取材

「ハクション大魔王の壺」やフィギュアっぽい古代メキシコ文明の発掘品


マヤ、アステカ、オルメカ、テオティワカンなど、古代メキシコではいくつもの文明が栄え、そして滅んでいきました。これらの文明はアジア、ヨーロッパ、アフリカとの接点がなく、15世紀末にコロンブスがアメリカ大陸にやって来るまで独自の環境で発展していました。メキシコシティにある国立人類博物館では古代メキシコ文明の発掘品が一同に展示されていました。その内容は独創的で、理解の範囲を超えています。人形は表情も動作もさまざまで、コミカルなイラストは現代の作品かと見間違いそう……。これらが発掘されたテオティワカンやチチェン・イツァーのピラミッドも見事でした。

こんにちは、自転車世界一周周藤卓也@チャリダーマンです。いつもは見学なんてしないのですが、メキシコシティの国立人類博物館には興味があったので見学してみました。想像以上に楽しい場所でした。

◆国立人類博物館


メキシコシティ西部にあるチャペルテペック公園は都会の喧騒を逃れることができる緑豊かなオアシス。広大な公園の中にはお城、動物園、美術館といった文化施設が整備されていて、たくさんの人で賑わっています。その中に、メキシコ全土で発掘された遺跡品を展示した「国立人類博物館」もありました。古代メキシコ文明のすべてがここに集まっています。

建物外観。入館料が57ペソかかります。


四方を建物に囲まれた中庭のスペースで、巨大な噴水が水しぶきをあげていました。


建物中央の第7室は「アステカ文明」の部屋


有名なアステカのカレンダー


美しいレリーフ


お墓を再現


屋外にも展示物があって、観る人を飽きさせません。


この国立人類博物館で何より気になったのが、人や動物がモチーフとなった石像や人形でした。デフォルメされてコミカルなキャラクターとなっているんです。手で扱えるサイズのものになると、もうフィギュアにしか見えません……古代メキシコ人の柔軟な発想にはついていけませんでした。

石像


目を閉じて何かを祈る


とうもろこしを両手に


胸に手をあてて


「ここから先は関係者以外立ち入り禁止です」と言い出しそう


おっぱいがあるのに、口周りが髭のように黒い。


体の柔らかさをアピール?


チャック・モール(CHAC-MOOL)、生贄の心臓はここに置かれました。


コヨーテ像


ぷっくりとしたお腹


つぶらな瞳で体操座りをしているけれど、猿なのか、人間なのか……


口をぽかーんと開けていて、ちょっとマヌケな印象。


ユニークな顔


まるでハクション大魔王


手のひらに収まるくらいの小さな人形ですが、表情も動きもきめ細やかに造られていました。


ここら辺は本当に細かい


学校の休み時間のような光景


輪になって踊ったり……


肩を組んでみたり。


ちょっと一服


にんまりとした顔で両手を広げて。ふんどし姿。


この見せ方はヤバイ!


ひよこ?


多分猫。


骨になっても、こんなに楽しい奴らが傍にいれば寂しくもなさそうです。


たくさんのイラストが載った絵文書も展示されていたのですが、こちらもかなり衝撃的でした。描かれている人の姿はシュールで、色の使い方も鮮やかです。

「Codice Colombiano」は7世紀の絵文書です


「Codice Vindobonensis」は14世紀の絵文書


16世紀の絵文書「Lamina Central Del Lienzo De Coixtlahuaca」


「La Tira de la Pereginacion」は16世紀、アステカ文明末期の絵文書です


日本の観光地で城が目立っているように、メキシコではピラミッドが遺跡の印となっていました。


出土品を表した地図は、こんなに愉快なことに。


◆遺跡

これらのユニークな展示品が発掘された幾つかの遺跡を、メキシコの旅で訪れることができました。

・テオティワカン

メキシコシティ北東約50kmにあるテオティワカンは、紀元前2世紀から6世紀の間に栄えた巨大な宗教都市の遺跡で、世界遺産にも登録されています。最盛期の人口は10万人を超えていて、世界で一番の場所でした。太陽のピラミッド、月のピラミッド、死者の大通りが織りなす景観は、美しすぎて言葉になりません。

石のマスク


死者の大通りの突き当たりに月のピラミッド(高さ47m、底辺140m×150m)


太陽のピラミッド(高さ65m、底辺222m×225m)


月のピラミッドに上って。


太陽のピラミッドに上る急な階段


太陽のピラミッドの頂上から見える月のピラミッド


太陽のピラミッドの頂上から死者の大通りを眺めて。


・チチェン・イツァー

ユカタン半島の北部にあるチチェン・イツァーはマヤ文明の遺跡でこちらも世界遺産。途中で遷都をした為に6世紀、10世紀と二つの時代の遺跡が一つの区域に存在してました。

入口


エルカスティージョ。チチェン・イツァーを象徴する神殿。外観の美しさだけでなく、マヤ暦の一年が詰め込まれた機能的な建築物でもあります。


球戯場


千本柱の間


頭蓋骨の台座を意味するツォンパトリ。生贄の骸骨がここで晒されたとか。


聖なる泉。宗教的な意味を持っていて、財宝や生贄が投げ込まれていたそうです。


・オルメカ文明

紀元前1200年から紀元前後にかけて、現在のベラクルス州からタバスコ州のメキシコ湾岸に栄えたのがオルメカ文明です。古代メキシコでも初期の文明で、人の背丈より大きな巨石の人頭像が有名です。この人頭像はその頃にはまだ接触がなかったはずのネグロイド(黒人)の特徴を捉えているというから不思議です。

メキシコシティ国立人類博物館の巨石人頭像


低い鼻、厚い唇がネグロイドの特徴。


タバスコ州の州都ビジャエルモッサには、オルメカ文明の発掘品が展示されているラベンダ遺跡公園がありました。


巨石人頭像


この迫力のある「Young Goddess」という石像は紀元前7世紀頃に製作されました


おばあちゃんが納得がいった顔をしているような「The Groundmother」


グラビアアイドルみたいなポーズをしていますが、残念ながら「Monkey looking at the sky」なのでお猿さんです。


デフォルメされたキャラクターがゆるすぎて、こんな記事となってしまいました。叶うことはないでしょうが、製作した古代メキシコの職人に会えたら、その意図を聞いてみたいものです。東洋とも西洋とも全く違った古代メキシコの文化には、すっかり魅せられてしまいました。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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