自転車人口の増加を受けてアメリカで進みつつある法律や道路環境の整備

By Tejvan Pettinger

自動車社会と言われているアメリカにおいても自転車は日常社会に浸透しており、毎日の通勤に限定しても85万人以上の人が自転車を利用していますが、急激に自転車人口が増加しているために、法や道路の整備が進んでいないのが現状です。そんなアメリカの自転車事情をニューヨークタイムズにDaniel Duaneさんが寄稿しています。

Is It O.K. to Kill Cyclists? - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2013/11/10/opinion/sunday/is-it-ok-to-kill-cyclists.html

アメリカでは、サイクリストが死亡する事故が新聞報道などにより徐々に目立ってきています。しかしながら、それらの事故の法律的解釈は腑に落ちないものがあることも。2011年にはシアトルで自転車に乗っていた49歳のJohn Przychodzenさんに、10代の少年が運転する自動車が後ろから追突して亡くならせるという事故が起きました。大きな事故を起こした10代の少年が負った刑事罰は「危険な車線変更をおこなった」という理由で課せられた42ドル(約4400円)の罰金だけでした。死亡事故を起こしたにも関わらず、加害者への刑事罰は軽すぎるような気もしますが、アメリカのグーグルで「cyclist + accident」で検索をすると、同じようなケースの事故を確認することができます。去年の11月2日にもカリフォルニアのサンタクルス周辺の湾岸道路で、北向き車線を走る運転手が車のコントロールを失って、反対車線を自転車でサイクリングしていたJoshua Alperさんと衝突し、死亡させる事故を起こしています。この事故では刑事罰に関する報道は行われていません。

By Jari Schroderus

現状ではアメリカの多くの都市でバイクシェアプログラムが行われ、ますます自転車の交通需要も増えているために、自転車専用レーンへのニーズが高まっています。しかし、自転車人口の増加ペースが急激すぎるため、利用者のマナー向上や法整備が追いついていないのが現状です。アメリカのほとんどの州では一般道を走る権利をサイクリストに認めていますが、ほとんどの一般道はサイクリストの為に設計された道ではありません。自転車はバイクが走る道と一緒にされているため、事故の危険性が高いものになっています。しかも道路標識も整備されておらず、サイクリストが何度も一時停止する姿がサンフランシスコではよく見かけられます。あまりにも自転車の交通環境が整備されていないために、サイクリストが法律を破る気持ちも理解できなくはありません。アリゾナ・ミネソタ・ハワイの各州で行われた調査では、一般道における自転車と車の事故の過失は自動車のドライバーにあるという結果が出ていますが、実際には自転車に乗る人に過失があると見なされるケースが非常に多いというのが現状です。

By duncan c

例えば車同士が事故を起こした場合、警察は証拠を集め、どちらに責任があったかを決定します。しかし自転車と車の事故となると十分に証拠を集めようとせず「よくあることだ」で片付けてしまうケースが多いと言います。ドライバーが事故を起こしても、自転車側に過失があると言い逃れすることで、責任を負わずに済んだケースも発生しています。サンフランシスコ自転車連合のLeah Shahumさんも「飲酒運転やひき逃げを除いて、ドライバーの責任を追及された例を知りません」とコメントしています。さらなる問題点として、自転車事故が専門の弁護士であるRay Thomas氏は「裁判の場においては、評決に加わる陪審員がドライバーの肩を持つことがあります。陪審員は『私にも同じように自動車運転中に事故を起こす可能性がある』と考えることが多いのです」と指摘しています。そのため、このような場合には有罪の判決が出されないことが多く、警官と検察官も手をわずらわせてドライバーを逮捕しようとはしないのです。

By Judy Baxter

現在アメリカのいくつかの州は車道の整備や交通規則に関する法律の改正に動いており、車道の横に自転車専用のレーンが設けられるようになったり、自動車運転手にサイクリストや歩行者を傷つけないように責任を課しています。以前のようにあまりにも運転手が有利な法律ではなくなってきましたが、サイクリストもスリルを求め自由に運転するのではなく、お互いに譲り合うことが大切です。自転車の利用が増えれば、CO2の排出などが減り、環境にもいいことは間違いありません。法律とインフラはどんどん整備されますが、最も重要なことは命を思いやる気持ちで、それは心がけ次第でどうにかできる問題です。

By Birger Hoppe

著者のDaniel Duaneさんは最後に「今後この文章を読んだサイクリストはどの道でも交通規則を守り、運転手・警察・他のサイクリストを思いやって下さい。また楽しむ為に乗った自転車が人を殺したりしてしまうことがあることを肝に銘じて下さい。」とコラムを締めくくっています。

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in コラム, Posted by darkhorse_log