インタビュー

「ゲームとTwitterとFacebookしかしないなんてもったいない」、Gunosy開発チーム根掘り葉掘りインタビュー


独自アルゴリズムで自分に合ったニュースを自動的に集めてくれる「Gunosy」は東大出身のエンジニア集団を中心に作られており、2011年10月25日のリリース以降、破竹の勢いでユーザー数を伸ばし続け、2012年秋に法人化、そして2013年4月にはついに登録ユーザーが13万人に到達しています。一体どのようなチームがどういった環境で開発・運営をしているのかというコアの部分を明らかにするため、Gunosyチームの働いているオフィスに突撃してみました。

Gunosy(グノシー)
http://gunosy.com/


◆いざオフィスへ

日比谷線神谷町駅近くにあるこのビルの中にGunosyは新しいオフィスを構えています。


セキュリティチェックを通過して上のフロアへ移動


オフィスの入り口へ到着


ここで間違いありません、ちゃんと表札に「Gunosy」の文字。


Gunosy開発チームの面々


窓際に置いてある日本酒の瓶は一体何なのかというと、ある程度のところまで開発が進んだらあいうえお順に開けてみんなで飲んでいる、とのこと。


お酒の向こう側には開発の参考に使っている書籍もずらり


奥から順に入社した順番


バランスボールが大人気


ぼよんぼよん


床に置いてあるこの雑誌は何かというと、世間一般の人はどういう情報を得ているかというサンプル。Gunosyの分析やレコメンドエンジンの開発に使われている資料というわけです。


ゴミはきちんと分類


コピーなどの複合機の向こう側にはベランダ


開発や仕事に疲れたらここで一服してリフレッシュ


このようにして疲労回復を図るわけです


リフレッシュする方法は他にもあり、例えば机の足下にある段ボールからは……


アメリカで一番古い炭酸飲料「ドクターペッパー」登場


こうやって足下にミネラルウォーターやらドクターペッパーやらを置いている理由は「いちいち取りに行く時間がもったいない」ため。爆速開発の秘訣はこういうところにも隠されているのです。


キッチンはこんな感じ、コーヒー飲みまくり、各自のカップも置きまくり。


巨大な冷蔵庫も完備


これがオフィスの全体像。なにやらオフィスらしからぬものが散見できます。


特殊な形と配置のキーボードを使っている理由は「劇的に疲労感が軽減されるため」とのこと。取材してみている目の前で、目にもとまらぬ早業で開発中。


こちらの社員の方はペンタブを使用しています。それぞれ使いやすいツールを使っているようです。


とてもシンプルにノートパソコンのみに見えるのですがよく見ると巨大なディスプレイを活用。


そして会議室へ移動してインタビュー開始。


◆インタビュー

左にいるのがGunosyのCEOである福島良典さん、右にいるのが分析・レコメンドエンジン開発担当の関喜史さん


GIGAZINE(以下、Gと省略):
Gunosyというサービスはどういったきっかけでできたサービスなのでしょうか?

福島良典(以下、福島と省略):
きっかけ自体は、今オフィスで開発している吉田と僕が暇だったからですね。

一同:


福島:
関とかは真面目なのでインターンとかに行っていたのですけど、僕はインターンとかに行くよりはサービスとかを作ってみたいなというのがあって、そっちの方に時間をかけた感じですね。そもそも僕と吉田、関は大学の同級生なんです。大学院では僕だけ別の大学院に行ったのですけど、基本的にやっている研究の内容はデータマイニングとか機械学習だとかで似ていて。

G:
データマイニングや機械学習を選んだのは一番最初からそういうのに興味があったからですか。

福島:
僕はもともと資源のシミュレーションをやっていたのですが、そういった分野よりもネットが好きだったのでネットに近いデータマイニングの方に進んだ感じです。

関喜史(以下、関と省略):
僕は学部の4年の頃からデータマイニングをやっていて、その理由はプログラミング系の研究室がデータマイニングしか無かったからなんです。僕らの行ってるところって工学部の中でも特殊で経済系をやってるんです。その中で僕はずっとプログラミングをやっていたので、プログラミング系をやるウェブマイニング系の研究室に進んで、そこで自分の興味とマッチしたので修士でもそういうウェブマイニング系で研究したりインターンに行ったりとかしてましたね。

