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Amazonの展開する出版会社が新人作家を発掘する全く新しい方法とは?

By LuisRaa

大手出版会社は「著名な作家に前金を支払って新しい本を書いてもらう」という戦略を何十年にも渡ってとり続けており、ニッチなジャンルを専門に執筆する作家は零細出版社から本を出版しているのが出版業界の常識でした。一方、今までとは全く違うビジネスモデルを携えて出版業界へ参入したのがAmazonで、その新人作家を発掘する方法をPhys.orgが公開しています。

Amazon's digital reach enables a different publishing model
http://phys.org/news/2014-02-amazon-digital-enables-publishing.html

Amazonが出版しているデジタル書籍は、印刷・流通・売れ残った本の買い戻しにかかる費用が全くかからないので、絶対的な売上が約束された商用性の高い本を出版する必要がありません。しかしながら、Amazonの強みはコストを削減できることだけではなく、同社の電子書籍リーダーKindleから収集されるさまざまな顧客データにあります。

By David Goehring

Kindleは世界で最も売れている電子書籍リーダーであり、ユーザーはKindleから直接Amazonにアクセスして電子書籍を購入することが可能です。Kindleから収集されるユーザーデータには、閲覧スピード・買い物の行動パターン・本のレビューなど多岐にわたり、これは紙媒体の書籍を販売している大手出版会社がなかなか得られないもの。Amazonの役員は「Kindleから集められたデータは、読者がどのような本を求めているかなどを分析するのに役立っています」と発言しています。

ユーザーを不快に思わせないことを念頭においているというAmazonは、かなり注意してKindleから集められたデータを扱っていて、集められた情報はすべて匿名になっているとのこと。AmazonはKindleから収集した匿名のデータを販売データ・他のカスタマーレビューなどと併せて分析し、新人作家発掘のために利用しています。

Amazonの出版子会社であるAmazon PublishingのJeff Belle副社長によると、同社でデビューし大きな成功を収めたKaren McQuestionさんは、Kindleから収集されたデータを分析して発見された作家です。


McQuestionさんは、Kindle用の本を自由に出版できるKindle ダイレクト・パブリッシングを利用して電子書籍を自主出版していた無名作家の1人でした。McQuestionさんの電子書籍「A Scattered Life」がKindleユーザーの間で好評を博していたことから、AmazonはMcQuestionさんに接触、最終的にAmazon Publishingとの契約に至ります。契約以降、McQuestionさんはAmazon Publishingから数冊の電子書籍およびペーパーブックを発売し、その内の1冊である「The Long Way Home」は累計20万部以上の売り上げを記録しています。

Amazonは許諾を得た原作に基づく2次創作作品を販売できるプラットフォーム「Kindle Worlds」を2013年5月に発表し、新しい出版ビジネスも展開しています。Amazonが出版ビジネスから得ている収益などの詳細は公開されていませんが、Belle副社長は「Amazonの出版ビジネスは驚くべき伸びを見せていて、Kindleのプラットフォーム上では売上が5番目に大きい出版社にまで成長しています」と、細かい数字までは言及しませんでしたが出版ビジネスが好調であることをほのめかしていました。

By cheukiecfu

Amazonの出版ビジネスにおける戦略は、従来の出版社と比べると全く違い斬新なものばかりです。ただし、Kindleから集められた顧客データはAmazonがインターネットショッピングを通して得ているビッグデータの一部であり、今後収集したデータを応用する新たなビジネスが展開される可能性があるとのことです。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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