ライトセーバー誕生秘話をジョージ・ルーカスが明かす

2015年12月18日に新作「スター・ウォーズ エピソード7」が公開予定の映画「スター・ウォーズ・シリーズ」には、ファンでなくとも見たことのあるアイテムや乗り物が数々登場しました。その中でもジェダイの騎士やダース・ベイダー、シスの暗黒卿が使用するライトセーバーは、多くの人の心に残り、今でもライトセーバーのおもちゃが販売されているほどです。スター・ウォーズ・シリーズの監督・脚本を務めたジョージ・ルーカス監督や映画スタッフが、ライトセーバーの生まれた経緯について詳しく解説したムービーが公開されています。

Star Wars Featurette: The Birth of the Lightsaber - YouTube


ルーカス監督によると、映画内での戦いを剣を使って表現することは、1940年前後に公開されたアクションやファンタジー映画の影響を色濃く受けているとのこと。

スター・ウォーズ・シリーズに影響を与えた作品の1つとしてルーカス監督が明かしたのは、1938年に公開された映画「ロビンフッドの冒険」です。

ルーカス監督はジェダイの騎士やダース・ベイダーなど、物語の核となるようなキャラクターには、武器でありながらも強さや名誉を象徴するようなアイテムを持たせようと考えていました。

当初はライトセーバーではなく、シンプルな剣での戦いを想定していたと語るルーカス監督ですが、もっと未来を感じさせる武器を考えた結果、ライトセーバーにたどり着きます。

ルーカス監督は「ジェダイが使用するのは、敵を攻撃するためではなく自分や他人を守るための武器である、という概念があり、ライトセーバーはまさしくピッタリだったんです」と語っています。

ライトセーバーは使用する人の魂やエネルギー、フォースを取り込んでいるためかなり重いという設定で、東洋の剣術スタイルに近い両手持ちが基本でした。

ライトセーバーの重さを表現するのに、実際の演技では片手でライトセーバーを持つことがないように注意深く指導されたとのこと。

しかしながら、物語が進むに連れて主人公のルークは成長し、以前よりスピードが上がり、より緊張感のある戦いを描くため、ライトセーバーは片手でも持てるほどの軽さに設定が徐々に変更されていきます。

シリーズの序盤に登場するライトセーバーの光る刃は、光反射性のテープを貼り付けたポール(刀身部分)を回転させることで表現されていました。

物語が進むと、ライトセーバーを表現するのに刀身に棒を使用し、ロトスコープと呼ばれる機材で後から光を描き込み合成する手法が採用されています。

こちらはロトスコープで合成される前の映像。

ロトスコープを使って光を合成させている作業の途中の映像からは、刀身と赤や青色の光がずれているのがわかります。

ほぼ完成間近の映像でも、若干のブレを確認できます。

完成後のライトセーバーは完成直前のものより色が薄く、刀身が太め。

刀身の動きをトラックして光を合成する方法では無理があるため、ライトセーバーの束(つか)の部分だけで撮影を行ったシーンもあります。

ライトセーバーは、その形だけでなく、振り回した時になる「ブーン」という音も印象的。

ライトセーバーの音響作成を任されたのはサウンドデザイナーのベン・バート氏。

ルーカス監督から「ライトセーバーの効果音を考えてくれ」という指示を受けたバート氏によると、スター・ウォーズのコンセプトアートを見た時から頭の中に思い描いていた音があったそうです。

バート氏がライトセーバーに使用できると思ったのは、映写機のモーターが回転する「ブーン」という音で、後にライトセーバーを振り回したときに発生する音のモデルになりました。

また、ライトセーバーが触れ合った時に発する音は、壊れたケーブルをテレビにつなげたときに発した音を参考にしているとのこと。

ライトセーバーを使用した戦いについてルーカス監督は「エピソード4・5・6では、ライトセーバーでの戦いを常に進化させるように努めてきた」と話しています。

ただし、ルークがジェダイの進むべき道から少し外れるような形で成長したので、そういった部分にも注意してエピソード4・5の戦いは描かれています。

エピソード6でのルークとダース・ベイダーの戦いは、敵対するダース・ベイダーが実の父親であると知ったルークや父親であるダース・ベイダーの心の葛藤を表現しており、過去のものとは違ってより感情的なものに仕上がっています。

新3部作とも言われるスター・ウォーズ エピソード1・2・3では、ライトセーバーの戦いはスピードアップし、キャラクターの動きもより洗練されて、さらに進化を遂げていて、エピソード4・5・6の戦いとは全く違ったものに仕上がっています。