メモ

機密情報満載のHDDを復元できないようにドリルや研磨機で徹底的に破壊するムービー


スクープの種ともいうべき機密情報がたっぷり詰まったHDDを、The Guardian(ガーディアン)が政府の諜報機関である政府通信本部(GCHQ)の監視のもと、研磨機やドリルを使ってコンピュータのデータが復元できないように徹底的に破壊しました。

Footage released of Guardian editors destroying Snowden hard drives | UK news | theguardian.com
http://www.theguardian.com/uk-news/2014/jan/31/footage-released-guardian-editors-snowden-hard-drives-gchq


実際にコンピュータをこれでもかというくらいに破壊しまくっている様子は以下のムービーから見ることができます。


研磨機や……


ドリルを使って徹底的にコンピュータの内部コンポーネントをぎったんぎったんにしていきます。


コンピュータの破壊作業を行ったのは、ガーディアンのポール・ジョンソン編集長、重役を務めるシーラ・フィッツサイモンズ氏、そしてコンピュータの専門家であるDavid Blishen氏。3人はGCHQの指示でマスクを装着して研磨機とドレメルのドリルを使用して破壊作業を行い、GCHQはデータを破壊するための最新の排磁装置を提供してくれた、とのこと。


HDDや基板は「これでもか!」と言うくらいにめちゃくちゃに破壊し尽くされています。


3人がコンピュータを破壊し尽くすには約3時間もかかったそうです。破壊したあとには排磁装置を使い、データが復旧可能かもしれない、という万が一の可能性も潰されました。GCHQから派遣されてきた専門家たちは「イアン」と「クリス」と名乗り、各々PC破壊の様子をiPhoneに収めていたそうです。


ガーディアンがなぜ極秘文章が保存されていたコンピュータを破壊したのかというと、このコンピュータはアメリカ政府の極秘プロジェクト「PRISM」に関する機密文章をリークしたエドワード・スノーデン氏と深いつながりがあったからです。

そもそも、なぜスノーデン氏が世界の諜報機関のスパイ行為を暴露できたのかというと、彼はアメリカの国家安全保障局(NSA)の業務を請け負う民間企業の従業員として働いており、イギリスの機密情報にアクセスできる85万人のアメリカ人の内の1人だったそうです。そんな企業で働いていたスノーデン氏が、ハワイのNSA関連施設で働いていた際にイギリスの機密情報を入手、そしてこれをイギリスのガーディアンに提供します。これにより「PRISM」の存在や、イギリスのGCHQがアメリカ同様に通信傍受を行っていた、という事実が明らかになったわけです。

この報道を受けて、2013年の6月と7月に、イギリスの内閣官房長官であるジェレミー・ヘイウッド氏とガーディアンの間で2度の会合が開かれています。この時、ガーディアンで編集長を務めるアラン・ラスブリッシャー氏は、スノーデン氏から得た極秘文章を政府に返却するよう警告されます。


さらにヘイウッド氏は、スノーデン氏によりリークされた情報を基にNSAやGCHQについて報道をするのをやめるようラスブリッシャー氏に警告し、「政府の多くの人々が、ガーディアンに営業停止命令を出すべきだと考えている」と、ほとんど脅しのような発言もしたそうです。しかし、情報漏洩に政府機関が気づいてから5週間の間は、イギリス政府にもどの程度の情報が漏れているのか把握しきれていなかった、とガーディアンは記しています。


ガーディアンはこの機密文章をキングス・クロスオフィスにあるセキュリティ対策の施された部屋で、信頼できる記者チームに調査させたそうです。また、この資料は4つのラップトップに保管され、保管用の端末はネットワークから切り離され、部屋に24時間ガードマンをつけたり、複数のパスワードをセットしたり、電子機器の持ち込みを禁止したりすることで厳重にこのデータを管理したそうです。

By Kevyn Jacobs

情報の返還を求めるイギリス政府に対し、ラスブリッシャー氏は「スノーデン氏の機密文章はいくつかの場所に存在するので、キングス・クロスのオフィスにあるデータを破壊しても、ガーディアンが諜報機関のスパイ行為に関する報道を止めることはないでしょう。さらに、アメリカのガーディアンでコラムニストとして活躍し、香港でスノーデン氏に直接面会したグレン・グリーンウォルド氏もまた、リオデジャネイロにスノーデン氏から得た資料を保管しており、さらにそのコピーがアメリカにもある」と告げました。


しかしその数日後、オリヴァー・ロビンズ国家安全保障担当補佐官は「もしもあなた方が『機密文章』を返さない場合、今夜『他の人』とこのことについて話さなければいけない」と圧力をかけてきたそうです。そして、もしもガーディアンがロビンズ氏の提案に従わない場合は、本当に営業停止もありえた、と言います。

この機密文章は「スノーデン氏がどうやってリークを行ったか」を示すものでもあり、スノーデン氏が訴訟を起こされた場合には彼の立場を悪くするものになります。また、ガーディアン内のどの記者がその資料に目を通したかも明らかになる恐れがあったそうで、スノーデン資料に立ち会った関係者たちが法的に罰される可能性もあったため、ガーディアンのメンバーとスノーデン氏を守るために、資料の保存されたコンピュータを破壊する、という決断に至ったようです。

By Carsten Tolkmit

GCHQの役人はコンピュータを破壊する前に資料を詳しく調べたがったそうですが、ガーディアンはこれを拒否し、2013年7月20日にデータを保管していたコンピュータを破壊。この際の様子を収めたムービーが今回ガーディアンにより公開されたというわけです。なお、これ以降の報道はアメリカに保管されている資料からのものに完全にシフトした、とも記されています。

この様に緊迫した状況であったにも関わらず、ガーディアンは政府にこの問題に対する意見を求め続け、そうして完成したのが、ホワイトハウスやNSA、GCHQなどの10を超える諜報機関との100を超えるやり取りや、スノーデン氏がリークした内容の詳細が記されたSnowden Filesです。この本にはガーディアンがイギリス政府から機密文章データの破壊を強要されたあと、どのような決定が内部で行われ、機密文章の保存されたコンピュータを破壊することになったのか、がより詳細に書かれており、その他にもスノーデン氏がCIAで働いていた頃の話や、彼の政治に対しての見解、機密情報をリークしようと決意した際のこと、さらに香港でスノーデン氏に直接面会したグレン・グリーンウォルド氏のパートナーであるミランダ氏をヒースロー空港で拘留した際、その背後にはMI5がいたことについても書かれているとのことです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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