サイエンス

自作の核融合炉で実験に成功した世界最年少の原子物理学者は13歳


世界にはモバイルゲームを開発してスタートアップ企業を設立する13歳の少年新種の太陽光発電を開発した12歳の少年などがいますが、イギリス北西部のプレストンには、自作の核融合炉で核融合実験を行いヘリウムの生成に成功したジェイミー・エドワーズさん(13歳)がいます。

BBC News - Young scientist Jamie Edwards in atomic fusion record
http://www.bbc.com/news/science-environment-26450494


ジェイミーさんが核融合の実験でヘリウムを生成した際の様子はBBC Newsが撮影しています。

BBC News Young scientist Jamie Edwards in atomic fusion record - YouTube


真剣な面持ちで計器に向き合うのがジェイミーさん。


核融合実験に伴い、現場には放射性標識が貼られています。


これらの機材は全てジェイミーさんが自分で作成した核融合炉の一部。


慎重に計器を操作して反応を待ちます。


メーターがグイッと動き……


実験に成功した模様。


核融合でヘリウムを生成する、という当初の目標を達成したことで興奮冷めやらない様子のジェイミーさん。これまで核融合実験に成功した最年少記録は、アメリカの14歳の少年が保持していましたが、ジェイミーさんは13歳でこの実験に成功し、世界最年少の核融合研究者になるという夢を叶えられました。


また、彼は自身が核融合炉を完成させて核融合研究者になるまでの過程を自身のブログに記録していました。

Jamie's Fusion Project
http://jamiesfusionproject.blogspot.jp/


ジェイミーさんがブログを始めたのは2013年11月8日ですが、彼はそれ以前から自身の核融合実験プロジェクトをスタートさせており、ブログ開始時には既に実験のための資金調達に成功しています。実験のための資金は、彼の通っているPenwortham Priory Academyから提供してもらいましたが、何もせずにそれらを得たわけではなく、自身のプレゼンテーションで資金を得られるように学校(の教頭先生)を説得したようです。その際のプレゼン資料はココにあり、資料の中には実験を行う動機や、核融合実験の危険性、簡易な設計図、核融合でどのようなことができるかなどについての記述があります。

ブログを始めてポストした段階でジェイミーさんは2000ポンド(約35万円)の予算を持っており、そこから実験用の機材として、メインの真空槽とフランジ、のぞき窓。さらに真空ポンプ・タングステン線・アルミニウム棒・送電用の銅管・カッター・バルブ・ニードル弁などを購入しています。

購入した真空ポンプ。


フランジとニードル弁を組み上げていきます。


途中経過はこんな感じ。


そして実験に使用する重水素が到着。「これが到着した時、学校の先生たちが心配し始めた」とブログには書かれています。


さらに拡散ポンプが到着。しかしこの拡散ポンプの冷却ファンを囲むケース部分に大きなくぼみがあり、このせいでファンが正常に回転できなかったようです。


また、0.1mmのタングステン線の代わりに1.5mmの軟銅で内部の送電網を作ることで高電圧にも耐えられる装置を実現したとのこと。ブログによると、タングステン線を適した形に曲げたりするのは非常に困難だったようです。


さまざまな困難を乗り越えながら装置を組み上げ……


2014年の2月3日にようやく核融合炉をコントロールするためのコントロールパネルが完成。このパネル部分で電圧や真空ポンプを操作するとのこと。


2月25日についに核融合炉は完成。しかし、まだジェイミーさんは放射線取り扱いのための講習を受けていなかったようです。


同日、真空槽にて真空を作り出すことに成功。


そして3月5日の11時30分に核融合実験に成功したというわけです。


最新の投稿では、実験を支えてくれた多くの人々に感謝すると共に、実験時の写真などを多数アップしていくことを約束しています。

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in サイエンス,   動画, Posted by logu_ii

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