福島:
せっかく研究もしているのでそういったスキルを使って何かを作りたいというのがあって、そして何かを作るなら自分たちの使いたい物を作ろうというのがありました。最初からビジネス面を意識して何かを作り出すというよりは、自分たちの問題解決のできるもの、つまり欲しいものを作るというスタンスから初めたんです。自分たちのやりたい事と持っているスキルの一番交差した部分、自分たちの生活の中で問題になっていてかつ自分の研究してきたことを生かせる分野、それがGunosyだったんです。


福島:
自分の中の問題っていうのは、RSSリーダーにブログだとかをいっぱい登録しても全然読まなくなったんです。そこから始まって、もう少し個人の興味にマッチした情報を送れないかなぁって考える様になりました。ちょうど2006年、2007年辺りからTwitterなどのSNSが流行りだして、個人がウェブ上に情報を残すようになったなぁと思っていて、そういったSNSなどの情報から、もう少し高い精度で個人の趣味嗜好を推測できるんじゃないのかっていうのもありましたね。そういうところからGunosyを始めたという感じです。

G:
そのGoogleリーダーを使っていたときはどれくらいのサイトを登録してましたか。

関:
使い始めようと思って、「エンジニアは登録すべきサイト10選」みたいなものをたくさんググって登録するじゃないですか。翌日くらいには未読40件とかになり「うわー」ってなって、一週間後くらいになって見てみると未読400件になってもう二度と開かない、みたいな感じです。

G:
要するに、一番最初の問題点は自分たち自身のものであったと。

関:
そうですね。そうですね、自分たちの使いたい物を作るという感じです。

福島:
もうちょっと広く、RSSだとか普通のニュースだとかをいろいろ見ようと思っていたんですけど、日経新聞とかおもしろくなくて。あれが楽しいって思うのは30代のビジネスマンだと思うんですよ。

G:
読者層が自分の求めているものと違うと。

福島:
そうです。GIGAZINEさんも一緒で、これをギャルとかが見てもおもしろくないと思うんですよ。やっぱりギーク向けというか、ちょっとネタ好きの人向けじゃないですか。コンテンツがこんなにたくさん増えてるのに、情報の伝え方って200年前と何も変わってないよねっていうのがあって。これを変えたいっていうのもありましたね。

関:
次世代の新聞を作るっていうのがあったんですよ。

G:
2013年4月11日に登録ユーザー数が13万人到達というアナウンスがありましたが、13万というのはTwitterとかFacebookとの連携数なのでしょうか?

福島:
登録しているID数はもうちょっと多くて、Gunosyのなかで退会した数を引いての数ですね。ユーザーの実数というか。

関:
アクティブユーザーみたいな話でいうと、デイリーだと40%とか。ウィークリーだと80%くらいじゃないかな。


G:
一番最初にリリースされたのが2011年10月25日、2012年5月あたりのインタビューを見ているとその時点で7500人、2ヶ月後の2012年7月には1万5000人に突然倍増、さらに12月には3万人の大台に乗って、2013年2月に7万、2013年4月には13万、というようにしてものすごい勢いで増えていますが、これはグラフ的には右肩上がりでいっているのか、それとも何かきっかけがあってボンボンボンと階段状に上がっていっているのか、どういう風に増えているのでしょうか?

福島:
基本右肩上がりですね。ブログだとかの記事で突発的に増えることはあるんですけど、それが継続するってことは無いですね。

関:
最初のリリースの時は我々開発陣の3人がTwitterでつぶやいただけでしたが、それで結構ユーザー登録してくれて、その後も口コミでちょくちょく増えていきました。あるときからいろんなブロガーさんが取り上げてくれるようになって、大きなブログにも載せてもらったりして、それで結構増えたりもしましたね。その後5月頃に初めてちゃんとしたインタビューをしてもらい、そこで結構拡散し、3日間か4日間ほどで1.5倍くらいユーザー数が伸びました。

