取材

虚淵玄・水島精二監督にとって初の劇場版オリジナル作品「楽園追放」とは


小説「Fate/Zero」やアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の脚本を手がけた虚淵玄さんが脚本を書き、「機動戦士ガンダム00」「鋼の錬金術師」の水島精二さんが監督を務める新作映画「楽園追放 -Expelled from Paradise」のイベントが新宿バルト9で開催されました。虚淵さん・水島監督ともに劇場版作品を手がけたことはありますが、いずれもテレビシリーズの続編だったりするため、2人にとってこれが「初の劇場版オリジナル作品」となるそうです。

『楽園追放 -Expelled from Paradise-』
http://www.toei-anim.co.jp/movie/EFP/

『楽園追放 -Expelled from Paradise-』PV(ディーヴァ通信篇) - YouTube


今回、イベントの司会はA応Pの荻野沙織さんと清水川沙季さんが担当。


まずは東映アニメーションの野口光一プロデューサーにより、作品制作のきっかけが語られました。きっかけは、野口プロデューサーが「神林長平トリビュート」に収録されていた虚淵玄さんの「敵は海賊」を読んで、「この人と仕事をしたい」と思ったこと。


この作品、東京国際アニメフェア2012の時には「虚淵玄」「水島精二」「東映アニメーション」という3つの要素だけ載せられたポスターが展示されていましたが、その後、じわじわとビジュアルがついたり、情報が増えたりしてきています。


野口プロデューサーが本作を作るにあたって定めた5つのルールがこれ、「100%手付けアニメーションであること」「日本のリミテッドアニメーションの技法を踏襲する」「顔(facial)のアニメーションには手作業を加えていること」「2Dのスタッフが深く関わっていること」「キャラクターにおいて造形物を作ること」。


このルールのもと、どうやって作品が作られていっているのかについては、水島精二監督、脚本の虚淵玄さん、キャラクターデザインの齋藤将嗣さん、造形ディレクターの横川和政さんも加わってトークが進められました。


まずは30秒の劇場予告編が流されました。ちなみに、これに向けて新作カットが作られたりしたそうなのですが、それが入っていなかったりして「私が作ったカットが入っていない!」とスタッフから監督に苦情が入ったりもしたそうですが、後半の怒濤のような切替の中には大量のカットが詰め込まれています。

『楽園追放 -Expelled from Paradise-』劇場予告編 - YouTube


追加公開されたスタッフ名の中には、演出に「交響詩篇エウレカセブン」の京田知己さんの名前が入っていたり、キャストだと神谷浩史さんの名前が加わっていたり。


上映は全国12劇場で行われることになっていて、3月22日からは映画館で上記予告編映像が流れます。新宿バルト9では、タイトルなどの情報がない謎の映像としてPVが流れており、今回のイベント参加者の中にはすでにPVを映画館で見たという人も混じっていました。


「楽園追放」は2年前にプロジェクト始動が発表されて以降、作品の中身については告知されていませんでした。今回は監督と虚淵さんが来るということで、冒頭部分が少しだけ明かされました。


虚淵さんによると、物語は地球の環境が大災害でメチャクチャになった後の話で、人類は地球には住めなくなったものの9割以上が電脳空間に移住しているという設定。そんな遠い未来で、荒廃したはずの地球から電脳世界にハッキングが行われたので、体だけクローニングで再生した捜査官が地球に降り立つ、という流れだそうです。


「ものすごくネタバレっぽいことも出ましたが、あくまで『あらすじ』欄に載るぐらいの内容で、ここからまだまだ話はありますから」と水島監督。


地上に降りたアンジェラがどんな活躍をするのかが楽しみなところですが、このアンジェラ、設定画よりもアニメではぷに萌え度合いが増しているとのこと。


イベントの最後に行われる抽選会の色紙を書いているキャラクターデザインの斎藤さん。すでにデザイン関連の作業は終えているので今は版権イラストが中心だそうです。


今回の作品は、端的に言うとバディもの。


多くの人間が電脳空間で暮らすようになっても、一部地上に暮らしている人間はいて、捜査官に対する現地協力者となっています。それがこのディンゴで、アンジェラと違って西部劇みたいな格好をしているのは、地上に残されたテクノロジーがこれぐらいのレベルだから、と虚淵さん。


作品に着手した当時は全編3DCGでやるアニメなんてないだろうと思っていたら「やっている間に抜かれてしまった」と蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-シドニアの騎士の名前を挙げた水島監督。後から出すからには技術表現を高めていこうということで、アニメーションの方法論を踏襲しつつ違ったことができないかと模索しながら日々作業を行っていると語りました。その作業量は、通常のアニメに直すと20万枚クラスだそうです。


その裏には、「現場のスキルが高いからこそ、集大成をお客さんに見せたい」という思いがある水島監督。虚淵さんの脚本はセリフが多めですが、そういうところも動かしつつやれないだろうか?と演出の京田さんに相談したらすごいモノが上がってきているとのこと。


機動外骨格スーツ「アーハン」は斎藤さんがデザインしたもの。この企画はもともとメカデザイン役がおらず、若い世代をメインに起用することが考えられていたので、水島監督がキャラクターデザインの斎藤さんとビジュアルデザインの上津康義さんに「やってみる?」と打診したところ、2人がそれぞれに面白い案を挙げてきたので使うことになったという流れだそうです。そこで斎藤さんが出してきたのがこのアーハン。


