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海賊版を法律で取り締まるより公教育で教えた方がiTunesの売上が増加

By Cédric Puisney

フランスでは違法な海賊版ダウンロードによる著作権侵害を防ぐために、著作権侵害を行っている人を監視して、段階的に3度の警告を行った後にインターネットアクセスの停止や罰金が科される「スリーストライク法」が実施されています。この法律を研究した結果、罰則による取り締まりの効果が薄いことや、公教育でしっかりと海賊版について教えることで、iTunesの売り上げが増加したことが明らかになりました。

Graduated Response Policy and the Behavior of Digital Pirates: Evidence from the French Three-Strike (Hadopi) Law by Michael A. Arnold, Eric Darmon, Sylvain Dejean, Thierry Pénard :: SSRN
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2380522


デラウェア大学のMichael Arnold氏、レンヌ大学のEric Darmon氏とThierry Penard氏、ラ・ロシェル大学のSylvain Dejean氏は、スリーストライク法がどれほど海賊版の違法ダウンロードの抑止力として効果を発揮したのか共同研究を行いました。調査によると、2009年にフランスでスリーストライク法が制定されて以降2010年までに1度目の警告を受けた人は240万人、2度目の警告を受けた人は25万人で、すでに3度目の警告まで受けた人は1000人よりは少なかったとのこと。

調査対象はフランス人ネットユーザー2000人で、全体のうち、3分の1(37.6%)以上が違法ダウンロードの経験があることを認め、22%がP2Pネットワークを使用しており、30%が「代わりのチャンネル(DepositFiles.comnewshostingなど)」を使用すると回答。個人が著作権侵害を思いとどまるきっかけにはなっておらず、違法行為の減少にはつながっていなかったことが判明しました。

By Txopi

しかし、法律の実施以前にフランスのiTunesストアの売り上げが増加したことについて、研究者は「スリーストライク法の効果ではなく、国や学校法人によって設立・運営される学校などで、公の目的によって行われる公教育の努力によるものと研究結果が示唆しています」と述べています。

スリーストライク法では、主にP2Pネットワークだけを監視していましたが、回答者の多くは、実際の監視はさらに広範囲で行われていると考えており、P2Pネットワーク以外の、監視されていなかったファイルシェアリング、海賊版の直接ダウンロードが可能なサイトのユーザーを含め、監視の有無に関わらず違法ダウンロード行為を改めるという行動の変化は見られなかったとのこと。


ハドピ政権が実施したスリーストライク法は、海賊版違法ダウンロードの抑止力にはなっておらず、政府は3度目の警告で科される「ネットの断絶」のペナルティ取り消しを決定し、この法律に関連して使われていた予算もカットされています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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