サイエンス

銀河系には太陽に似た星が3500個、地球に似た星も100個以上存在していることが判明

By NASA Goddard Space Flight Center

私たちが住む地球のある銀河系(天の川銀河)は何千億個という星が集まったものといわれていますが、NASAが運用する宇宙望遠鏡ケプラーから得られたデータからは、太陽系の中心となる太陽に似た星が3500個以上、そして生命の存在に適した地球型惑星が少なくとも100個以上も存在することが明らかになっています。これはごく一部のエリアを調査した結果であり、広大な銀河全体の膨大なデータを得るにはほど遠い段階です。今後の調査が進むともっと多くの地球型惑星が発見されることにつながるかもしれません。

NASA Kepler Results Usher in a New Era of Astronomy | NASA
http://www.nasa.gov/content/nasa-kepler-results-usher-in-a-new-era-of-astronomy/index.html

New Kepler analysis finds many Earth-like planets; total 3,500 exoplanets | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2013/11/new-kepler-analysis-finds-many-earth-like-planets-total-3500-exoplanets/

この研究結果は、11月4日(月)から8日(金)にかけてNASAのエイムズ研究センターで開催されているKepler Science Conference IIにおいて発表されたものです。同時に、全米科学アカデミーの機関誌である米国科学アカデミー紀要では、ケプラーの観測データの中には地球と同じ光の量(=エネルギー)を恒星から受けている星が約10個存在するという独自の研究結果も発表されています。

宇宙の中で生命が存在するためには、大気と水が存在して適度な重力を備えた岩石質の構造を持つ惑星が、恒星から適度な熱や放射線が届く距離「ハビタブルゾーン」の中に存在することが必要とされています(下図中の緑で示されたエリア)。今回の研究結果では、このエリア内に直径が地球の2倍までの星(スーパーアース)が多く存在していることが明らかになっています。


ケプラーは、恒星の前を惑星が横切る「トランジット」によって生じる明るさの変化を観測しており、そのデータは惑星の大きさや恒星(太陽)との距離を分析することに使用されています。下のイラストでは、矢印で示された惑星が恒星の手前を左から右に横切ることによって生じる恒星の明るさの変化を、グラフの落ち込みとして表示していることが確認できます。


ケプラーに搭載されているCCDセンサーがこちら。225万画素(2200×1024)のCCDが42基並べて搭載されており、星の光度を測定するのに使用されています。


今回の調査は、はくちょう座(Cygnus)付近の方向を観測したデータから発見されたもの。白く示されているエリアがCCDによって観測されたエリアで、赤く拡大表示した領域だけでも多数の恒星が確認されています。


そして、銀河系全体に対する今回の調査範囲がこちら。黄色く示されたエリアだけの調査で、ごくわずかな領域であったことが実感できます。


この「トランジット」による惑星の探知は「衛星が恒星とケプラーの間を通過する」という条件を満たす場合にのみ可能になるもので、これ以外にも見落とされたケースは多く発生しているものと考えられています。米カリフォルニア大バークレー校の研究チームからは、太陽型の恒星の20%が地球型衛星を持っているという分析結果が発表されており、これを当てはめると、今回のエリア内には700個の地球型衛星が存在する可能性があります。

今年8月には、姿勢制御系統に生じた不具合を復旧できるメドが立たないことから主要ミッション終了が発表されたケプラーですが、2009年3月の打ち上げから約4年半で得られたデータだけでもこのような結果が判明しています。「地球以外に生命の存在する星が存在する」と断言はできないものの、「存在してもおかしくない」と言えるぐらいの材料は出てきています。果たして、“未知との遭遇”はあるのでしょうか。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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