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仮想現実を実現すべく生み出されては散っていった3Dゲーム機&VRヘッドセット

By jasohill

没入型ヘッドアップディスプレイとして注目を集める「Oculus Rift」が、約2000億円でFacebookに買収されたり、ソニーが自社製のPlayStation 4用VRヘッドセット「Project Morpheus」を発表したりと、仮想現実(VR)関連技術が盛り上がりをみせています。しかしこのVRシステムは、近年誕生したばかりの最新テクノロジーというわけではなく、これまでに多くの3Dゲーム機やVRヘッドセットが登場してははかなく散っていった悲しい歴史があり、その上に現在のOculus Riftなどの成功があるわけです。

RIP: The fallen heroes of virtual reality - Photo | Red Bull Games
http://www.redbull.com/uk/en/games/stories/1331628307841/rip-the-fallen-heroes-of-virtual-reality


◆初期:セガの3Dグラスと任天堂のファミコン3Dシステム


セガと任天堂はゲーム機が8ビットの頃から3Dエフェクトをゲームに取り入れようと試みており、その成果がセガのセガ・マスターシステムにて使用可能な3Dグラスや、任天堂のファミコン3Dシステムであったりします。これらはグラス部分に液晶シャッターが組み込まれており、専用ソフトと併用すれば擬似3Dを体感できるわけですが、厳密にはVRヘッドセットという分類には当てはまらないとのこと。

当時の3DグラスのテレビCMが以下のムービーになります。

Sega Master System - Segascope 3-D - Segascope 3D TV Spot - Sega Master System - YouTube


これらに対応したソフトは非常に数が少なく、大きな支持を得られず、ファミコン3Dシステムは日本国外での販売が行われませんでした。なお、セガの3Dグラスは、PlayStation 4やPlayStation Vitaのリードアーキテクトとして知られるマーク・サーニー氏が開発に関わっていたとのこと。

◆話題のゲーム:Virtuality


1990年台初頭、VRは未来の技術として積極的に世間に売り込まれており、バーチャル・ウォーズディスクロージャーといったハリウッド映画の影響もあり、より脚光を浴びることになります。そんな中でイギリスのある企業が開発したアーケードゲームユニットが「Virtuality」です。

一時期ゲームセンターにはこのアーケード筐体がぽこぽこと現れましたが、Virtuality本体は非常に高価な割に、これらで遊べるゲームはあまり質の高いものではなかったため、ブームはすぐに過ぎ去っていきました。Virtualityの開発元であるVirtuality社は、セガ・AtariFordといった企業と提携しましたが、結局1997年には破産してしまいます。

◆空約束:セガVR


当時の多くの企業がそうであったように、セガも1990年代初頭にVR関連機器の開発に着手していました。セガはVirtuality社のサポートを受けながら、日本国内でセガが運営するアミューズメントパーク「ジョイポリス」向けにアーケード用VR端末を開発します。そんなセガが次に目論んでいたのが、同社が開発した家庭用16ビットゲーム機「メガドライブ」で利用可能なVRヘッドセット「セガVR」の開発でした。

セガVRの開発は業界のイベントで実機を披露するほど進んでおり、ゲーム雑誌に広告が掲載されたりもしましたが、製造が始まる直前になって開発プロジェクト自体が中止になってしまいました。詳細については不明ですが、メガドライブの処理能力では十分な3D映像を実現できるわけもなく、デモ版ソフトウェアは悲惨なものだった、とのことです。

◆空約束2:Jaguar VR


Virtuality社はAtariとも提携を結んでおり、Atariは自社製64ビットゲーム機Atari Jaguar向けヘッドセット「Jaguar VR」を開発していました。Jaguar VRはヘッドトラッキングによる十分な没入感を実現しており、Atariの名作ゲームを3D化してリリースする予定だったようですが、AtariがJaguarの販売に苦戦する内に経営状態が悪化。結局はVirtuality社との提携関係も崩壊し、Jaguar VRの開発プロジェクトも中止されてしまいます。

そんなJaguar VRが1995年のElectronic Entertainment Expo(E3)に出典された際の映像がコレ。

Atari Jaguar VR Demo - Jaguar Virtual Reality Demo - E3 Expo 1995 - YouTube


プロジェクトの中止に伴い機体の大半は廃棄されましたが、一部は時折オンラインオークションサイトなどに登場して天文学的な値段をつけられています。なお、1998年にはVirtualityの元経営者が、Jaguar VRで使用されていた技術を応用してPhilipsから「The Scuba」というヘッドセットをリリースしました。

◆PC部門:CyberMaxxとVFX-1

By Trypode

いつの時代もゲームテクノロジーの最先端をPCが担ってきたことを考えれば、ここ20年の間に様々なヘッドセットが販売されたことに驚く余地はありません。そんなPC向けヘッドセットの中でも最もよく知られているのが、CyberMaxxVFX-1です。これらはどちらも1990年代初めに生まれた比較的粗雑なヘッドセットで、200ドルから300ドルという価格で販売されていました。当時のほとんどのVRヘッドセットと同じく、ヘッドセット内に組み込まれた液晶ディスプレイの被写体ブレがひどく、ヘッドトラッキングの反応もつたないもので、さらには本体サイズが非常に大きく装着感もひどいものであったとのことです。

◆楽な金儲け:R-Zone


Tiger Electronicsはアメリカの玩具メーカーで、一部の年代層にはよく知られた企業の1つかもしれませんが、それは良い意味で知られているわけではないとのこと。Tigerは有名な映画や家庭用ゲーム、アーケードゲームなどの版権を元にゲームを製作していたそうで、それらのゲームは携帯ゲーム機の草分け的存在となるゲームボーイが登場するまでは、誰もが持ち歩いていた程に人気なゲームであったそうです。そんなTigerが1990年代に巻き起こっていた「VRブーム」に加わるべくリリースしたのが「R-Zone」でした。

R-Zoneがどんなゲームだったのかは以下のムービーを見れば分かります。

Tiger R Zone Commercial - Tiger Electronics R-Zone TV Commercial - Tiger R-Zone - YouTube


R-Zoneでは右目の前に位置する透明なプラスチックディスプレイにゲーム映像が投影されます。しかしこれはその他のヘッドマウント型ディスプレイとは比較にならないくらいに没入感のないもので、当然のごとく発売と同時にすぐにゲーマーたちからも忘れ去られてしまったそうです。その後、Tigerは大手玩具メーカーであるHasbroに買収されています。

◆大失敗:バーチャルボーイ

By Artefact Group

任天堂がリリースしてきたハードの中で最も失敗したものがバーチャルボーイ、といっても過言ではありません。これは1990年代半ばに起きていたVRブームに便乗する形で開発されたハードで、真っ赤な見た目を自慢にしていましたが、赤色LEDが使用されたのは安価で入手でき、電力消費も少ないからとのこと。また、端末は平坦な場所でしか機能しないため、プレイヤーは窮屈な姿勢を強いられることも多々ありました。

そんなバーチャルボーイでリリースされたゲームタイトルとプレー風景は、以下のムービーで見ることができます。

20 Games That Defined the Virtual Boy - YouTube


この端末はゲーム市場から無視され続け、どんどん値段が安くなっていき、発売から1年も経たずに任天堂のラインナップから姿を消しました。

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in ハードウェア,   動画,   ゲーム, Posted by logu_ii

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