コラム

3年半ぶりGIGAZINE特別講演「赤字から黒字へ、メディアの未来のカタチとは?」を10月12日(土)開催


マチ★アソビ vol.11」のufotable CINEMAで12時~13時までの1時間、GIGAZINE特別講演「赤字から黒字へ、メディアの未来のカタチとは?」を開催することにしました。VOL.1からマチ★アソビにくっついているにも関わらず、よくよく考えると今まで一度もイベントらしいイベントをしたことがなかったので、「このあたりでそろそろ何かしておくべきだろう、オフ会も来年度はするわけだから」ということで、まずはこぢんまりと始めてみることにしました。前回の10周年記念講演が2010年4月だったので、実に3年半ぶりとなります。本当にこの3年半は怒濤の3年半でした。

GIGAZINE特別講演「赤字から黒字へ、メディアの未来のカタチとは?」
http://www.machiasobi.com/events/gigazine.html


東新町商店街を入ってすぐ左手にあるのが「ufotable CINEMA」


これが「ufotable CINEMA」、今回の講演はここで行います


講演の中身は公式サイトにもあるとおりで、以下のような感じです。

インターネットが破壊した最大の仕組みは「収益化」です。

例えば広告であれば今までは広告代理店が間に入って企画を出し、枠を買い上げ、効果測定を行うというような感じだったわけですが、いまやGoogleのAdWords・AdSenseに代表されるような仕組みがほぼ全自動で広告主と広告掲載を行うメディア側をつないでいます。

その結果、非常に効率的に運用できるようになったわけですが、逆に言えば広告費用が最適化されて最小化、メディアの運営はどこもかしこも苦しくなっているわけです。

そんな中、「脱広告モデル」をさまざまなメディアが模索しており、GIGAZINEもいろいろと考えた挙げ句、ひとつのモデルとして「GIGAZINEシークレットクラブ」というものに行き着きました。

講演では編集長である山崎恵人が10周年記念講演以来の登壇を行い、「一体どういう経緯と、どのような理詰めの結果、GIGAZINEシークレットクラブが誕生したのか?」というコアの部分を講演します。

一体どうすれば赤字が黒字になるのか、そもそもメディアに未来はあるのか?

下世話なお金の話から理想的な未来の話まで、縦横無尽に語り尽くします


「アクセスが多くてもそれに見合った収益が得られない」というのが各ニュースサイト・ニュースメディア共通の悩みであり、GIGAZINEも同じような問題を延々と抱え続けていました。そもそも論として、なぜこんなに収益化に苦戦するのかというと、広告モデルには以下のような3つの大問題があるためです。

◆その1「常連読者は広告をクリックしない」
◆その2「広告主にとっての『最適化』はメディアの収益最大化とは意味が違う」
◆その3「読者にとって不誠実であればあるほど収益は多くなる」


それぞれについて少し解説すると以下のようになります。

◆その1「常連読者は広告をクリックしない」

by SamahR

編集長である私自身がいろいろなニュースを読みまくる「読者」という立場から、「そもそも読みたいニュースがネットにないから自分で読みたいものを書くよ、まとめるよ、レビューするよ」というような超絶主観スタンスで開始しているため、どうしても「最初の読者」的視点からGIGAZINEも、そしてほかのニュースサイトも見てしまいがちであり、だからこそ痛感しまくっているのですが、よく読むサイトであればあるほど、広告は邪魔なのでクリックしません。むしろ広告があれば積極的にAdblockで消しまくるほどです。一体誰が広告をクリックしているのかフシギでたまらないほどであり、だからこそ、各種アクセス解析ではっきりと出てくるように、「常連読者はバナー広告をクリックしていない、というかGIGAZINEをよく読むようなハイレベルな読者は広告を消す手段に精通しまくっているので、むしろ広告を消すのが礼儀ぐらいのレベルに達しているような強者だらけ」という現状があるわけです。GIGAZINEは最新の直近1カ月のデータを見ると、実に4分の3が常連読者であり、広告をクリックしているのは残り4分の1の新規読者となっています。つまり、「GIGAZINEってナニそれ?おいしいの?」ぐらいのレベルの読者が収益を支えているというわけのわからない状態になっており、フリーライドとかそういう生半可なレベルをMAX値で斜め上に振り切っているのです。ただし、常連読者の存在によって新規読者が増える手助けになっているのは確かであり、収益に直結はしていませんが、間接的にいろいろなカタチで貢献しているはずです。

◆その2「広告主にとっての『最適化』はメディアの収益最大化とは意味が違う」

by @Doug88888

広告主にとって広告費用を「最適化」するというのは何のことかというと、より安価に、そしてより効果的に広告を出すことに他なりません。ということは、ニュースサイトやニュースメディアにとっては収益最大化の逆、「収益最底辺化」が起きる、ということになります。かつての電通のような大手広告代理店が一括で広告枠を買い取って切り売りするようなビジネスモデルはもう完全に消えて無くなっているのは周知の事実で、むしろもっとシステマチックに、ユーザーの趣味嗜好や興味に沿うような形で自動的に広告を表示する方が広告を見る側にとってもメリットが大なわけです。これはいまや世界最大の広告代理店と言っても差し支えないGoogleの「AdWords」と「AdSense」が作り上げたシステムであり、それ以外にもたくさんあるいろいろなアドネットワークも基本的には同じ発想です。つまり、放っておくとどんどん広告の価格は「最適化」されていくわけで、結果、年々収益は悪化するのがデフォルトになっていくわけです。ある程度の規模以上にニュースサイト・ニュースメディアが育たず、次々と違うジャンルの似たようなサイトを作っていくケースが多々見受けられるのはそういう理由があるためで、さまざまな専門ジャンルのサイトを作った方が「広告の最適化」に最適化しやすく、新しいカタチでの発展は望めないが、現状維持には最適だ、というわけです。