G:
つまりその時点で壁を一度大きく破っていることになりますね。

関:
その後もちょくちょく記事を書いてもらったりインタビューを受けたりして地道にユーザー数が増えていきました。2012年末に法人化して、それまでユーザー獲得は自然に任せてやってたんですけど、もう少し戦略的にやろうっていう風になり、ユーザーの登録とかランディングページだとかを日々改善していって、今はその改善を積み上げてユーザー数を伸ばしている感じですね。

G:
2012年5月あたりのインタビューでは「法人化は検討していない」という話だったが、その半年後ぐらいには法人化をしていますが、法人化を決意するきっかけは何だったのでしょうか?

福島:
サービスを続けるかどうかの決断をした秋頃に、自分たちの進路のこともあって、このままいくとGunosyは終わるだろうなというのがあったんです。その段階で約1年半くらいGunosyのサービスをやってたんですけど、サービス開始から使ってくれているユーザーが結構いてくれて、そういう使ってくれているユーザーがいるというのが最終的にサービスを続けていく上での一番の原動力になりましたね。

関:
続けると決意したタイミングは秋頃で、ユーザー数が2万人を超えたぐらいの時でした。ウィークリーのアクティブユーザーが70%を超えていて、他のサービスの話を聞いているとわかるのですが、当時のGunosyのアクティブユーザー率70%というのはすごく高い数字なんです。でもGunosyはビジネス化とかそういうのに対する可能性を感じたというよりも、周りの声だとか使ってくれているユーザーに支えられて、「このサービスやめらんねーな」っていうのが一番のきっかけでしたね。

G:
それでもう法人化して続けるしかないと。

関:
そうですね。使ってくれている人たちに答えていきたいという感じでした。

福島:
顔の見えないユーザーがちゃんとついているっていうのが大きかったですね、そこは。

関:
最初は学生コンペのプレゼンコンテストとかでも負けまくりだったんですよ。でもサービスを始めたらいろんな人が何もお願いしなくても広めてくれて、どんどんユーザーも付いてくれて。なんというか希望が持てるというか、やってみようっていう気持ちになったというか。

G:
実際やり始めたらユーザー数の伸びがすごいですもんね。法人化して他に何かこれは大変だったみたいなことってありますか。

関:
今までよりもちゃんとGunosyの開発に時間を使うようになった分、Gunosyが自分に与えるメンタルへの影響が大きくなりましたね。プレッシャーは大きいし、本気で取り組んでる分、今までよりも返ってくる反動が大きいです。いい成果があがってくると楽しいなという反面、ちょっと数字が上がんなかったりとかすると、へこみ方が今までより大きいとか。やっぱり会社でやるだとか人生かけてやるっていうのは大変なんだなぁっていうところがありますね。


G:
調べていると、福島さん吉田さん関さんの3人から始まってますが、今現在の社員数は何人くらいなんですか。

福島:
6.5人くらい。1人手伝ってくれている人がいて。

G:
創設に関わった3人はネット上の記事とかでもよく見るのですが、そこからどうやって6人ぐらいまで増えていったのでしょうか。

福島:
まずは自分の周りの友達だとか、出資を受けているのでその人からの紹介だとかですね。

関:
僕たち3人に社会経験が無かったので、最初に入ってもらった方は社会人経験豊富な方でした。プロジェクトマネジメント中心で入ってもらって仕事のやり方を教えてもらっている感じですね。

G:
そういう人がちゃんと入っているから会社として前に進めるようになっているんですね。

関:
あの人が入ってなかったら終わってたんじゃないかな、今頃代々木公園の段ボールハウスあたりにいたかも。

福島:
今日は暖かいからいいよね、とか言ってそう(笑)

G:
話は変わって、CEOの福島さんがGunosyをリリースしたときにブログに書いた「僕がGunosyを作った理由」の中に、大学3年で会社を作って失敗したという話があるんですが、その経験は生きてますか。

