サイエンス

いくら飲んでも二日酔いにならず数分でしらふに戻り擬似的な「酔い」を感じさせる飲料開発中


アルコールを飲むと、楽しい気分になったり社交的になったりしますが、飲み過ぎた翌日は激しい二日酔いにさいなまれることがあります。また中毒性も高く、健康への被害も大きいアルコールですが、そんな心配を吹き飛ばしてくれる、いくら飲んでも「二日酔いにならないお酒」を開発中とのことです。

Alcohol without the hangover? It's closer than you think | David Nutt | Comment is free | The Guardian
http://www.theguardian.com/commentisfree/2013/nov/11/alcohol-benefits-no-dangers-closer-think


安全に酔っ払うことができる「二日酔いにならないお酒」を開発しているのはEdmond J. Safra神経精神薬理学の教授であり、インペリアル・カレッジ・ロンドンの神経精神薬理ユニットの校長であるデビッド·ナット氏。例えば、パーティで好きなだけ飲んで酔っ払っても、翌日の二日酔いの心配は無用。また解毒剤を飲めばしらふに戻ることができ、車を運転して帰宅できる飲料とのことです。

By Thomas Hawk

飲酒は千鳥足を引き起こしたり、集中力を低下させるなど身体機能の全てに作用し、とりわけ肝臓・心臓・脳に対する有毒性は深刻です。アルコールを摂取すると楽しい気分になりますが、飲酒によって抑制を失った人は暴力に走ることも問題視されており、高い依存性を持つことからアルコール中毒に陥る人は後を絶ちません。世界中のアルコールが原因の死者数は、マラリアまたはエイズを超える250万人にのぼり、世界で最も古くから存在する最も危険なドラッグに分類されるとのこと。

By Bart

もし、今日初めてアルコールが発見されたとすると、現代では食品安全基準をクリアすることはできず、その有毒性の高さから販売されることはできないと見られています。しかし、奇妙なことに健康への関心が高まっているにも関わらず、「アルコールを禁止しよう!」という議論は多くありません。酒害縮小のために採用される消費量を減らすための有効な方法は、「酒類の値上げ」と「販売量の制限」。しかし、アルコール飲料の最低販売価格法案を公表したスコットランドを除いて、世界中の政府は、世論と酒税の減少を恐れ、アルコール被害に積極的に取り組む国は多くありません。

By Jeff Casillas

そんな問題を解決できる「二日酔いにならないお酒」のアイデアは、まるでSFのように感じられますが、現代神経科学によって可能になるとのこと。アルコールを摂取すると、精神安定作用を持つ神経伝達物質である「ガンマアミノ酪酸(Gaba)」に作用し、飲んだ人をリラックスさせます。従って、Gaba機能に作用して擬似的な「酔い」を感じさせる薬を作り出すことで、安全なアルコールの代用品を作ることができるとのこと。理論上では、アルコールの不要な効果(攻撃性・常習性・二日酔い)を取り除くことも可能。

By sarah ...

ナット氏は、このアイデアに対して出資を募集しており、すでに有効な可能性のある成分を5種類確認しています。出資が集まれば次にテストを行い、最終的には数種類のフレーバーを用意してカクテルのような形をとる予定。また、5つの内1つの成分を自分で使用してみたところ、1時間ほど眠気を感じ、アルコールのようにリラックスできたとのこと。ナット氏は、この開発が成功すれば、アルコールだけでなく、Gaba機能に作用する他のドラッグでも代替品を製造できる可能性があるとのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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