数学を学ぶには計算ドリルではなく「高度な数学」から学び始める方が効果的なわけとは?

By AJ Cann

小学生のころは好きだった算数も、中学生から「数学」に突入、カリキュラムが進み内容が高度になるつれて大嫌いになったという数学嫌いの人は非常に多いものです。しかし、「小さな子どもこそ高度な数学から学ぶべきである」という驚くべき数学の学習方法が唱えられています。「5歳の子どもにも高度な数学」とは一体どのような学習方法なのか、The Atlanticがまとめています。

5-Year-Olds Can Learn Calculus - Luba Vangelova - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/education/archive/2014/03/5-year-olds-can-learn-calculus/284124/

「数学」を学ぶまでに、その準備として四則演算、小数・分数などの計算をコツコツを積み重ねて、方程式を入り口に、代数・幾何、微分、積分と順序立てて学習する方法は、日本だけではなく世界的にも一般的なスタイルです。そして、大多数の人が高校生になると数学で挫折、数学嫌いになるというのも世界共通だと言えます。

アメリカの数学カリキュラムの設計に携わるマリア・ドロクバさんは、数学嫌いを減らすための先進的な数学教育を提唱することで注目を集めています。ドロクバさんは、「数学嫌い」を養成するのは現在行われている段階的な学習スタイルに原因があると考えており、このようなカリキュラムを見直す新しい数学の学習方法として「子どものころから高度な数学的な考え方に触れる」という学習方法を提唱しています。

「高度な数学的な考え方」と聞くと子どもには無理と思わずにはいられませんが、ドロクバさんによると「高度な数学」は「難しい数学」とは似て非なるもの。高度な数学的な考え方とは、物事の根底を支える概念として高度な数学的要素があるものを指し、問題解決の難度とは別であり、子どもが学習するのに難しいものではないとドロクバさんは話しています。

例えば、図形の中に繰り返されるパターンを見つけ出すことは高度な数学的考え方になり得ます。また、立体的な構造を解析することは高度な数学に他ならないとドロクバさんは考えています。この考え方によると、例えば、雪の結晶の形を折り紙で折ることやLEGOブロックを使って家を組み立てることは、高度な数学的学習方法とのこと。

By Ken

ドロクバさんは、このような遊びの中にも数学的な概念は多分に含まれており、遊びを通して数学を学習することが、数学的素養を培うのに大切であると考えています。このような高度な数学的学習方法は「複雑だが簡単なこと」であり、典型的な計算ドリルのような「単純だが難しいこと」に比べるとはるかに数学の学習に効果的であるとしています。

ドロクバさんは、「どんな分野にも数学的な考え方が隠れています。それは、デザインで用いられたり、工作に用いられたり、芸術にも用いられるものであり、学校で形式的に教えられるような微分積分などとはまったく違うものである」と話します。

ドロクバさんの提唱する「遊びを通じて数学を学ぶ手法」は、数学的な素養の基礎として根付くものであり、遊びの要素のない学習とは質が違うとのこと。遊びの要素のない計算ドリルを強制的に解かせるというようなスタイルの教育では、論理的思考を養い、問題解決の手法を得るのに役立たないとドロクバさんは考えています。

そして、遊びを通じた数学の学習においては、定型的な方法論にとらわれないことが大切であるとのこと。ドロクバさんは、多くの子どもたちを指導する中で、クラスの中に必ず授業とはまったく別のことに熱中する生徒がいて、その子どもたちが驚くほど多くのことを吸収し成長していることに気づいたと言います。自由な発想で、遊びの要素を取り込むことは、将来、数学を学ぶのに役立つはずだとドロクバさんは考えています。

By Jimmie

また、みなが一律に定型的な数学を学ぶ必要はありません。「例えば、『ひし形』一つとっても、人によってとらえ方はさまざまです。アートを学ぶ人はひし形を実際に描くでしょう。プログラマーならひし形を描くコードを書くでしょう。哲学者ならひし形の本質について議論するかもしれません。自分の興味のある数学的知見を持っていればそれで十分で、生きていくのに困ることはないのです」とドロクバさんは話しています。もちろん、人類の将来を考えれば数学は必要なことは間違いないといえますが、遊びを通して数学を学ばなかったために数学嫌いになることは大きな損失です。

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このような遊びを通して「複雑だが簡単なこと」を学び、数学的な素養を身につけるためには、大人は子どもに、「数学に関係がある題材」を与え、それを一緒に考え体験することが大切であるとドロクバさんは話しています。幸いなことに、数学にまったく疎い大人であっても、インターネットで数学好きの人にアドバイスを受けられる現代社会は、子どもが数学を学ぶためのサポートは存分に受けることができるはずだとのことです。

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