メモ

「黒子のバスケ」に続いて「東方Project」イベントにも脅迫状が届いて中止に


これまでに東京都内だけで約50カ所に脅迫状を送りつけ、全国で少なくとも91カ所への送付を示唆している「黒子のバスケ」作者を妄想で逆恨みしている脅迫によって、次々と関連イベントが中止に追い込まれ、コミケ83では便乗犯も発生していた件について、ついに「黒子のバスケ」とまったく関係ないイベントにまで脅迫状が届き、中止に追い込まれてしまいました。

北海道札幌の東方Projectオンリーイベント【東方神居祭】
http://kangun.net/kamui/


まず第一報が出たのが1月10日、この時点では以下のように書かれています。

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http://kangun.net/kamui/kamui7seimei.jpg


昨今問題になっている脅迫状送付事件の影響を受け、諸般の事情から会場であるテイセンホールよりイベントの開催を見合わせて欲しいという旨連絡を頂戴いたしました。
昨年末より現在まで、会場及び関係各所とイベント開催についての協議を行って参りましたが、会場側及び管轄の警察署からの中止要請が非常に強く、余儀なくテイセンホールでの開催は中止と相成りました。


これだけだと「諸般の事情」の詳細が不明であるため、ネット上で大騒ぎになってしまってさまざまな憶測が流れまくったため混乱が発生、この事態をなんとかするために実行委員会が関係各所と検討を行った結果、中止の正確な経緯・理由を記した続報が掲載され、さらなる詳細が明らかになったのが翌日、1月12日のことで、以下のように書かれています。

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http://kangun.net/kamui/kamui7seimei2.jpg


中止理由の大きな要因は、「東方神居祭」宛てに脅迫状が届いたことによるものです。

12月27日に会場であるテイセンホールから、連絡がございました。
その内容は「東京の警視庁に2月24日札幌テイセンホールで開催される東方神居祭の中止を要求する内容の脅迫文が届いている」との内容でした。
詳細な内容は差し控えますが、「東方神居祭」開催に対しての脅しの内容でした。
以上のようなことから、管轄の札幌東警察署、またテイセンホールを運営している会社の東京の本社より開催中止の要請がありました。
当実行委員会では、その後会場と協議を行い、制服警備員の配置、警備の強化、手荷物検査の実施など、いつも以上に安全対策を万全にした上で開催する旨で会場と協議を続けて参りましたが、同会場は隣にボウリング場が併設していることもあり、ご来館の皆様の安全を第一に考えた結果、止むなく今回の決断に至りました。
今回の決断にあたりましては、会場のご担当の方と、なんとか開催ができるようお話を進めて参りました次第ではありますが、最終的には今回はこのような苦渋の決断となりましたことをお知らせ申し上げます。(会場、当団体ともに悔しい気持ちで一杯です)


脅迫状の内容が不明なのですが、この東方神居祭は北海道のイベントであるにもかかわらず、「東京の警視庁に2月24日札幌テイセンホールで開催される東方神居祭の中止を要求する内容の脅迫文が届いている」ことから考えても、「黒子のバスケ」同人イベントを次々と開催中止に追い込んでいる脅迫犯をまねている模倣犯である可能性が高く、会場に送るだけであればイベント主催者と会場運営者が協力して覚悟すればイベントを開催できる可能性も高いのに対し、最初から警察に送付することで中止に追い込む確率を高めるという手法が特徴となっています。

そもそも脅迫に屈するような司法機関や政府というのは通常あり得ないのと同様にして、企業・団体の場合も危機管理対策の基本ができていれば、脅迫に屈するというようなことはないのが当然なのですが、日本の場合は今回の例からも分かるように、なぜか最終的には警察からの強い要請で中止になっているケースが非常に多くなっており、「脅迫すれば中止にすることができる」「人命がかかっているのだから中止すべき」という状況になっていることが分かります。過去に大々的な脅迫を受けた団体のケースとしては、サッカーのワールドカップ南アフリカ大会がイスラム系国際テロ組織アルカイダからテロのターゲットにされた際には 「テロの脅迫を受けたからといって、南アフリカで行うW杯を中止するようなことはない。これは南アフリカ以外の国で行う場合も同様だ。われわれは、世界中のセキュリティー機関と協調している。南アフリカでの安全を保証するために、われわれはW杯参加国以外の国々とも協力し合っている」と宣言して脅迫には応じませんでした。アルカイダは9.11事件などで分かるように、その実行力は半端ではなく、今回の脅迫の比ではありませんが、それでもイベント中止というような対応にはなりませんでした。

また、このような通常ではあり得ないはずの「脅迫に屈する」対応を選ぶ背景事情として、最初から「危機管理」を具体的に行って想定しているケースが日本では非常に低い、というのも脅迫を受けいれやすい要因として考えることができます。危機管理体制を事前に想定している場合、今回のような脅迫に対応するマニュアルはほぼ共通で、第一項として「暴力・脅迫には屈しない、要求は受け入れない」というような趣旨の中身がほとんどですが、日本は通常の国よりも治安が良い割に責任を取ろうとすることすら非難の対象となる(人命をお金儲けのため危険にさらしているということで非難される)ため、「警察沙汰にしないのが一番よい」「責任を誰も取らないようにするには脅迫通りにするのが一番よい」ということになりがちであり、逆にそうやって脅迫に屈することが他の不安定要因、例えば「その他の脅迫リスク」「モラルハザード」「継続リスク」につながるということが基礎知識として周知徹底されず、その場しのぎでなんとかすればいいという場当たり的な対応が通常対応になりつつあります。

特に今回のような同人イベントの場合、「万が一の事態」が起きた場合にどうするのか?誰が責任を取るのか?危険を承知でそこまでして開催する必要性や信念があるのか?という点がウィークポイントになっており、しかも脅迫状を郵送することで脅迫側の匿名性と安全は確保され、既に「黒子のバスケ」脅迫犯が致死量の硫化水素が発生する容器と薬品を送りつけた実績があることから、実際には模倣犯には実行力がなくとも「虎の威を借る狐」のように「実行される可能性」だけを利用することが可能であり、実際に現場に行って実行する必要性はなくなっているため、模倣犯・愉快犯からすればこれまでにないほどにローリスク・ハイリターンな状況がそろってしまっているのが現状です。

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in メモ, Posted by darkhorse

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