福島:
生きてますね。それが無いと今はないので。

G:
具体的にはどういう部分に生きてますか。海外の話ではよく失敗を糧にして成功を収めるという話を聞いたりしますが、日本ではあまりこういった話を聞かないので。

福島:
みんな言わないだけだと思いますよ。みんな失敗っていうのは劇的なものを想像するんじゃないですかね。僕の場合、失敗っていうのは端的に言うと「やる気がなくなる」事だと思うんですよ。やる気が無いなら会社をやるなってのがあるんですけど、そんな単純な話じゃなくって、戦えなくなるんです。心が折れてしまって。それがほとんどの失敗の原因だと思うんですよ。

G:
心が折れないように気を遣うにはどうすればいいでしょうか。

福島:
そこは気持ちの持ちようだと思うんですよ。

G:
モチベーション的な。

福島:
モチベーションほど簡単ではないですね。

G:
もっと複雑な。

福島:
難しくもないんですけどね(笑)。課題があるうちは大丈夫なんですけど、Gunosyでもいつか訪れるだろう、ユーザーの増加が止まり、デイリーのアクティブユーザーもどんどん下がっていって、っていう時に心が折れるかどうか。そういう時にあの時の経験が生きるんだろうなって思います。


G:
来るべき日が来ても福島さんがいるなら大丈夫ってことですね。

福島:
そんな大げさなことじゃないですけど、今は創業麻痺してると思うんです。創業して1年半以内に成果が出ないと、普通の人は心が折れると思うんです。給料もそんな払えないですし、みんな麻痺してるから気づかないけど実際は危ない橋を渡ってる。同世代で同じように会社を起こしているような人ってほとんどいないんで、そういう周りから理解されない部分での不安だとか。そういう中でいかに心が折れないようにがんばるかが大事だと思うんです。僕らは親が理解があったから良かったけど、親の理解が無かったらもっと辛いですよ。

G:
理解のある両親だったんですね。

福島:
理解がなさ過ぎて理解してもらったみたいな。

関:
親に会社を作ると言ったら、会社を作る程度で良かったって言われました。大学やめて海外放浪にでも行くって言うんじゃないかと思ったって。

一同:


福島:
一番難しいのは普通にやりきることだと思っています。普通にやる、例えば朝9時半始業ならちゃんと来る。遅れた人はちゃんと責められる。目標決めて、達成できなかったらなぜできなかったか次の対策を考える、みたいな。ベンチャーは全部自分で決められるんで、自分で全て決めてっていうのがほんとに大変。そういう中でいかに心が折れないようにがんばるのかっていう部分ですね。

関:
そういうのでいくと僕らは働いたことが無かったから、4人目の人が入ってくれてほんとに良かったです。俺、福島とこういう話をしたことがなかったからなんか新鮮(笑)

福島:
(照)


G:
ここからは関さんに聴きたいんですけれども、過去のネット上の記事などで調べていくと、「関くんはシリコンバレーでGoogleやApple、Facebookなどのオフィスを一緒に回り旅をしたメンバー」ということで名前が入っていたんですが、そのときの経験はどのように生きてますか。

関:
僕は技術がすごく好きで、それでなにかしたいなと考えていました。でもエンジニアの先輩だとかにいろいろ話を聞いてると、実際の現場ではそういうのは難しいんだろうなっていう部分だとか、上のマネジメント層にうまく使われるってイメージばっかり先行していきました。それが嫌で工学部だけど経営系が学べる研究室に来たんです。

シリコンバレーの技術者すごいっていうじゃないですか。何言ってんのこれって思ってたんですけど、一度行ってみなきゃとも思っていてとりあえず行ってみたんです。彼らのすごいところは、こういうことやったから技術があるっていう、自分の技術を証明する手段を持っているんです。シリコンバレーの技術者は、日本の新卒採用みたいに入って教えられたことをやるんじゃ無くて、自分はこういうことができるからこういうことやらせろっていうスタンスなんです。そのために自分のスキルセットを高めて、自分のやりたいことをやるためにスキルセットを証明する手段を作っているのがすごいと感じました。でも技術がめちゃくちゃ優秀かっていうとそうでもないし、僕たちでもこんな風になれるんだなと。あそこへ行って僕が強く感じたのは、自分がこういうことやりたいなら、それを実行するための力をつけて、周りが納得できるだけの実績を積むってことが大事だということ。