◆その3「読者にとって不誠実であればあるほど収益は多くなる」

by Mikko Saari

常連読者がバナー広告の画像をクリックする最大の原因はまず間違いなく「誤クリック」です。もちろん検索結果や各種タイムラインなどからやってきた新規読者も誤クリックをします。また、記事を読んでいる最中に突如として無理矢理バナー画像が表示されればイヤでも目に入るので、必然的にクリック率はアップします。というか、画面全体を無理矢理広告で覆ってしまえば、クリック率は間違いなくアップします。もっと極端な例で言えば、記事広告を単なる「記事」として配信すれば各種ニュースポータルにも配信され、なおかつ読者はその記事が実は広告だという事実を知ることができないわけなので、広告主にとっての効果は最大になります。ただし、それをするとニュースサイト・ニュースメディアの信頼・信用が失われます。しかし、広告を出す側からしてみれば、広告を出す先はいくらでもあるのでニュースサイト・ニュースメディアの信頼が落ちても特に困らず、なおかつそういう読者をだます広告の責任は間に入っている広告代理店に被せて「そんな依頼はしていない、担当者が勝手にやったことで極めて遺憾である」と言って、トカゲの尻尾切りをすればオシマイなので、まったく傷つきません。つまり、商倫理で考えればありえない方法、読者にとって不利益な方法を採用して実行すればするほど儲かるという流れになっており、むしろそういう方法を実行しないポリシーを持つGIGAZINEのようなニュースサイトが、気付けば圧倒的に少数派になってしまっていたのです。

まとめると、「サイトの存在を支える常連読者は収益源に直結しておらず、読者をだませばだますほど儲かる」という現状になっています。果たしてコレがあるべき姿なのでしょうか?という疑問を呈すること自体がぶっちゃけ愚痴に過ぎず、「読者をだまして裏切ってお金儲けしないのであれば営利企業を今すぐやめて経済市場から撤退せよ」というのが現時点での現実なので、読者をだまして裏切るという選択ができない時点で、我々はあまりにも理想主義過ぎであり、かなり失格なワケです。このような過酷な現実に対抗する手段は、ペイウォールによる情報の遮断、すなわち「お金を払った有料購読者にだけ記事を読ませる」という方法以外にはないのでしょうか?

というわけで、上記のような根本的疑問である「広告モデルの限界」に3年半前からぶつかった次第であり、だからこそいろいろな方法を考えた末に、「こういう方法ならまだアリかも」というような結論を得たので、そのことを特別講演ではいろいろとぶちまけながら、1時間ほどたっぷりと積もり積もったものを以下の日時・場所で話しまくる予定です。

日時:10月12日(土)12時~13時
場所:ufotable CINEMA(徳島県徳島市東新町1-5-3)


上から見ると「ufotable CINEMA」はあのあたり。というか、どのあたりかわからないので地上に降りてみましょう。


これが会場へと続く東新町商店街


「ufotable CINEMA」は少し進んで左側にあります


ここが「ufotable CINEMA」


まずはこの階段を上がります


入ると右手に飲食っぽいスペース


まどマギがお出迎え、その向こう側に階段


講演は厳密には2つあるシアターのうち、「シアター2」で行う予定なので、このまま2階へ移動します


中はこうなっており、6席×4列と一番後ろが5席、合計で29席。


座席はこんな感じ


これまでにないぐらい目の前で講演するおそらく最初にして最後の機会になる予定


もし29席全部が埋まった場合、あとはさらに後ろで立ち見になります。大体5人ぐらいが限界。なので、29+5=34人が最大人数となります、たぶん。さすがに通路まで埋めるわけにはいかないので。


普通は後ろから入るのですが、今回は入場時にアンケート用紙を渡し、退出時に回収するので、側面が出入り口になります


ココですね


なお、ギリギリまで会場調整中なので、もしかすると、「シアター1」になるかも。

シアター1の場合、中はこうなっており、合計71席。


ほかの特別講演候補地としてはどこがあったのかというと、例えばココ


眉山山頂パゴダ広場なども検討しましたが、今回は話す内容が内容なだけに何があるかわからないので、こっそりひっそりできる閉鎖的空間を選びました


というわけで、当日は先着順で受付をする予定ですので、もしもたまたま何かの都合で偶然時間が空いているのであれば、ふらっと立ち寄っていただければ、何やらいろいろなぶちまけ話がアレコレ聞けるはずです。

・つづき
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in お知らせ,   コラム, Posted by darkhorse

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