Bitcoinマイニングはまさに軍拡競争、素人お断りの現状とは?

By Malcolm Craig

中央集権的な通貨発行組織がない仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」は、交換所で手に入れる方法以外にも、自分のPCを使って専用プログラムを走らせる「マイニング」という方法で"採掘"できることに大きな特徴があります。しかし、この無から"金"を生みだす錬金術は、もはや一般ユーザーが気軽に参加できるものではなく、魑魅魍魎がうごめく修羅の世界になっているようです。

Blockchain Smashers | TechCrunch
http://techcrunch.com/2013/10/16/blockchain-smashers/

ビットコインは、専用ソフト「Bitcoin miner」を走らせることで新たなビットコインを発掘できるシステムをとっており、採掘作業はマイニングと呼ばれています。ビットコインシステムは、マイニングをする人(マイナー)のマシンパワーによって維持されており、その見返りとしてビットコインが与えられるという仕組みです。

謎の人物「中本哲史」によって生み出されたビットコインは、中央集権的な通貨発行組織を持たない自由さと、極めて高い匿名性に加えて、自分で発掘できるというユニークな仕組みもあって、人気を高めていきました。中本は、ビットコインの埋蔵量に限界を設定した上で発掘ペースを一定にするという巧妙なアルゴリズムを採用したため、マイニング作業をおこなうマイナーの数が増えれば増えるほど、新規発掘が難しくなるという特徴があります。これは、より高性能なCPUを使用すればするほど他人を出し抜け見返りが多くなるという構造であり、自然とみなが競い合ってマイニングを行うことによりビットコインシステムが安定的に運用されるという巧妙なメカニズムをもち、マイニングPCのスペック競争が展開されることになりました。


中本がビットコインを公表した2009年当初は、マイニングはいわば単なる趣味の領域であり、主にCPUによる計算処理が行われていました。しかし、ビットコインの取引価格が向上するにつれて、より高速の処理を求めて、グラフィックボード(GPU)による計算処理に移行していきます。マイニングでの採掘速度は、1秒当たりに処理されたハッシュの数(H/s)で測定されます。CPUからGPUへの移行により採掘速度は約600MH/sに到達します。

また、ビットコインが違法薬物売買サイト「シルクロード」などの闇取引決済に利用されることで取引量が増え、さらにギリシャの信用不安から投資マネーがビットコイン市場に流入した結果、ビットコイン価格はさらに上昇し、それに伴いマイニング参加者の数が一気に増大し、多くの見返りを求めて処理速度を高める競争が加速します。

Facebookから少なくとも6500万ドル(約51億円)の和解金をせしめたことで名高いウィンクルボス兄弟は、2012年6月ビットコインに1100万ドル(当時のレートで約8億8000万円)を投資します。兄弟によると「ビットコインへの投資は金(ゴールド)よりずっといい」とのこと。


シングルGPUによる作業は、複数のGPUを使うマルチタスク採掘に移行、それに伴い、マイニングにより消費されるエネルギーは爆発的に増加します。複数のGPUを使う作業では電気代がかさみ、マイニングによって得られるビットコインの対価では、電気代をまかなえないという事態に陥ります。とはいえ、欧米に比べ電気代が10分の1程度(1kWhあたり約3円)であるインドネシアのジャカルタでは、GPUを105台並列させたシステムを冷房のガンガン効いた部屋で24時間フル稼働させることで1日当たり114ドル(約1万1000円)の"金"を生み出す強者も出現。これを知った世界中の猛者も追随し巨大なシステムを構築。もはや、自分のPCを使ってビットコインが採掘されるのを気長に待つというような牧歌的な風景はそこにはありません。


"軍拡競争"はまだまだ続きます。独自にプログラムされたFPGAが登場し、消費電力を15Wに抑えつつ400MH/sを達成し、電力コストを下げることに成功します。しかし、FPGAはすぐにビットコインマイニング専用チップASICを搭載するハードウェアに追い越され、ついに採掘速度は1GH/s(1000MH/s)に到達します。さらに、ネットワーク上でASICハードの演算処理を共同で行い貢献度に応じてビットコインが分配される「プール採掘」システムも登場し、ますますプライベートでのマイニング参加のハードルは上がります。

専用ハードウェアを売る企業も急増し、その販売競争も過熱します。しかし、プレオーダーをとるやいなや直ちに姿を消す詐欺的行為も横行。例えば会社Terrahashは2013年9月に「すでに入金済みの約50%については払い戻すことができる見込みです」というアナウンスとともに突如として倒産、予約購入者とトラブルを起こしています。

こちらはCointerra社の「TerraMiner IV」。2TH/sのスペックを誇ります。


このような詐欺行為のせいもあってか、最近のトレンドは、専用ハードウェアのリース販売です。Leasebitは、1.49TH/sのスペックのハードウェアを月額149ドル(59ヶ月払い)でリースしています。Leasebitのローワン・オルタ-副社長は、「専用ハードウェアを使うことがビットコインを発掘する唯一の方法です。のんびり採掘する時代は終わりました」と話します。

2013年4月、ビットコインの取引価格は1枚当たり266ドル(約2万6000円)という空前の高値を記録しその後も乱高下を繰り返しつつ、価格は高止まりしています。ASICハードを24時間連続で稼働させるビットコインデータセンター「Alydian」を構築したビットコイン投資コンサルティング会社Coinlabのように巨額の投資を行う企業も登場。もはやマイニングは個人の趣味ではなく巨大なビジネスになっているようです。

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