ここから自分も実績を残すべきだと思って、データマイニング系のインターンをいくつかやってみて、それなりに成果を出せましたし、そういう意味で自分のデータマイニングの技術を生かすウェブサービスをやるっていうのは絶対おもしろいと思っていて。そこで福島が誘ってくれたので是非やろうという風になりましたね。自分の技術を誰にでも説明できるような実績を作るっていうのは、好きに生きていく上で必要なんだなと理解して実行できたという意味でやっぱり大きな転機でしたね。


福島は失敗から、プロダクトを先につくるのが大事っていう考えがあったと思うんです。ウェブサービスを作って、最初に500人もの人が登録してくれて、ベンチャーキャピタルの人まで来てってなったら普通の人だと舞い上がって起業するって言ってると思うんです。けどこいつは断固として「起業とか簡単にしない」って言ってて。

G:
おびえてるわけじゃないって過去を見たら分かりますもんね。なるほど、できるべくしてできたサービスなんですねGunosyは。

F&関:
運も良かったと思います。

G:
運をつかめるだけの下地があったんですね。福島さんと関さんそれぞれの経験がGunosyに深く結びついているのが非常に興味深いです。あと、Gunosyの解析を行っているサーバーがあると思うんですが、サーバーはどのように構築しているんですか。

関:
一番最初は月500円のレンタルサーバーでやってたんですよ。サーバーの設定とか初めてで、夏頃までさくらVPSの月1000円くらいのサーバーでやってました。データマイニングってサーバーのスペックあればよいっていう誤解を招いていると思うんです。コンピュータ将棋の話になるんですけど、来週出てくるコンピュータ将棋世界1位のやつは、東大のパソコン700台を並列に並べているやつなんですけども、世界3位になっているツツカナはメモリ32GBのCPUがCorei7っていうゲーマーが持っているレベルのサーバーなんです。このツツカナみたいに、処理能力とかハードのスペックよりも、アルゴリズムでその辺って解決されるべき問題だと思ってるんです。それで、Gunosyの一万人下回るぐらいの当時の規模だと、僕らの場合はメモリ1GBのサーバーで十分足りるレベルの話だったという。計算力が低いからレベルが低いんじゃ無くて、アルゴリズムをしっかり組んでいるからと思っていただけるとうれしいですね。

G:
次にちょっとまた話が変わるのですが、Gunosyの具体的な話で、アカウント設定がTwitter・Facebook・はてなアカウント以外にも今後連携できるサービスの種類を増やす予定はありますか。

関:
増やす意味をもっと考えるべきなのかなと思うんです。アカウントを持っていなくても初期設定をうまくやるみたいな。設定なんかをうまくやれば、快適に利用できるという方向性で考えています。僕らは「普通のユーザーはFacebookとかTwitterのアカウントを持ってて、それを使うだろ」って思ってたんです。でも10万人を超えた時点で、SNSのアカウントが無い場合を考える時期にきているんです。いろんなサービスを使ってる人にとってよりよいサービスというよりは、TwitterとかFacebookを使ってないような人たちが少し我慢して使ってくれればいい情報を届けられる。こういう世界観を作るという部分に今努力していますね。

G:
どちらかというとGunosyアカウントみたいな。

関:
そうですね。その方が優先度が高いです。

G:
なるほど。あと、シェアする先はTwitterとFacebookが基本になっていますが、その他諸々の後で読む系アプリへの対応予定はありますか。

関:
何にシェアするという部分が重要なのかっていうところがあるんですけれども、僕たちが目指すユーザーの体験っていうのを損なわない形であれば、そういう外部サービスもやっていきたいと思っています。「Pocket」とかで危惧してる話って言っていいのかな。

福島:
いいんじゃないかな。

関:
Pocketとかで危惧してるのは、なんでもPocketの中に突っ込んでいると、本当に見たいことが分からなくなるんじゃ無いかなっていう点です。Gunosyではその人がクリックした記事が高い価値を持つと考えて、それでどんどんGunosyを個人個人に最適化していくというフローを回しているんです。けどそこで全部PocketやRSSリーダーに全部突っ込んでいくだとか流し見るっていう形になると、Gunosyとしてユーザーに届ける情報の価値が低くなってしまうと思うんです。なので、一時の利便性を求めて中長期的な利便性を下げてしまってもいけないので、その辺のサービスとの連携には慎重になっています。

