数々の賞を受賞したカメラマンが語るスポーツ写真撮影の心得と機材

By The New York Times

2014年2月6日(現地時間)に開幕したソチオリンピック2014では16日間の会期中に98の種目が繰り広げられ、数多くのアスリートがその技術を競い合います。そんなアスリートが見せる貴重な瞬間を切り取ろうと世界中からカメラマンが押し寄せていますが、世界有数のデジタルコンテンツ企業であるゲッティ・イメージズに所属するカメラマンの一人であるアダム・プリティ氏がスポーツ競技の撮影のコツについていろいろと語っています。

How to photograph the Sochi Winter Olympics, as told by a pro | Ars Technica
http://arstechnica.com/gadgets/2014/02/how-to-photograph-the-sochi-winter-olympics-as-told-by-a-pro/

16歳の時に目にした写真に衝撃を受けたことをきっかけに写真を始めたというプリティ氏は「どんなカメラ撮影においても言えることですが、被写体へのアプローチ方法は何万通りもあります」と語ります。オーストラリア・シドニーの新聞社であるシドニー・モーニング・ヘラルドでカメラマンのキャリアをスタートさせたプリティ氏は、その後の1998年からゲッティ・イメージズ社に所属。それ以来、5つのオリンピックの現場で貴重な瞬間をカメラに収めてきました。

Adam Pretty :: Photographer
http://www.adampretty.com/


プリティ氏が考える写真撮影において最も重要なポイントは「自分ならではのポジションを見つけること」。彼が16歳の時に衝撃を受けた写真には、それまでに見たことがないユニークな瞬間が収められており、その写真を撮影したカメラマンが所属するヘラルド紙に入ることで教えを請うことにしたそうです。

「他のカメラマンと同じようなテクニックで撮影していては、他に抜きんでて名前を覚えてもらうことはできません」と語るプリティ氏は、これまでにスポーツ関連の写真で数多くの賞を獲得してきています。


「スポーツの写真を収める際には、選手がゴールを切る瞬間や歓喜の瞬間などに立ち会うことがとても重要ですが、私の場合はそれ以外にも新たなアイデアを試したり、これまでに試したことがない構図に挑戦することも同じぐらい重要なことと言えます」とプリティ氏。紙面やネットで「売れる」無難な写真を撮るために、カメラマンたちは同じポイントに集まるのですが、プリティ氏はリスクを冒し、あえてそれとは別の場所に撮影ポイントを求めます。プリティ氏にとって他のカメラマンとは異なる構図を求めるためのチャレンジは「楽しみの一つ」とのこと。

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リュージュなど、トラックを使用する競技の場合には、「他の誰よりも早く会場入りしてスタート地点からゴールまで下見を行い、自分だけの『ベストポジション』を見つける」とプリティ氏は語っており、さらに試合前のプラクティスセッションを利用してさまざまな場所や撮影テクニックを検証し、本番に備えます。プリティ氏が所属するゲッティ・イメージズ社からは総勢69名のカメラマンが派遣されており、仲間同士でも情報交換を行いますが、それでもプリティ氏は自分の納得いくロケーションにこだわり、「ベストのポジションを見つけるためには1時間や2時間かけて歩き回ることもある」と語りました。

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また、現地では通信環境をいかに整えるか、ということも鍵の1つ。ゲッティ・イメージズ社では、総延長20kmにも及ぶ光ファイバー通信ケーブルを会場に持ち込み、各競技会場からメインプレスセンターをつないで写真データを転送する独自のネットワークを構築しています。

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しかし、スポーツの現場では予期せぬ瞬間が訪れるもの。プリティ氏は「準備が大事なのはもちろんですが、やはり現場で起こる出来事を感じることも同じぐらい重要です。私は固定観念を持たないようにするため、事前にウェブサイトで情報を集めすぎないようにしています。一度何かを目にしてしまうと、そのイメージを捨てるのは難しいものです」と、その瞬間にあわせて柔軟に対応することの大切さを語ります。

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プリティ氏がソチ冬季オリンピックに持ち込む機材は、2台のカメラと6本のレンズそして補助レンズであるテレコンバーターという「ごく普通の」組み合わせだといいます。そんなプリティ氏がオススメする、オリンピックなどのスポーツ写真を撮る場合に持っておくべきレンズは以下のようなものとなっています。

・超望遠単焦点 400mm f/2.8
・望遠ズーム 70-200mm f/2.8
・標準ズーム 24-70mm f/2.8 (または単焦点 50mm f/1.2)
・広角ズーム 16-35mm f/2.8 (または単焦点 24mm f/1.4)

そしてさらに、以下のような機材も現場では役に立つとのこと。

一脚
ヒザ当て(現場では膝まづいての撮影を強いられることも多いため)

f/2.8通しで広角から望遠ズームまでのレンズ3種(いわゆる大三元レンズ)に加えて、400mm単焦点レンズともなると100万円を軽く越える出費を覚悟することになりそうですが、やはりいい写真を収めるためには機材にこだわることも不可欠と言えるようです。大三元レンズが厳しい場合には、開放絞り値をf/4とした通称「小三元」の組み合わせも各社から販売されているので、そちらを検討するのもアリかも。機材とテクニック、そして事前準備とその瞬間の出来事が組み合わさって、一枚の素晴らしい写真が生まれるということなのかもしれません。

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・おまけ
2014年2月7日に開幕したソチオリンピックの開会式では、オリンピックを象徴する五輪のマークがうまく再現されずに「四輪」になってしまうという「瞬間」もカメラによって収められています。

Russia Can't Get Through the Opening Ceremony Without Screwing Up
http://gawker.com/the-olympic-rings-malfunction-during-the-opening-cerem-1518255227

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