全世界のエネルギー源を再生可能エネルギーに置き換えたときのコストは？

「3.11」以来、日本国内でもエネルギー政策のあり方がそれまでにも増して問われるようになってきましたが、世界的にみても同じことが言えます。増大を続ける世界の人口のためにエネルギー源をいかに確保するのかと同時に、再生可能エネルギーへの移行は持続可能な社会を実現していくために避けられない方向性のひとつと言えるかもしれません。そんな再生可能エネルギーへの移行コストをわかりやすくまとめたインフォグラフィックが公開されています。

The Cost of Going Green Globally | Quid Corner
http://www.quickquid.co.uk/quid-corner/2013/09/03/the-cost-of-going-green-globally/

世界中で消費されるエネルギーの量は石油換算量で86億7700万トンに相当し、そこから作り出されるエネルギー量は3億6300万テラジュールというとてつもない量になります。

このエネルギー量を別のものに換算すると、ハリケーン2795個分、マグニチュード9.0クラスの地震877回分のエネルギーに相当しますが、ハリケーンは年間平均で20.7個、そしてこのクラスの地震は過去1000年で数回しか発生していません。

現在のエネルギーの大部分は、再生可能ではないエネルギーから作り出されています。再生可能エネルギーが占める割合は、右下の円に囲まれている16.1％です。

このエネルギー生産にかかるコストは以下のとおり。全世界のGDP(国内総生産)の合計額のうち、約1％に相当する1兆6600億ポンド(約263兆円)が再生可能ではないエネルギー源に費やされています。

しかし、このエネルギー源には限りがあって、2112年ごろには枯渇すると言われています。また、エネルギーを作り出す過程で、地球はダメージを受けています。

1980年からの約30年間に失われた北極の氷は439万平方キロメートル、さらにその減少率は10年ごとに11.5％上昇しています。南極では2002年以降、毎年100立方キロメートルの量の氷が溶け出しています。その結果、海水面は年平均3.16ミリメートル上昇。温室効果ガスである二酸化炭素の濃度は、1950年には最高でも300ppmだったのが、2013年には397.23ppmにまで上昇。現在でも急上昇を続けています。

再生可能ではないエネルギーの使用は、サステイナブル(継続可能)なものではありません。また、これを継続することで地球にダメージを与え続けることになります。

それでは、そのエネルギー源を再生可能なものに置き換えるには、どれほどの設備が必要になるのでしょうか。

太陽光発電パネルだと、スペインの国土に相当する49万6805平方キロメートルの面積が必要。

高さ100メートル・出力5メガワットの風力発電機だと、その数800万台。

出力750キロワット潮力発電機の場合は、1500万台。

出力7メガワット・発電効率95％の地熱発電設備だと、100万か所。

出力1万8200メガワットの水力発電ダムだと、640基が必要です。ちなみに、日本で最大級の発電ダムは、長野県にある南相木ダムと上野ダムのペアで、その発電量は2820メガワットです。

これらすべてを置き換えた場合にかかるコストが下記のとおり。
・太陽光発電：約20兆ポンド(約3300兆円)
・風力発電：約60兆ポンド(約9900兆円)
・潮力発電：約48兆ポンド(約7600兆円)
・地熱発電：約7兆ポンド(約1100兆円)
・水力発電：約12兆ポンド(約1900兆円)
また、再生可能エネルギーへの置き換えコストの平均は約30兆ポンド(約4800兆円)となります。

この約30兆ポンド(約4800兆円)はとてつもない額に思えますが、全世界のGDPの合計142兆ポンド(約2京2500億円)の21％にあたる額なのです。

インフォグラフィックは「“緑の未来”のためを考えたとき、安いと思いますか？」という問いかけで締めくくられています。