G:
先ほどから言っている「利便性」というのは正しい情報を提供できるのかっていうことですか。

関:
そこが一番重要なコアバリューなので。やるのであれば、Pocketに全部突っ込まれても何とかなるという確信をある程度得たいです。なんでもPocketに突っ込むことができる人っていうのはある意味リテラシーの高い人だと思うので、そういう方々が一手間かけてでも適切なフィードバックを返せるような状況を作ってあげればいいのかなと思っています。基本的には外部との連携なども前向きには考えているんですけれども、Gunosyのコアバリューである「中長期的にその人が欲しい情報が届く」っていうところを損なわない形でやっていきたいなというところですね。


G:
今の話と関連があるんですけれども、Gunosyではユーザーが興味のある物に最適化して見せるっていうユーザー体験があるじゃないですか。今のインターネット上のサービスではそれぞれが各ユーザーにパーソナライズ化しすぎて、自分の興味以外にも本当は興味を引くモノがあるはずなのに、そういったモノが存在しないかのようになってしまっているという、フィルターバブル問題があると思うんですが、このような興味の範疇外の情報で必要な情報に触れられなくなるのではないかという問題に対して、何か対策は行っているんでしょうか?

関:
一種類の情報しかこないっていうのはしないようにしています。でもフィルターバブルの解釈の違いっていろいろあると思うんです。

G:
解釈の違いとは。

福島:
極論的な話をすると、まったくフィルターバブルは存在しないんじゃないかなと思っていて。情報のアクセスコストの問題だと思うんですよ。具体例を挙げると、民主党の話が好きだから共和党の話を見ない、なんて話あるわけないじゃないですか。だってニュースでどんだけ流れてんだよって話ですよ。全てのメディアがパーソナライズ化するってことはなくて、でも情報が増えすぎているので何かしらパーソナライズ化したりフィルターをかけるってことをしていかないと時間が無い人は知りたいことを知ることができないので、そういう人のためのものでもあると思うんです、Gunosyは。


その人にとって興味のある情報だけど、アクセスコストの高い情報っていうのは埋もれがちじゃないですか。例えば隣にいる関喜史だったら、富山出身なのでJ2のカターレ富山が好きなんですよ。でも基本的には全国ニュースだとかのメディアにはあまり出てこないので、ある種のフィルターをかけないといけない。これこそフィルターバブルなんじゃ無いかって思うんです。今のニュースって最大公約数的にみんなが興味を持ちそうな物が主流なんで。どっちがフィルターバブルっていうと、こっちの方が問題だと思うんです。

関:
ほんとに欲しい情報が届かない。

G:
クラスター化の方がフィルターバブルなんじゃ無いかってことですね。

福島:
もう一段階進むと、それが今言われているフィルターバブルの問題になってくるのかもしれないけど、でもまだそこまでいってねーよって。

関:
社会的な問題として、みんなが知るべき情報っていうのはみんなが知ることのできるインフラ的状況にあると思うんです。知らなきゃいけない情報ってTwitterやFacebookやってたら出てくるじゃないですか。SNS以外でも基本的にテレビを見ていたら必ず出てくるんですよ、知らなきゃいけない情報って。それよりは知りたいことを見つけられないリスクの方が高いと思ってるんです。知りたいことはGoogleで調べればいいけど、Googleで調べることのできる人ってどれくらいいるんだろう?ということです。ネットに慣れてる人はできるかもしれないけど、検索ワードを想像することって想像以上に世の中の人にとっては難しいことだと思うんです。欲しい情報って、検索しようとしているものよりもさらに細分化されていたりするし、奥の方にあるかもしれない。そういうものを届けられるようになって、初めてフィルターバブルについて考えたらいいのかなって。

