母親リスにストレスがかかると子リスの成長速度は上がって早く死ぬ

By Shandi-lee

よりよい遺伝子を残すため、母親は子どもの成長のためにあらゆることを行います。これは人間に限った話ではなく、動物も例外ではありません。アメリカアカリスの場合、その母性はストレスを感じた時に爆発するということがアメリカScience誌で発表されました。

Stressed out moms mean faster growing babies—if you’re a squirrel | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2013/04/stressed-out-moms-mean-faster-growing-babiesif-youre-a-squirrel/


この研究はカナダのユーコン準州で22年間にわたってアカリスを対象に続けているものの一環。トウヒという針葉樹は数年おきに一斉に種子をばらまくのですが、その時リスの個体数は爆発的に増加します。ここ数年の研究によればリスの個体数が極めて多い時、ゆっくり育ってきたリスに比べて成長スピードが速かったリスは有利な生活ができるということがわかりました。では、成長速度の速いリスと遅いリスはどのような違いによって生まれるのでしょうか。

研究者たちは子リスに大きな影響を与える母リスに着目し、個体数の増加によって母リスがどのように変化するのか、ということを調べました。その方法は、リスの鳴き声を拡声器で広めて、野生のリスたちに個体数が増加したように思わせる、というもの。そして繁殖シーズンになると、生まれてすぐのタイミングと、生後25日を迎えた時の子リスの重さを量り、子育ての環境をモニタリングしました。

結果、拡声器を使用した後に生まれた子リスは他の個体よりも成長速度が速いことがわかりました。つまり、他のリスの鳴き声を聞いた母リスは何らの方法で子どもの成長スピードを上げているのです。

By wader

成長速度の加速は多くの場合と食料の増加によってもたらされますが、食料が十分にないにも関わらず成長速度が増すこともあります。今回のケースがまさしくそれで、個体数の爆発的な増加がトリガーとなって、成長速度の加速という現象が起こっています。

研究者たちはこの現象のカギが糖質コルチコイドという母リスのストレスホルモンにあることに気づきました。子リスの成長速度に関する実験とは別の実験で、人口密度と糖質コルチコイド・レベルの間には関係があるということが明らかになっています。つまり、過密の環境にあると、妊娠中の母リスはよりストレスを感じるのです。

研究者たちが「母親のストレスレベルが子リスの成長環境に影響を与える」ということを確かめるため、妊娠中の母リスに人工的にコルチゾールを与えてみたところ、生まれた子リスはコルチゾールを与えていない母リスから生まれた個体より、41%も成長速度が速いという結果になりました。

一般的にストレスは悪い物だとされており、人間の場合、妊娠中の母親に「あまりストレスの多い環境を避けること」というアドバイスがなされることも多いのですが、アカリスにとって環境を要因とするストレスは子どもがよりよい道を歩むための助けとして重要です。多くの生き物にとってストレスは新たなテリトリーを探したり、天敵から逃げたりするための非常重要な役目を担います。しかし、今まで母親の感じるストレスが子孫に対して利益があるという証拠はありませんでした。

この時、成長速度の速い子リスを産んだ母リスが代償を受けている様子は見られませんでしたが、一方の子リスは成長速度が速いというアドバンテージの結果、ゆっくり育った子リスよりも寿命が短いことがわかりました。

By (Alex)

糖質コルチコイドが母親の胎内でどのように子リスに作用し、なぜ成長速度の速い子リスは短命になってしまうのか、という点の理由はまだ明らかではありませんが、この研究はこれまで考えられていた以上にストレスと健康の間に複雑な関係がある可能性を示唆しています。

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in 生き物, Posted by logq_fa