知能を高める5つの方法

By Saad Faruque

「達成可能なことを目標にしてはいけない。努力しても達成できるか分からない目標こそ能力を高めるのだ」とはアルバート・アインシュタインの言葉ですが、この言葉は、本質的に「知能を高める方法」を語っています。知能を高める方法論とはいかなるものでしょうか。

You can increase your intelligence: 5 ways to maximize your cognitive potential | Guest Blog, Scientific American Blog Network
http://blogs.scientificamerican.com/guest-blog/2011/03/07/you-can-increase-your-intelligence-5-ways-to-maximize-your-cognitive-potential/

研究者であり科学作家、セラピストでもあるAndrea Kuszewskiさんは、大学で指導教授から「知能とは遺伝的に生まれ持ったものであり、トレーニングなどにより向上させることはできない」と教えられました。知能に関する研究者の間では「知能は高めることができない」「知能が向上したとしてもそれは一時的なものである」という見解が主流だったということです。しかし、彼女はセラピストとしての経験から、この見解が正しくないと考えています。

Kuszewskiさんは、研究者になる前に自閉症の幼い子どもをトレーニングするセラピストとして働いていました。認知機能がうまく働いていなかった自閉症の子どもを、彼女はあらゆる方法でトレーニングし、同じ年頃の健常な子どもと同等のレベルに認知機能を可能な限り近づけるよう努力をしたということです。

彼女が最初にかかわった子どもは、発達障害があるやや自閉症ぎみの少年で、知能テストの結果、IQが80と判定されました。この数値は知的障害と判断されるかされないかぎりぎりの水準です。3年間、少しずつコミュニケーションを深め、読み書きや計算、遊びや社会活動に取り組ませることで、IQは100になりました。この数値は健常者の一般的な平均値であり、自閉症の少年が20ポイントも改善したというのは素晴らしい成果でした。

By Alberto G.

この少年以外にも、Kuszewskiさんは、著しい改善に成功した多くの子どもに出会い、学習にハンディキャップをもつ子どもたちがこんなにも驚くべき成果を出すならば、健常者であり普通の認知能力を持つ人も、知能を向上できないはずはないと考えるようになります。

その後、知能の向上という研究に取り組んだ彼女は、知能を高める5つの方法論を見つけます。なお、「知能」には、特定種類の知識の集合体としての「結晶性知能」と、新たな問題を解決し未知のパターンを認識する「流動性知能」とがあります。Kuszewskiさんが高めることのできると考える知能は、後者の流動性知能を指し、これは多くの知能の研究者が遺伝的な要素でトレーニングできないと考えるものです。

◆1:新奇性を探すこと
アインシュタインや他の多くの天才が様々な分野で秀でているのは偶然ではありません。天才は、常に新しい分野を探し出しては学習します。それこそが天才の個性です。「Big Five」(人の個性に関係する五つの要素)のうち、IQに関係する物が一つだけあり、それは新しい経験を求める「開放性」です。

開放的な人は絶えず新しい情報を求めています。新しい活動は新しいシナプス結合を作り、これにより脳の神経作用が増大します。最近の研究によれば、知能の個人差の原因は、神経の可塑性にあることが分かっています(ここで可塑性とはニューロン同士の接続の数を指しています)。ニューロンの接続がどれだけ長く続くかは、基本的にはどれだけ新しい情報を獲得できるかにかかっており、もし新しい情報を獲得し続けられるならば、脳を変え続けることができると言うことを意味します。Kuszewskiさんによると、新しい情報に絶えず身をさらすことは、学習にとって最も良い状態に脳を保つことができるそうです。

By Mushon Zer-Aviv

◆2:いろいろなチャレンジをすること
脳を鍛えるという触れ込みのゲームは「脳トレ」「数独」とたくさんあります。しかし、Kuszewskiさんによると、これらのゲームは知能の向上にはそれほど効果的でありません。正確に言うと、それ単独では機能しません。脳トレゲームや数独を繰り返してうまくなることは、単にそのゲームに精通するだけで、知能向上の効果は短命に終わります。新奇性の探究と関連しますが、一つのゲームをマスターしたら、次の挑戦的な活動に移る必要があるということです。

By Víctor Nuno

◆3:"創造的"に考えること
「創造的に考える」といっても何も芸術家気取りで絵を描いたり作品を作ったりする必要はありません。一般に、クリエイティブな思考は右脳ですると言われますが、Kuszewskiさんは、「創造的」とは右脳、左脳の接続がうまくできていること、脳の連携プロセスが良好なことを「創造的」と捉えています。脳を良好な状態に保つためには「従来通りの慣例に従った考え方」と「これまでまったく考えことのないような思考方法」という相異なる思考を行ったり来たりすることが大切だということです。

◆4:あえて困難なことをする
世の中はどんどん便利になりあらゆることがより効率的になっています。しかし、これは脳に何の恩恵も与えません。

GPSが発明されたとき、方向音痴のKuszewskiさんは喜んで使うようになりましたが、自分の方向感覚がさらに衰えたことを実感したそうです。GPSを使わずに、道に迷いながらも記憶と論理的思考を駆使することで空間認識能力を回復しより高められたといいます。

例えばどこに出かけるのにも自動車を使い、ほんの近い距離でもセグウェイに乗って行くならば、筋肉が衰え、体重が増え、健康を害するでしょう。脳もまったく同じであり、問題を解決しようとせず、空間認識も機械に頼り、論理的な考えを放棄し、記憶をたどることをやめたならば、脳は健康でなくなり、結果的に知能が衰えてしまいます。あえて困難な問題に取り組み脳に負荷をかけることで、知能が高まるのです。

By david_a_l

◆5:ネットワークの構築
知能を高めるための最後の要素はネットワークです。Kuszewskiさんは、直接顔を合わせる交流でも、FacebookやTwitterといったSNS上の交流でもいいので、人との交流の場に自分をさらすことは、これまでに挙げた4つの要素すべてをより簡単に実践することができると言います。

良いアイデアはどこで生まれる?」の中でスティーブン・ジョンソンは、考えを前に進めるためにグループやネットワークで議論することが重要だと説いています。人の輪に身を投じることで、新しい観点から問題を見ることやこれまで考えたことがなかったような観点から洞察することを体験できます。学習は、新しいことに自分自身をさらし、新しい情報を新しい方法で獲得することであり、他人とのネットワークは、それらを実現するのにもってこいの方法です。

By Michael Heiss

なお、Kuszewskiさんがセラピスト時代に自閉症の子どもたちの知能を著しく向上させるのに行ったトレーニングは、これら5つの要素をすべて取り入れたプログラムであったとのことです。また、これらの5つの要素による知能の向上には年齢は関係なく、何歳になってもトレーニングに効果があるとも語っています。

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