZINE

軍事用偵察マシンに子どものおもちゃから「ルンバ」プロトタイプまで、iRobot社が作ったロボットが勢揃い - GIGAZINE

Googleが歩行ロボットメーカーのボストン・ダイナミクスを買収 - GIGAZINE

あのリアル過ぎる軍用四足歩行ロボット「LS3」が音声認識によって指示を理解するように - GIGAZINE

自分で判断して行動する「シロアリロボット」の開発がハーバード大で進行中 - GIGAZINE

ダイソンが人間と同じように考え見ることのできるロボット製造を目指すことが判明 - GIGAZINE

in メモ,   ハードウェア,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.