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【訃報】「青空文庫」の創設者である富田倫生さんが死去


著作権の切れた本を自由に読むことができるインターネットの電子図書館「青空文庫」の創設者であり、呼びかけ人・世話人でもある富田倫生(とみたみちお)さんが、8月16日(金)午後12時8分に死去したことがわかりました。

青空文庫の富田倫生さん 逝去: ポシブル堂書店からのお知らせ
http://necom.cocolog-nifty.com/information/2013/08/post-0c44.html


 インターネット図書館「青空文庫」の創設者であり、呼びかけ人である富田倫生(とみたみちお)さんが、本日(16日)の午後12時8分に亡くなられました。

 富田さんは、パソコン関係の書籍や宇宙開発の書籍などの著述業のほか、電子書籍の可能性にいち早く気づかれ、インターネット図書館「青空文庫」を他の呼びかけ人の方々と共に創設運営してきました。著作権延長問題でも反対の立場を明確にして闘ってきた闘士でもあります。そして長年に亘って病とも闘ってこられました。

 富田さんは、昨年の電子書籍エキスポの会場で何時にも増して青空文庫の歴史と存在意義、そして著作権問題について熱く訴えて居られました。とても闘病中とは思えない何時もの熱気を感じて、何だか安堵したものです。

 それが突然の訃報。始まりは何時も突然……と申しますが、本当に突然過ぎです。


もともと富田倫生さんは持病があり、逆にそれがきっかけで38歳ぐらいで引退、今の青空文庫創設につながっていることが以下のインタビューで明かされています。

青空文庫 富田倫生氏インタビュー:1
http://www.nintendo.co.jp/nom/0710/p2/


N.O.M:
富田さんご自身は、青空文庫設立までどういったお仕事をされていたんですか?

富田:
雑誌記者からテレビの構成、フリーランスのライターなどをやっていました。その頃からパソコンが台頭してきまして、それをテーマのひとつとして、コンピュータ社会史のようなものを書いていました。青空文庫っていうのは、その後の余生でやっているものです。

N.O.M:
余生ですか?

富田:
そうそう、アーリーリタイアメントをしてね。38歳ぐらいで病気をして、引退を余儀なくされたものですから。それで、何かできるかなあと思って。


文化の根幹をなすのは「知の共有」だ――青空文庫創始者の富田倫生さんと対談(上) | BCNランキング
http://mkt.bcnranking.jp/news/detail.html?id=13867

●病魔に翻弄されて

奥田 「パソコン創世記」凄い本だったよね。この人は、これからもいい仕事するだろうなと思っていたのに、ある日、突然筆を折ったように見えた。立ち入ったことを聞くけど、何があったの?

富田 病気です。私の人生のコースは、病気でだいぶ曲がりました。ライター志望は高校生の頃から。連載がもてるようになり、本も何冊か出て、「これでやっていけるかな」と思い始めた矢先、お前は取材に飛び回れる身体じゃないと突き付けられてしまいました。

 最初の本は、旺文社文庫から出た、初代の「パソコン創世記」です。1984年秋に取材して、85年2月に出版。NEC半導体部門のマイコン販売セクションが、それまではこの世に存在しなかったパソコンをつくって売り出すまでの経緯をまとめました。コンピュータ本流が、PC-9801を出す前段の話です。その後、活字に加えて、テレビの仕事もするようになりました。90年4月には、テレビの仕事でSF作家のアイザック・アシモフさんにインタビューに行きました。ニューヨークには24時間いられなくて、とんぼ返りしたんですが、飛行機の中では行きも帰りも原稿書いてました。それで、帰国直後に倒れてしまったんです。それから3年間、入退院を繰り返すことになって――。

奥田 病気だったの。病気の話はあまり聞いた記憶がないし、当時の文章でも殆ど触れてませんよね。


以下のムービーでは青空文庫の呼びかけ人である富田倫生さんが青空文庫の歴史と思想をわかりやすく語っています。

青空文庫 800人のボランティアと一万冊の電子書籍 1/6 - YouTube


また、青空文庫にも収録されている富田倫生さんの以下の文章は1997年に公開されたものですが、未来を示唆した非常に先見の明あふれる内容となっています。

短く語る『本の未来』
http://attic.neophilia.co.jp/aozora/htmlban/mijikaih.html

著作権が守るもの

 六冊ある私の本のうち、四冊はすでに絶版になっている。どんどん消えて文庫にも入らなかったのは、要するに売れないからだ。商品としての命を終えた本は、自分が書いたものでももう手に入らない。

 本を書くときには、願いが二つある。考えを受けとめて欲しいのが一つ。もう一つは、儲けることだ。書き終えるまでに時間と労力をかけているから、なんとかその分を取り返せないかという気持ちは強い。

 二つ目の儲ける願いには、著作権という用心棒がいる。誰かが無断で本にして、勝手に儲けることは許さないと法律が決めている。ただしこの規定が私を守るのは、書いたものが商品としての価値を持つあいだに限られる。大多数の書き手にとって、著作権との付き合いは長くない。

 一方出版社は、著作権と縁の切れ目がない。書き手になにがしかを渡す代わり、彼らは他者を排除して商品としての本作りを独占する。書き手の守護者のような顔をした著作権の真のパートナーは、出版社に他ならない。

 その出版社が作る紙の本で厄介なのは、売れないと結果が出た時点で、二つの願いの双方が同時についえることだ。金は諦めるから、せめて本として生かしておいてくれないかと申し出ても、出版社には応じる余地がない。売れない本も形の上では資産とされて、税金がかかる。はけるめどが立たなければ、資金をかけて増刷にはできない。かくして本は切り刻まれ、品切れのまま放置される。

 こんな出版の世界で、二つの願いの片割れである「読まれたい」には、助っ人らしきものもいなかった。ガリ版やコピー機、せいぜいプリンターどまりだ。だが私の見つけた電子本の腕っ節は、なかなか強そうで頼もしい。


なお、「パソコン創世記」はAmazonでは約3000円台の書籍ですが、青空文庫なら以下のページにて無料で読むことが可能です。

富田倫生 パソコン創世記
http://attic.neophilia.co.jp/aozora/htmlban/gopc.html

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