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映画上映前に流れるTHXロゴの「ブゥゥウウンン」という音の正体とは?


THXとは、映画館や家庭用AV再生機器からDVDなどのソフトウェアの品質チェックを行っている企業で、THX社の規定をクリアしたものにはTHXマークをクレジットすることが許可されます。映画館やDVD、ブルーレイディスクなどで映画を見る際、作品が始まる前にTHXのロゴが映し出され「ブゥゥウウンン」という電子音が流れるのは、THXが何なのか知らないという人でも映画を見たことのある人なら一度は目にしているはず。

しかしながら、THXのロゴと一緒に流れる電子音についてはあまり知られていないということで、その正体をMusic Thingが明らかにしています。また、映画作品の上映前に流れるTHXのロゴにはさまざまなバージョンがあるとのことなので、公開されているものの一部をまとめてみました。

Music Thing: TINY MUSIC MAKERS: Pt 3: The THX Sound
http://musicthing.blogspot.co.uk/2005/05/tiny-music-makers-pt-3-thx-sound.html

映画館で作品が上映する前に流れる電子音は「ディープノート」という名前で、よく知らないという人は下記から確認可能です。

THX Sound Effect - Deep Note - YouTube


ディープノートは、ルーカスフィルムや故スティーブ・ジョブズが創業したNeXTで働いていた経歴を持つJames Moorer氏によって1982年に作成されました。

インターネット上では「ディープノートはヤマハのCS-80で作られた」などのうわさが飛び交っており、どの情報が本当なのかわからない状態。では、本人に確認してみよう、ということでMusic ThingはMoorer氏に「ディープノートの作成過程」を尋ねたメールを送りました。その結果、Moorer氏本人から返信があり、ディープノートがどうやって作成されたか丁寧に答えてくれたとのことです。

Moorer氏は「私がルーカスフィルムのオーディオグループに在籍していたときのことです。当時、ルーカスフィルムは開発したばかりのTHXサウンドシステムのロゴを、公開が迫っていた映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』の上映前に差し込む予定でした。私はTHXのプロデューサーから、ロゴと一緒に流す音楽を作ってくれないか、と依頼を受けたんです」とディープノートの開発秘話を語ってくれました。

By unicorns in my garden

プロデューサーの依頼内容は「曲の初めは静かで、徐々に大きくなり最後には爆音になる」というものでした。Moorer氏は、チェロの音をデジタル化したシンセサイザーの音楽プログラムを、当時開発されたばかりのオーディオプロセッサー「ASP(Audio Signal Processor)」に組み込むことから着手。次に、約2万行のコードを含むCプログラムから成る楽譜を作成し、無作為にフリーケンシーをいじったりしてディープノートの完成に至ります。

By nosha

最終的に「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」のプレミア試写会で、Moorer氏が作成した「ディープノート」は無事披露されます。しかしながら、スタッフがディープノートのオリジナル音源をなくしてしまう事態が発生。Moorer氏は再度ディープノートを作成しますが、オリジナルを作った際に無作為にフリーケンシーを調節したため、周囲から「以前とは違う音がする」と文句を言われたとのこと。その後、Moorer氏自らがオリジナル音源を発見し、大ごとにならずに済んだそうです。

なお、オリジナルのディープノートは下記から確認できます。

THX Deep Note - original uncompressed audio - YouTube


アメリカの人気テレビアニメシリーズ「ザ・シンプソンズ」は、THXのパロディーを作成する許可をもらい、実際に放送しています。

THX Simpson in [HQ] - YouTube


館内で作品の上映を待っているシンプソン一家。


スクリーンにTHXのロゴが表示され、ディープノートが流れ始めました。


音が段々大きくなるに連れて映画館全体が揺れ始めます。


頭がはじけ飛ぶほどの爆音。


観客は大喜びです。


エイブじいさんは「もっと音量を上げてくれ!」と叫んでいました。


映画上映の前に表示されるTHXのロゴにはさまざまなバージョンがあるので、見たことのあるものから、ないものまで集めてみました。

こちらは砕けたガラスが水になって再結晶化する、ターミネーター2のT-1000のようなTHXロゴの「Cavalcade」バージョン。

THX Cavalcade FULL HD 1080p - YouTube


画面中心に雷鳴のとどろく地球が映し出され……


突然爆発。


地面には砕け散った地球の破片が散らばっています。


地球のかけらが水になって集まりだし……


雷が落ちると同時に上に上昇。この辺りからディープノートが聞こえ始めます。


再結晶した水が徐々に文字を形成して……


最後にロゴの完成。


Amazing Life」バージョンは、CGの植物が楽器のように音を奏でる、という内容になっています。

THX Amazing Life FullHD 1080p - YouTube


「ファー」と音を立てている花。


こちらの植物からは「ブオー」という音が聞こえます。


葉っぱを揺らしながら「カタカタ」と音を奏でている樹木。


トンボの羽根のような花びらの花も音を立てています。


白いキノコから鳴っているのは「ドンドン」と太鼓みたいな音。


多くの植物が演奏している世界が映し出されると同時に、ディープノートが流れ始めて……


カメラが徐々に引いていきます。


最後には通常と少し違うバージョンのTHXロゴが完成。


こちらはTHXが開催している「THX Trailer Contest」に入賞した作品の1つ「THX Audience

THX Audience - YouTube


席に着く観客たち。


通常通りTHXのロゴがスクリーンに表示されディープノートが流れ始め、上映開始です。


突然スクリーンに黒いシミが広がってディープノートが途中で止まってしまいました。


不満そうな観客。


すると、どこからかディープノートのような音が聞こえてきます。


音の正体は男性の鼻歌でした。


隣の女性も鼻歌を始めて……


観客全員で鼻歌でディープノートを演奏します。


観客の奏でるディープノートによって、ポップコーンがガタガタ揺れだして……


THXのロゴがドーン


2005年に「THXゲーム認証」を受けた、PlayStation 2用ソフト「ソウルキャリバーIII」のオープニングには、ナムコが1981年に発売した「ギャラガ」とディープノートを融合したTHXゲーム・カスタム・ムービーが収録されています。

THX -Soul Calibur 3- Intro (HD 1080p) - YouTube


画面の外からワラワラと集まってくるギャラガ。


ギャラガが陣形を組んでいる間に、プレイヤーが操作するファイターも下から登場。


ギャラガとプレイヤーの準備が整いゲームスタートです。


機体を縮めて発射準備に備えるファイター。


右に移動して発射!


見事に命中しました。


ファイターがセンターに戻って発射準備をしていると、ディープノートが流れ始め……


画面下から赤い文字が上に向かって登場。


おなじみの音とともにTHXのロゴが表示されました。


ディープノートの開発秘話やTHXロゴに多彩なバージョンがあることを頭に入れておいて映画を見ると、いつもとは違った映画の楽しみ方ができそう……ですが、近ごろはドルビーデジタルのロゴが出ない映画もあったりするので、その中でTHXのディープノートを聞けたらそれだけでラッキーかも。

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in メモ,   動画,   映画,   ピックアップ, Posted by darkhorse_log

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