G:
Gunosyが究極形態になったらフィルターバブルが発生する、くらいの感じですか。

福島:
「ニュースなんて見なくていいよ、Gunosy見とけばいいよ」ってなったときに初めてフィルターバブルが発生すると思います。

関:
フィルターバブルを感じられる人は、フィルターのかかっていない情報も見てるから感じられるんであって、じゃあそういう人たちは別にそういうことを考えなくてよいじゃんって思いますね。フィルターバブルの有り無しに限らず情報を見ない人がいて、そういう人に対してよりよい情報を届けるっていうのも価値があると思うんです。

G:
ということは、むしろGoogleの検索初心者とかの方が、Gunosyを使うとぴったりフィットするんじゃないか、ということですね。

関:
そういうところが今一番ターゲットにしているところですね。欲しい情報はなんとなくありそうだと思っているけど、具体的に何をどうやって探ったらよいかわからない人に毎日情報を届けてあげる、という感じです。Gunosyは記事を一日25個配信してるんですけど、気に入った記事を2個か3個ほど見てもらうくらいでいいと思ってます。

G:
そういう使い方でいいんですね。

関:
RSSリーダーでタイトルだけみて~みたいなライフハックとかあるじゃないですか。あれってすごい非人間的だと思って。一冊の本を精読するほうが価値があると思うんですよ。インターネットのコンテンツとかでも気に入った物を一日2、3件でいいから精読する方が価値があるのかなと。

関:
ジャンクフードにしたくないんですよね、情報を。タイトルだけ見て満足する、みたいなのにはしたくない。

福島:
それじゃわかんねーからって。


関:
一日何十件もリツイートしてる人は本当にそれ見てんのかなって思っていて、その人たちが欲しい情報を、一日2、3件とかでいいから見てくれればそれは幸せだなあと思っていて。スマートフォンなんかのおかげでどこでも情報が見られる様になっているのに、ゲームとTwitterとFacebookしかしないなんてもったいないなって。インターネットっておもしろいコンテンツがいっぱいあるから、女子高生が見てもおもしろいコンテンツってネット上にいっぱいあると思うんですよ。そういう人たちにこそ探すコストを与えずにうまくよい情報を提供してあげたい。

G:
皆さんの想定している使い方をしているユーザーはどれくらいの割合でいますか。

関:
まだGunosyはアーリーアダプター向けだと思ってます。けど少しずつターゲット層のユーザーも増えていると思ってます。

福島:
人の興味ってどうやって作られるか考えると、Googleって人の興味を作るものじゃ無いと思うんですよ。例えば「機械学習」をGoogleで検索してもでてくるのはwikiとかで、教科書なんですよ。でも「寿司 機械学習」で調べると、スシローが機械学習で客が次にとりたくなる寿司を予測してレーンに流すことで、寿司の廃棄率を 9% から 4% に削減したっていうニュースが出て来るんです。これってスシローのこと知ってないと検索できないような内容じゃないですか。でもおもしろいニュースで人の興味を作ることのできるものだと思うんです。


福島:
だからGoogleにはできない方法で違う情報が飛んでくるっていうのは意味あるのかなぁって。TwitterとかFacebookとかをみんながやってるのって、向こうから情報がやってくるからやってるんだと思うんです。でも内容はかなりジャンクなものが多くて、そんなジャンクな情報以外を受動的に受け取れる様な手段がネット上にはほとんど無いよねと。

G:
なるほど。ところで収益化はどのようにすることを考えていますか。

福島:
一般的なビジネスモデルを考えています。

関:
考えてますが、今何やってますかって言われると何もしてないです。そのために資金調達したんで。

G:
3160万円調達した件ですね。

福島:
お金を調達するっていうのは株を売ることなんで。それなりのリスクを負って、その間は赤字でもいいからサービスを向上させるっていう意思表明だと思ってるんです。お金を稼ぐだけなら、レコメンドエンジン作って下さいっていう会社がいっぱいあるんで、それを受ければ今の従業員がかなり裕福に暮らすことは簡単にできる。でもそれだと他の企業にスピードで負けちゃうんですよ。今は海外のサービスがすごいスピードで入ってくるし、サービスのローカライズも早いですし。Flipboardみたいに赤字でも最初に巨大なメディア作ってニュースの入り口を作るっていう企業に簡単に駆逐されちゃうんで。

