「100ドルをもらうか？コードを教わるか？」ホームレスがアプリ開発に成功した秘話

By Ingmar Zahorsky

アメリカにおけるホームレスの人口は2012年時点で約63万人で、シリコンバレーには「ジャングル」と呼ばれるアメリカ最大のホームレスキャンプまであるほどホームレスはアメリカの社会問題になっています。Leo Grandさんもホームレスの1人でしたが、ある男性の助けによってアプリを開発、そして発売にまで至り、その開発秘話が公開されています。

Homeless Coder's Trees for Cars App - Business Insider
http://www.businessinsider.com/homeless-coders-trees-for-cars-app-2013-12

Homeless Coder - Business Insider
http://www.businessinsider.com/homeless-coder-2013-9

2011年に仕事を失って以来ずっとホームレス生活を続けてきたGrandさんが、いつもと変わらない日常を過ごしていたところ、人生を大きく変える人物に出会います。

その人物は、Grandさんに突然「100ドル(約1万円)、もしくはJavaScriptの専門書を君にあげよう。ただし、JavaScriptの専門書をもらうのなら、安いノートPCも一緒に渡して毎朝1時間プログラミングについてレッスンを施す」と提案してきました。Grandさんは悩んだ末、100ドルではなくJavaScriptの専門書をもらって勉強する、という男性の提案を受け入れることにします。

Grandさんの人生を変えることになったのは、ニューヨーク在住のプログラマーPatrick McConlogueさん。実は、McConlogueさんは以前から、ホームレスやウェイターなどサービス業に従事している人の中には素晴らしい才能を持っている人がいると考えており、自身のブログ内でGrandさんに提案することについて書いていました。

GrandさんはMcConlogueさんから初級・中級・上級のJavaScriptの専門書とSamsung Chromebookをもらい、その日から2人の特訓生活が始まりました。

By Vernon Chan

Grandさんは、McConlogueさんに毎朝1時間プログラミングを教わりつつ、その他の時間でJavaScriptの専門書を使ってコードについて勉強。Grandさんは、プログラミング勉強生活を始めて4週間後にMcConlogueさんと話し合ってスマートフォンのアプリを開発に着手します。それから約3カ月後にアプリは完成。Grandさんが開発したアプリは「Trees for Cars」という名前で、自動車の相乗り相手を探すというアプリです。

アプリは、登録したユーザーが相乗りできる自動車や相乗り相手を探せるというもので、相乗りすることでセーブした二酸化炭素の消費量もチェック可能。日本で使用することはできませんが、Trees for Carsは現在iTunesとGoogle Playで購入できるようになっています。

Grandさんは「100ドルもらっても数日間生き延びられるだけです。けれども、プログラミングを教えてもらったら、もっと得られるものが多いと思いました。勉強する時間は余るほどありましたから」と、McConlogueさんと初めて出会った日のことを振り返っています。

アメリカに多く存在するホームレスの中でも、McConlogueさんと出会ったGrandさんはかなりの幸運の持ち主。しかしながら、目先の100ドルを選ばず、ホームレスになってしまってももう一度チャンスをつかもうとする姿勢は、運ではなくGrandさん自身の力に違いありません。