しかし「丸いところがいいよね」と言いつつ進めていく中で、コックピットはバイクがいいという斎藤さんの意見を採用するとどうやってもコックピットに入らなかったり、造形担当の浅井真紀さんに立体で作ってもらおうとしたら「これは造形できないぞ?」ということになったりして、やはりプロのメカデザイナーはすごいということを感じたと水島監督。それでも、斎藤さんには監督らに面白いと思わせるものがあったので、そのデザインをもとに細かい部分を検証して修正していったそうです。斎藤さんはトランスフォームにこだわりがあったのですが、プロには「いや、これだとできないね」と厳しく突っ込まれたとか。


斎藤さんはファミレスで柳瀬敬之さんから「こうだよ」と指導を受けることもあったそうです。


こちらの立体造形物は、本読みの間に浅井真紀さんが作り上げたもの。脚本よりも先に立体物ができあがっていたのだとか。


そんな会場に、なにやら布の被さった大きなモノが搬入されてきました。


監督と虚淵さんが布をめくると……


等身大アンジェラが登場。


これは斎藤さんがFebirに描いたイラストをそのまま立体化したもの。立像にするというアイデアもあったのですが、寝転んでいるのもアリだろうということでこの姿になりました。


胸の部分は柔らかく作られているということで、産みの親である斎藤さんがチェック。


虚淵さんはアンジェラの背後から。非常にやわらかく触り心地が良いそうです。なお、この等身大アンジェラはAnimeJapan 2014の東映アニメーションブースで展示されることになっていますが、お触りは禁止だとのこと。


作品については、わりと正攻法で作っており「映画だから見ていただいた方が気持ちよく帰れるものになっている」ということで、今回の脚本は「白淵」(白い虚淵さん)だと水島監督。


最後には斎藤さんが書いた色紙や、今後作られることはないかもしれない限定のマグカップやクリアファイルなどのグッズ抽選会が行われました。


締めは各スタッフからのメッセージ。

野口プロデューサー:
次はマチ★アソビに参加しようと思います。監督も行きます。今回のグッズのように、また違った「何かやってみた」シリーズを考えますので、お楽しみに。

横川:
全てのセクションのスタッフが頑張っていますので、公開を楽しみにしていただければと思います。話は変わりますが、さきほどPVが流れたときにスクリーンをバックにしてアンジェラがすごくイヤらしい感じになって、そこばっかり気になっていました。

斎藤:
僕のデザイン仕事はほぼ終わっていて、版権仕事でこれからは本編のアンジェラに似せるように頑張ります。この他にもできているものを見せていただいていて、僕が描くよりぜんぜんかわいいので、ぜひ劇場で見ていただければと思います。

虚淵:
テレビの続編モノではない劇場版オリジナル作品の脚本をやるというのはこれが初めてなので、思い入れがあり、「映画を作った」という気持ちになっています。早くみなさんに見ていただける日が来るといいなと、今から待ち遠しいです。どうかよろしくお願いします

水島:
ぼくも虚淵さんと同じく、映画は3本作りましたが、オリジナルは初です。日々、スタッフと新しいことを目指して、アイデアを出しつつ頑張っています、5月のマチ★アソビではまた何か新しいモノを見せたいと考えていますので、よろしくお願いします。

登壇者が退場したのち、サプライズでこれまでに流れたことのない4分のスペシャルPVが上映されました。「楽園追放 -Expelled from Paradise-」は11月15日(土)から新宿バルト9ほかで上映開始です。

◆スタッフ
原作:ニトロプラス、東映アニメーション
脚本:虚淵玄(ニトロプラス)
監督:水島精二
キャラクターデザイン:斎藤将嗣
メインコンセプト&ビジュアルデザイン:上津康義
メカニックデザイン:石垣純哉
スカルプチャーデザイン:浅井真紀
グラフィックデザイン:草野剛
設定考証・コンセプトデザイン:小倉信也
絵コンテ:水島精二、京田知己
CG監督:金子友昭、阿尾直樹
造形ディレクター:横川和政
色彩設定:村田恵里子
モニターグラフィックス:宮原洋平(カプセル)、佐藤菜津子
美術監督:野村正信(美峰)
撮影監督:林コージロー
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文(テクノサウンド)
音響効果:倉橋静男(サウンドボックス)
音楽:NARASAKI
アニメーションプロデューサー:吉岡宏起
プロデューサー:野口光一
アニメーション制作:グラフィニカ
企画・製作:東映アニメーション
配給:ティ・ジョイ

◆キャスト
釘宮理恵、三木眞一郎、神谷浩史

©東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ

・関連記事
水島精二監督らが2D・3Dのアニメ制作システムの違いや技術面について語りまくった「楽園追放テクニカルミーティング」レポート - GIGAZINE

2014年春季開始の新作アニメ一覧 - GIGAZINE

ロボットアニメ「アルドノア・ゼロ」はあおきえい監督初のオリジナルテレビ作品 - GIGAZINE

キモカワイイ不思議生物がバトルしたりするアニメ映画「センコロール2」2014年夏公開が決定 - GIGAZINE

庵野監督夫妻の結婚生活を描いた「監督不行届」アニメ化、山寺宏一&林原めぐみが声を担当 - GIGAZINE

in 取材,   動画,   映画,   アニメ, Posted by logc_nt