関:
海外のベンチャーは日本が金になるってわかっちゃったんですよね。シリコンバレーから見ると、アメリカは新しいサービスを使ってくれる国で、日本は新しいサービスに金を払ってくれる国。300円課金とかに抵抗ないんですよね、日本は。

福島:
そんな中で、悠長にエンジンつくりながら外注だとかやってたら、ユーザー100万人にいくのに5年とか10年とかかかってしまって……

G:
今は成長速度優先ということですか。

福島:
いま戦わないと一生追いつけないです。


関:
僕らはGunosyというサービスのために起業したので。日銭を稼いでエンジン開発とかしてるくらいなら起業した意味ないんです。それなら就職してればよかったので。

G:
なるほど。あと、Gunosyの社内では「毎週水曜日にはPRMLという機械学習の教本の輪読会をおこなっており、マーケターやインフラエンジニアもこの輪読会に参加し知識をつけています。Gunosyではこういった知識がないと意思決定への参加が難しいからです。それに加え最先端の研究成果を知るため論文(主にwebマイニング、機械学習、推薦系)の輪読も持ち回りで行なっています。休日を使って論文を投稿する社員もいます。そういった研究活動をGunosyでは奨励しています」とのことですが、これはいつから始まったんですか。

関:
勉強会自体はやろうやろうと言っていたんですけど、1月末までは修士論文があったのでそれの終わった2月くらいからやっています。全体のボトムアップだとか最新技術のキャッチアップっていうのはやっていかなければいけないので。それと、バックグラウンドを見て知ってもらわないと意思決定もできないので、マーケティング担当の者にも参加してもらっています。

福島:
あとは、論文読むスピードが上がるとか。最終的にボトルネックになってくるのは僕らなんですよ。論文まだ読んでないから新しいアイディア出てこない、みたいな。

G:
あと、開発は今目の前にあるこのMacBookでやっているんですか?


福島:
そうですね、社用PCなんて買う金ねーよ!という感じです。

G:
使ってるエディタは。

関:
みんなこだわりのあるものを使ってますね。それぞれみんな自分でこだわって開発環境を作っていますね。

G:
話がまた少し変わるのですが、Gunosyの立場からすると他社のサービスとかではどういうものが興味深く見えますか?

福島:
僕はクックパッドですかね。すごいですよこのサイトは。まずひとつは、事実として日本の女性の4分の1が毎日見ているという点ですね。そこまでユーザーと関係を作れるのはすごいし、デザインも一週間単位とかユーザー単位で変えて、A/Bテストをしていたり。そういう細かい積み重ねが、今90万人が月294円払っているという部分につながっていると思うんです。

関:
僕はやっぱりニコニコ動画ですね。人に情報を届けるっていう価値でいうと、これまでのメディアの限界を超えるサービスをどんどん作っていると思うんです。将棋の名人戦とかを2日間生放送していて、これは普通のメディアさんにはニーズやリソース的に無理じゃないですか。既存のメディアにできないことを余裕で超えてくるのがすごい。情報の届け方としてなんかかっこいいなというか、本当にテレビを駆逐することが可能なんじゃないかって思えますね。

G:
最後の質問なんですけれども、今後の展開っていうのはどういう風なものを予定しているんですか。

福島:
徹底的にユーザーを増やす。今年中に100万人までには伸ばすのが予定ですね。目指している世界観としてはGunosyのデイリーでアクティブユーザーが50%を超えれば、毎日50万人とかいう規模が目を通すニュースメディアになってくるのでそれを目指すって感じですね。

関:
年内の目標である100万ユーザー達成とその50%をデイリーアクティブユーザーにするために必要なことはなんでもやっていきたいですね。

G:
今後の人材採用はどういう感じで進めていくんですかね。

福島:
少数精鋭ですね。「GoogleよりもFacebookよりも入るのがむすかしい会社、Gunosy。」みたいな。

一同:


福島:
そんなハイスペック超人いるのかっていうような人を求めていますね。

G:
なるほど。今日はどうもありがとうございました。

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